ツンデレ王子とヤンデレ執事 (旧 安息を求めた婚約破棄(連載版))

あみにあ

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第二章

入団テスト

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何事もなく穏やかに時が流れる中、ケルを連れて今日は街へとやってきていた。
賑わう街中を並んでゆっくりと歩いていく。
ふと派手な広告が目に映った。

騎士のイラストが描かれたそのポスターには赤く大きな字で、《近衛兵騎士を育成、入団テスト開催》と大きく書かれている。
詳細へ目を向けると、平民、貴族関係なく、実力ある者を募集しているようだ。
参加費は無料、軍の上層部や、大尉、少尉なども見学に来るらしい。
そこでお眼鏡に敵えば、平民だろうとも学費免除で騎士団宿舎へと入門することが出来る。

あら……とても面白そうね。
剣を始めたきっかけは王子だが、実際実力がついてくると、自分の実力がどれほどなのかを試してみたいと思っていた。
けれどケルも王子も真剣に打ち合ってはくれない。
私に怪我をさせないようにしているのだろうけれど……それだとどれほどの実力があるのか確認できないのよね。

気になり立ち止まると、ケルが視界を遮るよう前へ進み出る。

「どうされたのですか、お嬢様?」

ケルは優し気な笑みを浮かべると、探るような視線を向ける。
そんな彼の姿に誤魔化す様笑みを浮かべると、ポスターからスッと視線を外した。

「ねぇ、ケルは本気で誰かと戦った経験があるの?いつも私の相手をする時は本気を出していないわよね」

「本気を出していないわけではありませんが……。そうですね、もちろんありますよ。騎士学校へ通い始めた時期は、何度も負けましたよ。ですが卒業時には首席で卒業しました。そんな私の話よりもですね、お嬢様には戦ううえで必要なものが欠けております。ですので、こういった場で戦ったとしても意味はありませんよ」

言い聞かせるようなその言葉に頷きで返すと、再度ポスターへ視線を向けた。
ケルもこの試験を受けて入学したのかしら?
首席で卒業した……そんな彼に教えてもらった剣術は、たとえ私が女であっても、そこそこ通用するんじゃないかしら?
私にかけているもの……それも気になる。
真剣勝負がどういうものなのか、とても興味があるわ。

「人と戦うとは、どういう感じなの?」

「お嬢様、ちゃんと私の話を聞いておりますか?」

「えぇ、もちろんよ。ただ少し気になっただけ」

「はぁ……難しい質問ですね。……一つ言える事は恐怖ですね。相手は私を本気で殺しにくる。それを正面で受けるのですよ。……お嬢様ダメですよ。あなたは公爵家のご令嬢で、将来王妃と……なる御方なのですから」

ケルはおもむろに振り返ると、ポスターへ視線を向ける。
その姿に私は小さく笑って見せると、軽く首を横へ振った。

「ふふ、安心して、こういうのもあるんだと眺めていただけよ」

そう言いながらにポスターに記載された開催日を確認すると、私はゆっくりと歩き始めた。

剣術を学んだきっかけは彼と同じ趣味を持つことだった。
けれどやってみると奥が深くて楽しいのよね。
勉強とはまた違った楽しさ。
もちろん騎士になるつもりなどない、だけど自分自身の実力を測ってみたいとの気持ちがある。

だけど参加すると言えば、必ずケルに反対される。
今の反応を見てもそれは明らか。
彼はとても心配性ですものね。
練習でかすり傷程度の怪我をしようものなら大騒ぎだったし……。
チラチラと彼を窺うように視線を向けていると、視線に気が付いたのかこちらへ顔を向けた。

「お嬢様、一応念のために話しておきますが、参加者は現役の騎士たちが認めたそれなりに腕が立つものばかりです。正直にお話すれば、お嬢様の実力は彼らと同等にあると思います。それゆえに相手も全力で来るでしょう。かすり傷程度では済みませんよ」

ケルは勘が良い、ここははっきり興味がないと示しておかないと。
このままだと入団テストが終わるまで監視しそうですもの。

「わかっているわ、痛い思いをするのはごめんだもの」

私は自分の体を抱きしめると、怖がっている振りを演出する。
その姿にケルは探るように見つめるが、納得したのか速足で進み始めた。

買い物を済ませ屋敷へ戻ると、今日見たポスターが何度も頭を過る。
怪我は怖いけど、気になるとどうしようもないのよね。
ケルは実力はあると言っていたけれど、実戦経験を一度もしたことがないから、はっきりとはわからない。
その点勉学は誰だって試験に挑戦できるから、実力を測りやすいのよね。

さてどうしようかしらね。
自分の実力をどうしても測ってみたいわ。
後半年もすれば学園へ通わなければいけなくなる。
そうなれば令嬢として、いえ王妃候補として自由には動けなくなってしまうでしょう。
剣術だって続けることは難しい。
婚約破棄あれた後だと王都に居られない。
ならやっぱり試すなら今しかないわよね。
確かチラシには当日参加可と記載されていたし、ふふ楽しみだわ。
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