ツンデレ王子とヤンデレ執事 (旧 安息を求めた婚約破棄(連載版))

あみにあ

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第二章

閑話:ケルヴィンの策略1 (ケルヴィン視点)

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あの日彼女に出会って、僕の世界に光が差した。

煩わしい、つまらない、楽しいことなんて何もない、嘘に塗り固められた世界で。

そんな僕に暖かい希望を見せてくれたんだ―――――――。

まずは過去の話をしよう。
昔の僕は今とは大分違っていた。
嫌なことは嫌だとはっきり口にして、苛立てばすぐ怒る。
面白くなければ笑わないし、興味のないことには見向きもしない。
人にあわせるのが苦手で、言いたいことは遠慮せずに言って、だからかなぁ友達はいなかった。
でもそれはそれでよかった、ストレスなんて無縁だしね。
まぁ、そんな子供だった。
けれどそんな僕を見て、両親に祖母や祖父、親族は心配してくれたのか、そのままではいけない、としつこく諭されたんだ。

毎日毎日小言を聞くのが煩わしくなって、僕は不承不承に愛想笑いと嘘を覚えた。
気持ちと表情がかみ合わない、でもそれが正解なのだと皆が話す。
だけど納得できないそんな思いが、ずっと胸の中にくすぶっていた。

だけどそんな僕のことを唯一分かってくれたのは大好きな兄。
素直な気持ちを打ち明けてみたら、怒ることも、諭すこともせず、無理する僕に、僕が僕であればそれでいいと、優しい笑顔をみせてくれた。
兄は優しくて、頭も良くて、人気者で、面白くて、だけど運動は苦手みたいだ。
でも僕はそんな兄が大好きだった。

こんな僕の一面を知っているのは、家族とそして隣の家に住んでいたケイト。
彼女は生まれた時からの付き合いで、変わった女。
意見が言えない煩わしさと苛立ちを、よく彼女にぶつけていた。
頭いいのに、バカで惚れっぽくて、面白いものには何でも興味を示す。
そのくせドジで、失敗も多く、そんなあいつを構うのはストレス発散になった。
彼女も負けじと食って掛かってくるが、安直な性格が仇となり、僕の方が一枚も二枚も上手。
性別は女だが、なんと言えばいいのか、全く別の生き物としてあいつを認識していた。

愛想笑いを覚えて社交界へ出ると、僕に対して周りの評価が勝手に上がっていく。
僕はやれば何でも簡単に出来てしまう、そんな子供だったから。
自慢じゃないよ、勉強だって、運動だって、一回見れば簡単だろう。
少し頑張れば他の誰よりも上達し、あっという間に皆より一歩先を進めたんだ。
後は社交性だけだったが、それも本心を隠すことで、人当たりの良い人間だと認識されていった。

そんな僕には夢中になれるものがなかった。
人間関係も、勉強も、剣術も、やれと言われたからやっただけだ。
友人関係もどれも浅く広い付き合い。
他人に興味をもてない、けれど冷たくあしらう事も出来ない。
ニコニコと適当に受け流していけば、周りが察して動いてくれる。
上辺だけで人と付き合い、別れの繰り返し。

そんな僕も16歳になり、学園へ入学すると、令嬢たちのアピールに頭を痛めた。
爵位は侯爵家で悪くない上、令嬢たちの間で理想の王子様と訳の分からない噂が出回っているようだ。
こんな僕が理想の王子様なんてありえないだろう。
本当周りはバカばっかり、煩い、鬱陶しい、くだらない話に付き合うつもりはない。
そう口にしたいが、幼いころから作ってきた笑顔を崩すことは難しい。
ここまで周りのイメージが固まってしまえば、本音を口にすれば面倒なことになるだろうとは、安易に想像できる。

だからそれらを排除するのに、あの女、ケイトを利用した。
あいつならどうなっても問題ないし、気にならない。
それにこんなことでへこたれるほど弱くもない。
ケイトと僕が幼馴染だということは周知の事実。
だからこそ勝手に付き合っているのだのなんだの、根も葉もないうわさがあったんだ。
僕はそれを利用した。

ケイトは令嬢たちに絡まれて困っていたようだが、彼女は少し変わっているからね、上手く交わして立ち回っていた。
度々僕の元へ苦言を言いに来るのだが、可愛いものだ、適当にあしらえば終わる。

正直恋愛だのなんだの、16歳になった今でも全く興味がない。
いや興味が沸かないと言った方が正しいか。
周りの令息や令嬢は、頭に花が咲いたように、誰が好きだ、綺麗だ、胸が大きいだ、そんなくだらない会話ばかり。
なぜ赤の他人にそこまで夢中になれるのか、さっぱり理解できない。

見た目がかわいい、格好いい、性格が好き、仕草が好き?
そんなことを他人に感じたことなんてない、興味がないんだ。
知りたいとも思わないし、僕のことを知ってほしいとも思わない。
だから僕はいつもニコニコと、上辺だけの笑みを張り付け、流されるままに生きていたんだ。
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