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エリザベート嬢はあきらめない
旅立ちの時
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今日は王都学園の卒業式。『王国の聖女ロリエッタ』ではエリザベートは学園を卒業出来なかった。
2度めではない初めての卒業式。
今年、新しく選ばれた生徒会長が、卒業生に贈る言葉を述べている。
この卒業式の後には、アメリアとエドの結婚式がある。そして、来年にはワーズがウィリ様の元に嫁いで来て、正式にドリミア王国の王太子妃になる。
アルベールは王都学園とロレーヌ辺境伯領を行き来しながら、学園長の補佐と次期辺境伯としての仕事の両方をこなしている。
マルティナにもとうとう婚約者が出来た。これは本当に嬉しい知らせだ。ウィリ様の気を引こうと頑張っていた小さな女の子。貴方にも幸せになって欲しかったから。
・・・・・
昨日、エリザとテネーブはリアムの部屋を訪ねた。
「お兄様、卒業式が終わったら私達は旅立ちます」
いきなりそう言ったエリザの言葉に、リアムは驚かなかった。
「行ってしまうんだね。僕の光の天使」
そう言って当たり前のように、エリザを抱き寄せた。2人の話が終わった頃にテネーブがリアムに声をかけた。
「お前の大切なエリザを連れて行ってしまう事、すまなく思っている」
テネーブは言った。
「リアム、お前は、ずっと自分を見守って助けてくれている者の存在に、気がついているだろうか?」
「僕を助けてくれている者の存在?」
「そうだ。いずれフェナンシル伯爵領かノイズ公爵領を継ぐのなら、お前は必ず誰かを娶る事になるだろう。
風の精霊パールのことをどう思っている?今まで、エリザしか見ていなかったお前の隣りに立てる者は、パールしかいないと思うのだが。どうだろう?
精霊王カイに頼んでパールを人間の姿にしてもらっては?」
リアムは驚いた顔をした。
「パールは僕でいいの?」
リアムが尋ねる。すると水色の髪の精霊が現れた。
「リアム。私がお前の隣りに立ってもいいのか?」
パールが言った。
「ずっとエリザしか見ていなかったんだ。それを知っているのはパールだけだ。今までだって、ずっと側にいてくれたのはパールだった。
他の女性と共に生きる気にはなれない。テネーブのその提案に乗ろうかな」
「リアム・・」
「その願い叶えた」
声と同時に精霊王カイと緑の精霊ミールが現れた。
「エリザ、私を忘れてない?」
ミールはエリザのポケットに飛び込んできた。
そしてリアムの隣りには、水色の髪の女性が現れた。
「パール、人間の姿の君も可愛いね」
「恥ずかしいではないか。リアム、あまり褒めるな」
パールは少し恥ずかしそうに笑った。
・・・・・
卒業式の数日後に、アメリアとエドの結婚式も無事に終わった。
今日はエリザとテネーブが旅に出る日だった。精霊と一緒の旅で何があるのかわからない。
「それでは、行って参ります。ウィリ様とワーズの結婚式までには帰りますわ」
そう言ってエリザベートは闇の精霊テネーブと共に姿を消したのだった。
(おわり)
2度めではない初めての卒業式。
今年、新しく選ばれた生徒会長が、卒業生に贈る言葉を述べている。
この卒業式の後には、アメリアとエドの結婚式がある。そして、来年にはワーズがウィリ様の元に嫁いで来て、正式にドリミア王国の王太子妃になる。
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・・・・・
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「リアム、お前は、ずっと自分を見守って助けてくれている者の存在に、気がついているだろうか?」
「僕を助けてくれている者の存在?」
「そうだ。いずれフェナンシル伯爵領かノイズ公爵領を継ぐのなら、お前は必ず誰かを娶る事になるだろう。
風の精霊パールのことをどう思っている?今まで、エリザしか見ていなかったお前の隣りに立てる者は、パールしかいないと思うのだが。どうだろう?
精霊王カイに頼んでパールを人間の姿にしてもらっては?」
リアムは驚いた顔をした。
「パールは僕でいいの?」
リアムが尋ねる。すると水色の髪の精霊が現れた。
「リアム。私がお前の隣りに立ってもいいのか?」
パールが言った。
「ずっとエリザしか見ていなかったんだ。それを知っているのはパールだけだ。今までだって、ずっと側にいてくれたのはパールだった。
他の女性と共に生きる気にはなれない。テネーブのその提案に乗ろうかな」
「リアム・・」
「その願い叶えた」
声と同時に精霊王カイと緑の精霊ミールが現れた。
「エリザ、私を忘れてない?」
ミールはエリザのポケットに飛び込んできた。
そしてリアムの隣りには、水色の髪の女性が現れた。
「パール、人間の姿の君も可愛いね」
「恥ずかしいではないか。リアム、あまり褒めるな」
パールは少し恥ずかしそうに笑った。
・・・・・
卒業式の数日後に、アメリアとエドの結婚式も無事に終わった。
今日はエリザとテネーブが旅に出る日だった。精霊と一緒の旅で何があるのかわからない。
「それでは、行って参ります。ウィリ様とワーズの結婚式までには帰りますわ」
そう言ってエリザベートは闇の精霊テネーブと共に姿を消したのだった。
(おわり)
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