クレアの独白

群青

文字の大きさ
上 下
3 / 23

鼻元思案③

しおりを挟む
 


 御機嫌よう


 私の目の前には今、金髪で超絶美形なお兄さんがいます。
 かっこよすぎる!!
 超!!私の好みです!!
 運命の人をみつけてしまったのです!!


 そして、どうやら私の自我は、このお兄さんによって起こされたようです。
 なので、多分この人は私にとって関係の深い人だと思うのですが………
 すると、開いていたドアから誰かが入ってきました。


「キース兄!!
 また、此処にいたのかよ!!
 どうして、そいつばっかり構うんだよ!!
 俺も少しぐらい………って何でもねーー!!」


 あら、走って逃げて行ってしまいました。
 まるで、嵐のような人だったのです。
 私は、とりあえず現状把握したかったので、目の前の超絶美形なお兄さんに質問をしました。


「しゅみません。
 貴方はだれでしゅか?
 しゃっきの嵐みたいな人はだれでしゅか?」


 すると、目の前の超絶美形なお兄さんは


「ふふっ、嵐みたい………」


 と少し笑うと爽やかな笑顔で私の質問に答えてくださいました。


「僕はキース、キース=コーナーだよ!
 この家の長男でクレアより六つ上かな?
 さっきの人はフィン、フィン=コーナーで次男。
 クレアの三つ上だよ!!
 僕ら二人共、君のお兄さんだ。
 これから、よろしくね!!」


 ぐはっ!!
 何ですか、これ!!
 もう、私結婚出来ませんよ!!
 ていうか、したくない!!
 私が呆然としている間、ずっとキース兄様は、私を見つめてニコニコしてらっしゃいました。
 愛されてる!!


「僕の愛しのクレア。
 今日は、皆でご飯を食べるみたいだから、一緒に行こっか?」


 と言うや否や、キース兄様は私をお、お姫様だっこしてスタスタと歩き始めました。
 王子様や、王子様がおる!!




 そう言えば、私は一つ気づいたことがあります。
 それは、自分の部屋から出るのが初めてだということ!!
 まぁ、もちろん私の自我の話ですよ!?
 部屋から出て、見えたのは長い長い廊下でした。
 沢山の肖像画や高そうな絵画が、また、高そうな壺が等間隔に並べられていました。


「キース兄様、私達は、零細貴族なのではないでしゅか?
 何故、こんなに豪華なのでしゅ!!」
「豪華なのは、廊下とダイニングだけさ。
 まぁ、ただ見栄を張ってるだけってこと!!」


 なるほど、そういうことでしたか!!
 それなら、納得なのです!!
 私達が和やかに会話しながら、長い長い廊下を歩いていると、後ろからガッシャーンという音がしました。
 そして、それに続いて沢山の足音や


「フィン御坊ちゃま!!」


 と呼ぶ沢山の声がしました。
 あれ?フィン兄様のことですよね?


「キース兄様?」


 私は、少し不思議に思ってキース兄様を見つめました。
 もちろん、使いましたよ。


 必殺技 UAMEZUKAI☆


 キース兄様は笑みを深めると、私を下ろしてその元凶の元に歩いて行きました。
 そして、数分後。
 キース兄様は、さっきの騒動の元凶であるフィン兄様の首を掴みながら、戻ってきました。


「キース兄様、なにがあったのですか?」
「クレアには関係のないことです。
 さぁ、行きましょう。」


 私は、一つ学びました。
「キース兄様は絶対に怒らせてはならない」ということを。
 ダイニングに近づいてきたのか、物凄いいい匂いが漂ってきました。
 キース兄様を見上げると


「もうすぐだよ」


 と言って最高の笑顔をくれました。
 すると、キース兄様の手辺りから、舌打ちが、聞こえましたが気のせいでしょう。
 そうした方が楽なのです。




 ダイニングに入ると、母様に抱きつかれました。
 やはり、あれですね?
 この溺愛体質は遺伝のようなのです。
 誰から誰にとは言いませんが。
 まぁ、嬉しいですけど。
 私はその日、この世界に来て初めての家族団欒というものを経験しました。

しおりを挟む

処理中です...