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第0話・普通にニューゲーム

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……ここは、どこだ?
確か、俺は車に轢かれて…
そうか、つまりここは死後の世界か。
見た目は雲の上だし、天国かな?
なんて、まだ処理が追いついていない脳を一生懸命働かせていると…
???「目覚めましたか。」
唐突に聞こえる声、そしてこのセリフ。
???「誰だ?女神様か何かか?」
すると、目の前に女神様であろう天使が現れた。
???「はい。私の名前はフィザー、迷える魂を導く女神です。」
???「フィザー…様ですね。いきなり質問ですが、ここはどこですか?」
フィザー「そんなに謙遜しなくても、いつもの調子でいいですよ?」
???「…なら、お言葉に甘えさせてもらうとして、ここは?」
フィザー「ここは死後の世界。
天界にある『転生の間』です。」
???「転生の間…ってことは俺、今から…?」
フィザー「はい。とある異世界に転生させます。」
???「そうなのか…なんだかワクワクするな。」
フィザー「乗り気のようで何よりです。」
???「ところで、俺が転生させられる理由とかは?」
フィザー「あなたが望んていたからです。」
???「ああ、そういえば死ぬ直前に思っていたな…「次生まれ変わるなら異世界がいいな…」って。」
フィザー「はい。なのでお望み通り、異世界に転生させていただきます。」
???「ありがとう。それで、その異世界って?」
フィザー「その世界の名は『ウィルネス』。あなたの世界でよく想像されている通りの異世界です。」
???「へぇ…楽しそうだな。で、目的とかはあるの?」
フィザー「あなたに定められた目的はありません。自由に過ごしていいんですよ。」
???「自由にか…それは気が楽だな。」
フィザー「では、転生するにあたって、何か欲しい力や物はありますか?」
???「欲しい力や物?」
フィザー「はい。あなたの世界でいう、『チートスキル』というものです。」
???「なるほど…じゃあ最低限必要な2つの力をもらう。」
フィザー「何でしょうか?」
???「1つ目は『ウィルネスでの知識』だ。転生されたばっかりで何もかもわからない状態じゃ、何もできないからな。」
フィザー「わかりました。それでは後ほど、ウィルネスの知識を与えましょう。2つ目は何でしょうか?」
???「2つ目は『ステータス調整』だ。攻撃と防御を高めにして、残りは標準レベルにしてほしい。」
フィザー「わかりました…が、いいのですか?」
???「いいのですかって、何が?」
フィザー「私の力があれば、もっと強力な力も与えられるのですよ?」
???「いいよ別に。あまりにもオーバースペックだと最初から気味悪がられるだろうし、地道な努力で力をつけていくのが好きだしな。」
フィザー「なるほど…では、今の2つでよろしいでしょうか?」
???「ああ。」
フィザー「それでは最後に…名前はどうしますか?」
???「名前?俺の名前は…あれ?」
フィザー「そのことなんですが…どうやら名前の記憶が欠損しているようなんです。」
???「そうなのか。なら適当に…ザグ…ザグ・コマニードだ。」
フィザー「わかりました。それではザグさん、よき旅を………」




ザグ「うう…」
目が覚めて起きた場所は、どこかの部屋。
ここがどこなのかを、記憶から思い出す。
もっとも、作られた記憶だけど。
記憶によると、自分を冒険者として登録するため、ギルド施設の近くの宿屋に泊まったらしい。
ギルドはこの宿の向かい側だから、すぐいける。
今の時刻は朝の8時半、ギルドが活気付く時間だ。
俺は起きて身支度を整え、宿を出た。
『ノーリアの街』では、朝からすでに人通りが多く、賑やかだった。
ギルド施設に入ると、すでに人がたくさんいる。
ギルド施設には冒険者ギルドだけでなく、食堂や酒場、武具屋に鍛冶屋、道具屋に宿屋と、冒険者のための施設がたくさんあるので、ほとんどの冒険者はここに来る。
ただし、これらの施設は冒険者じゃないと使えない。
だから昨日は近くの宿屋に泊まっていたわけだ。
急いで冒険者登録しておこう。
俺はギルドの受付へと向かった。
ザグ「すみません、冒険者登録をしたいのですが…」
受付嬢「わかりました。それでは、こちらの登録書の記入事項を埋めていただいて、サインもお願いします。」
そうして渡された登録書を書き終えて、受付嬢に渡した。
受付嬢「それでは、少々お待ちください。」
俺は近くの席に座り、呼ばれるのを待った。
そうして待機して30分はたっただろうか?
受付嬢「ザグさん、登録が完了しました。」
受付嬢に呼ばれて、受付に戻る。
受付嬢「これが冒険者手帳です。大事なものですので、決してなくさないように。」
ザグ「はい。」
受付嬢「それでは、よい冒険者ライフを!」
…これから、冒険が始まる。
異世界での冒険者としての物語が。
目標はどうしようか…
そうだな、『頼もしい仲間とともに強敵と激闘を繰り広げる』のを目標とするか。
こんな夢がかなうかはわからないけど…


今は、無限大に広がる未来を見つめるとしようか…

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