古の物語

某勇者

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001.はじまり

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最初に目が覚めた時は、本当に驚いた。
知らない家の知らないベッドで寝ていた俺は、その状況を理解するのに苦労した。
確か…7/16に家のベッドで寝てたのが最後だった。
まず疑ったのは夢。
だけど、いくら体をつねっても覚めないし、3今となっては、可能性はかなり低い。
となると、漫画でよくある異世界召喚ものだと思われる。
けど、それだと俺を召喚した人がいない。
となると、可能性は2つ。
あまりにもリアルすぎる夢か、寝てる間に襲われたことによる異世界転生かだ。
どっちも現実味は薄いけど、どっちかが実際に起きているはずだ。
そんな時は落ち着いて状況を理解するのが鉄板なので、とりあえず家を捜索することにした。
すると机の引き出しからメモが出てきた。
そこにはこの世界についてのことが書いてあった。
題名は
「忘れた時用のメモ」
見てる側としては
「はいはいご都合主義ご都合主義。」
となるが、実際に自分がその立場に立つと本当にありがたい。
とりあえずわかったことを箇条書きで。
・ここはフォーチュニストワールド
・俺の名前はハルトで変わらず
・始まりの村の村人
・剣も魔法も少し得意
他にも生活ルーティンや経費等、細かいことが書いてあった。
そして所々に赤線と赤丸が書いてあるが、おそらく赤線は忘れやすい所、赤丸は重要な事を示していると思う。
俺はそのメモを頼りに生活して、今に至る。
「うし、メモ完了!」
俺はここに来てから今までのことをざっとメモに書いておいた。
メモの表紙には「見るな」とシンプルな圧。
見られたらめんどいことになるし仕方ない。
「にしても王都ラジオの復旧遅いな…なんかあったのか?」
王都ラジオ、名前の通り王都から発信されるラジオだ。
3分程前から止まっている。
いつもは1分半もあれば復旧するのだが。
まさかとは思うが、この場合は
カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン
「き…来てしまった!『魔王襲来』だー!」
…と、起きてしまうのが大抵だ。
『魔王襲来』
400年に1度起きると言われている大災害だ。
最初に起きたのは1600年前。
そこから400年おきに起きている。
400年前の魔王襲来を記した書物には、
「突如として世界から平和が奪われた。」
「人は皆殺しにされ、生き残った者も魔王にこき使われた挙句殺された。」
「『我は再びこの地に来る。その時までせいぜい怯えるがいい。』と言いながら、魔王とその手下である魔物達は消え去った。」
「魔王襲来後に残された人は数えれる程しかいなかった。」
等のあまりにも酷い内容が記されていた。
そのトンデモな内容から本気で対策する人は少なく、大抵の人は
「どうせただの作り話」
と全く対策しなかった。
ところが王都ラジオから
「念の為に各自身を守れる武器を所持する事。」
と以前放送があったそうだ。
その勧告を聞いて他の村や町も警戒するようになったが、この村だけはついぞしなかった。
それに対して俺も訴えたが、
「貴様は大事な資金を潰す気か!?」
「王都ラジオの勧告は聞いたろ!?」
「万が一も起きはしない!」
と言って否定しきった。
挙句の果てには、俺をよそ者のスパイとして1週間牢獄に監禁したそうだ。
それからはいざこざが嫌で渋々賛成した。
それがこの結果だ。
「おいおい、本当なのか!?」
「ああ…世界の終わりだ。」
「ママぁ、怖いよぉ~。」
「落ち着いて!私達はきっと助かるわ!」
外に出てみると村人達が混乱状態だ。
とりあえず落ち着かせようと試みるが、次の発言でそれも吹き飛んだ。
「あれは…姫だ!姫の馬車がこっちに来るぞ!魔物も追いかけてる!」
あ、これはまずいぞ。
「とりあえず門を開けて姫を中に!」
「わ、わかった!」
とりあえず門を開けさせたはいいが、
あの様子だと村までもつか怪しい。
頼む…持ってくれ!
ドカァン!
「きゃああああ!」
村まであと少しという所で爆発魔法をモロに喰らい、姫が上空に吹き飛ばされる。
「姫様!」
「っ届くか!?」
咄嗟に走り出しながら彼女の位置を把握し、ぎりぎり受け止めれた。
「わっ!」
「ふぅ…日頃から特訓しててよかった。」
「あ、ありがとう!でも、魔物が」
「っそうだ!急いで門を」
「おそーい!」
「くそっ!」
門を閉じるよう指示するより先に、魔物達に侵入されていた。
「残念だったな姫様よ!この村は全然防衛ができてない!お前はハズレを引いた訳だ!」
「くそっ!言わせておけば…」
「どうした?反撃してみろよ。立ち上がってみろよ。できるものならな!」
「………」
「ほらみろ!全員腰抜けだ!これじゃこの村は壊滅したも同然だ!」
「キャキャキャ!」
「キッキッキー、キャキャ!」
「まあ待て、ゴブリンども。」
そう言って魔物達を率いるボスであろう男はこちらに1歩ずつ迫ってくる。
「とりあえず姫様は俺に隠れて。」
「わ、わかった!」
担ぎっぱなしだった姫を下ろして、
とりあえず隠れさせた。
続いて俺も敵に合わせて1歩ずつ引いていく。
「ふん、貴様はなかなか逃げないな。」
「逃げるのは好きじゃないからな。」
「面白い、私に勝とうと言うのか?」
「いや、はっきり言って現状だと勝てない。」
「ほう、ならどうする?」
「…勝つ為のピースをはめる。」
俺は姫に囁いた。
「赤い屋根の家、階段裏、3791、お願い。」
「よくわかんないけど、わかった!」
「密談か?」
姫は振り向くと同時、目的に向かって走り出した。
「勝つ為のピースって、まさか援軍じゃないだろうな?」
「いや、この状況じゃ難しいだろ。」
「それじゃなんだ?そもそも勝つ為のピースはあるのか?」
「ああ。正確には…俺が魔物達に抵抗する為に必要なピースだ。」
「それじゃいい加減聞くか………お前に必要なピースは何だ?」
「それは」
「戦う為の武器、でしょ?」
突然の大声に振り向くと、鉄の片手剣を持った彼女が走ってきていた。
「…まったく、いいとことりやがって。」
「なるほど、それがピースか。」
俺は姫を見て一言、
「上出来だ。」
「私を舐めないでよね。」
俺は剣を受け取り、
「さてと……….始めるか。」
男は笑い、
「さあ、抗える限り抗ってみよ!」
「当たり前だ!」
そして、言い放つ。
「俺達は絶対に負けねえ!」
~完~





あとがき
まずは謝罪。
投稿遅くて本当にすいませんでした。
(見てくれている人いるかわからないから怖いけど。)
サブストーリー1と比べてまあまあ長くなりましたけど、一応サブストです。
今後も遅くなりますが、頑張ります!
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