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M03.
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あれから毎日、海に来ていた。
海の美しさを、眺めていた。
これで登校初めて1週間…
あっという間だった気がする。
色々知ったことがある。
クラスの雰囲気。
様々なリーダー。
そして…厄介者。
1年1組のDeimosとveilだ。
本名は松島と桃山だけど。
あいつらは気に入らない奴をいじめているらしい。
そいつらの厄介なところは、証拠隠滅だ。
あいつらがやったとわかる。
けど肝心の証拠が無い。
証拠が無い以上、先生もわからない。
そして最近、俺が来たことであいつが見てわかるほどに不満顔になっていた。
あいつは何かしらの理由で接触してくるから徹底的に気をつけて…とは言われた、言われたけども…
「そいつらの顔知らないんだよな…」
俺はまた、海に来ていた。
けど、今日は違っていた。
コンクリの足場、その1番奥に誰かいた。
俺はその人に歩み寄る。
俺に気づいて振り返ったその人は、
「…あ、こんにちは。」
「こんにちは。」
洸だった。
俺は彼女の隣に座る。
「お前も眺めにきたのか?」
「うん。」
「…綺麗だよな。」
「うん。」
沈黙が続く。
2人で海を眺める。
それはとても…心地よかった。
なんというか、雑念が消えていく気がする。
そんなふうにぼーっとしていた。
気づけば10分、早いものだ。
「………ねぇ。」
「ん、どした?」
「あなたは…この世界をどう感じてる?」
「どう、か…まだ不思議に満ちている感じ。もしかしたらこの世界はファンタジーかもしれないし、SFかもしれないし、ミステリーかもしれないし、あるいは…ただ普通の世界かもしれない。」
「へぇ…」
「だから、俺は何が起きても受け止める。受け止めて、噛み締めて、飲み込んで、自分の知識にする。何も疑問は抱かないし、抱けないからな。」
「そうなんだ。」
「ああ。」
「……それなら、」
「ん?」
「あなたに…私の秘密を話してもいい?」
「秘密?」
「うん、秘密。だれにもバレちゃいけない秘密。」
「それを、俺に?」
「うん。あなたなら…守ってくれるから。」
「当たり前だ。たとえお前が計り知れないほどの力と悩みを持つ秘密だとしても、俺は真面目に聞く。だれにも話さないと、約束する。」
「本当に?」
「ああ。」
「なら、話すね………あのね?」
「何?」
「私、実は…」
足音がした。
「誰か来た。」
「なら、話は後で…」
「ああ。」
「よう、お前が悠斗か?」
後ろを振り返ると、2人の男子生徒がいた。
「そうだけど、君たちは?」
「俺か?俺の名は…Deimosだ。」
「僕はveil。」
Deimosとveil。
この2人がいじめっ子か。
「そうか。いじめっ子達がどうして俺のところに来たんだ?」
「ほう、知っているようだな。」
「なら、話は早い。」
「話?なんのこと?」
「お前達、付き合ってるな?」
「「!?」」
「その反応、当たりかな?」
「いや、唐突に『付き合ってるな?』なんて言われたら、普通困惑するだろ。」
「言い訳はいい。転入生のお前が、洸と付き合っているという噂がしたもんでよ、洸をお前から救いに来たんだ。」
「私を、救いに?」
「交渉は単純…洸を僕達によこせ。」
「お前が洸と馴れ馴れしくしているなんて、あってはならない。いわゆるtabooってやつだ。」
「………」
これはやばいな。
これはどう相手すればいい?
一体どうしたら…
「嫌よ。」
「何だと?」
姫が言った。
「君は僕達より、アイツといたいのか!?」
「うん。貴方達と彼だったら、彼に決まっている。」
はっきり言った。
勇気があるな…
なら俺もだ。
「お前、いじめっ子って呼ばれているんだぞ?いじめっ子に友達は少ないだろ。はっきり言わせてもらうと、お前達はほぼほぼ犯罪者だ。」
これは流石に効いただろ。
「………ハハハハハハハハハハ!」
「………フフフフフフフフフフ!」
「「!?」」
「ああ、俺達は犯罪者だ。」
「気に入らない奴はいじめた。」
「やっぱり…」
「何故こんなことをする!?」
「それは、ひ・み・つ。」
「普通に教えてもらえると思うな!にしても…2人とも黒か…せめて洸は白であって欲しかったが…まあいい。」
「白?黒?何の話だ?」
「もしかして、私達が悪いと思うの?」
「黙ってろ、『狂人』。」
「狂人だと…?」
「…この世は、狂っている。」
「え…?」
「言えることは、それだけ。」
「さてと、それじゃあ社会における『狂人』の対処法を教えてやる。」
2人が詰めてくる。
後ろに下がろうとしても、一歩後ろは海だ。
ここから落ちたら、死ぬ。
海流?が沖に向かって流れているから、戻れない。
…嫌な予感しかしなかった。
「なあ、お前が働いている会社に、あちこちで暴れて、会社に貢献するどころか、会社に損失しかもたらしていない奴がいたら、お前はどうする?」
「それは、クビにするとか?」
「チッチッチ、甘いな。そういうやつは追い出そうとしても、面倒臭いことに巻き込みやがる。んでもって、手放したくても手放せない、呪いの狂人の出来上がりってわけだ。だから、そういうのは…」
「殺すのが1番早い。」
………え?
俺は予想していて、それでもなおその言葉を聞いた瞬間、思考が止まった。
そして、思考が戻った時………
俺と洸は、海に突き飛ばされていた。
~~~~~
「ふう、仕事終わり!」
「洸が黒だったのは残念だったよ…」
「でも父上の命令だ。」
「『気に入らない奴をいじめろ。腹が立ったら殺しても構わない』…だっけ?」
「ああ。」
「なんでそんな命令なんだろ?」
「知らねえよ。とりあえず俺たちは従うしか無いんだ。従わなかったら…」
「わかってるよ、考えただけ。」
「それじゃ、急いで帰るぞ。」
「うん。」
~~~~~
……………
うーん…
意識が浮上し、俺は起き上がった。
ここは…空洞?
もしかして、海岸沿いにあった洞窟?
でも、どうしてここに?
俺は洸と海から落ちて、そして…
そこから記憶がない。
多分落下した時の水面との衝突で意識が飛んだ。
地形と海流?の流れ的に、ここに流れ着くことはないから、誰かが助けてくれたと思うけど…
「あ、起きた…良かった。」
「ああ、洸も…」
「………びっくりした?」
「いや、起きたばっかりで全然頭回ってなくて。」
「そうなんだ。」
「でも、色々わかったよ。」
洸が人魚だったことで。
「海が好きだったのは、海から来たから。足が少し不自由なのは、まだ人間になって少しだからかな?そして、俺と洸が無事だったのは…人魚の洸が、俺をここまで運んでくれたから…合ってる?」
「うん。」
「想像以上に辛そうな秘密だった…」
「でも…こうやって話せた。」
「ああ…これからも宜しくな、洸。」
「うん!」
~~~~~
「訪問者無し、目撃者無し。これなら、『2人でゲームしながら雑談してた』とかで誤魔化せる。」
「よし、アリバイは完璧だ!」
「今頃2人は死んでるんだろうな…」
「アイツらのところも1人っ子だから、すぐにはバレないだろうし。」
「とりあえずここでお別れだね。それじゃまた明日、僕の部屋で会おうねー!」
「おう、またな!」
~~~~~
「ねぇ、悠斗。」
「ん?」
「悠斗、気を失っている間に何か言ってたよ?」
「なんだ、それ?」
「『守らなきゃ…守らなきゃ…』って。」
「うーん…身に覚えがない。けど、もしかしたら記憶喪失前の記憶の断片だったりしないかな?」
「そうかな?多分。」
「今の俺は、お前を守るからな。」
「ありがとう。」
あとがき
唐突にぶっ込んだけどどうだった?
この展開予想できたかな?
いや無理か、ヒントほぼ無いし。
とりあえずまた文字数が増えました。
海の美しさを、眺めていた。
これで登校初めて1週間…
あっという間だった気がする。
色々知ったことがある。
クラスの雰囲気。
様々なリーダー。
そして…厄介者。
1年1組のDeimosとveilだ。
本名は松島と桃山だけど。
あいつらは気に入らない奴をいじめているらしい。
そいつらの厄介なところは、証拠隠滅だ。
あいつらがやったとわかる。
けど肝心の証拠が無い。
証拠が無い以上、先生もわからない。
そして最近、俺が来たことであいつが見てわかるほどに不満顔になっていた。
あいつは何かしらの理由で接触してくるから徹底的に気をつけて…とは言われた、言われたけども…
「そいつらの顔知らないんだよな…」
俺はまた、海に来ていた。
けど、今日は違っていた。
コンクリの足場、その1番奥に誰かいた。
俺はその人に歩み寄る。
俺に気づいて振り返ったその人は、
「…あ、こんにちは。」
「こんにちは。」
洸だった。
俺は彼女の隣に座る。
「お前も眺めにきたのか?」
「うん。」
「…綺麗だよな。」
「うん。」
沈黙が続く。
2人で海を眺める。
それはとても…心地よかった。
なんというか、雑念が消えていく気がする。
そんなふうにぼーっとしていた。
気づけば10分、早いものだ。
「………ねぇ。」
「ん、どした?」
「あなたは…この世界をどう感じてる?」
「どう、か…まだ不思議に満ちている感じ。もしかしたらこの世界はファンタジーかもしれないし、SFかもしれないし、ミステリーかもしれないし、あるいは…ただ普通の世界かもしれない。」
「へぇ…」
「だから、俺は何が起きても受け止める。受け止めて、噛み締めて、飲み込んで、自分の知識にする。何も疑問は抱かないし、抱けないからな。」
「そうなんだ。」
「ああ。」
「……それなら、」
「ん?」
「あなたに…私の秘密を話してもいい?」
「秘密?」
「うん、秘密。だれにもバレちゃいけない秘密。」
「それを、俺に?」
「うん。あなたなら…守ってくれるから。」
「当たり前だ。たとえお前が計り知れないほどの力と悩みを持つ秘密だとしても、俺は真面目に聞く。だれにも話さないと、約束する。」
「本当に?」
「ああ。」
「なら、話すね………あのね?」
「何?」
「私、実は…」
足音がした。
「誰か来た。」
「なら、話は後で…」
「ああ。」
「よう、お前が悠斗か?」
後ろを振り返ると、2人の男子生徒がいた。
「そうだけど、君たちは?」
「俺か?俺の名は…Deimosだ。」
「僕はveil。」
Deimosとveil。
この2人がいじめっ子か。
「そうか。いじめっ子達がどうして俺のところに来たんだ?」
「ほう、知っているようだな。」
「なら、話は早い。」
「話?なんのこと?」
「お前達、付き合ってるな?」
「「!?」」
「その反応、当たりかな?」
「いや、唐突に『付き合ってるな?』なんて言われたら、普通困惑するだろ。」
「言い訳はいい。転入生のお前が、洸と付き合っているという噂がしたもんでよ、洸をお前から救いに来たんだ。」
「私を、救いに?」
「交渉は単純…洸を僕達によこせ。」
「お前が洸と馴れ馴れしくしているなんて、あってはならない。いわゆるtabooってやつだ。」
「………」
これはやばいな。
これはどう相手すればいい?
一体どうしたら…
「嫌よ。」
「何だと?」
姫が言った。
「君は僕達より、アイツといたいのか!?」
「うん。貴方達と彼だったら、彼に決まっている。」
はっきり言った。
勇気があるな…
なら俺もだ。
「お前、いじめっ子って呼ばれているんだぞ?いじめっ子に友達は少ないだろ。はっきり言わせてもらうと、お前達はほぼほぼ犯罪者だ。」
これは流石に効いただろ。
「………ハハハハハハハハハハ!」
「………フフフフフフフフフフ!」
「「!?」」
「ああ、俺達は犯罪者だ。」
「気に入らない奴はいじめた。」
「やっぱり…」
「何故こんなことをする!?」
「それは、ひ・み・つ。」
「普通に教えてもらえると思うな!にしても…2人とも黒か…せめて洸は白であって欲しかったが…まあいい。」
「白?黒?何の話だ?」
「もしかして、私達が悪いと思うの?」
「黙ってろ、『狂人』。」
「狂人だと…?」
「…この世は、狂っている。」
「え…?」
「言えることは、それだけ。」
「さてと、それじゃあ社会における『狂人』の対処法を教えてやる。」
2人が詰めてくる。
後ろに下がろうとしても、一歩後ろは海だ。
ここから落ちたら、死ぬ。
海流?が沖に向かって流れているから、戻れない。
…嫌な予感しかしなかった。
「なあ、お前が働いている会社に、あちこちで暴れて、会社に貢献するどころか、会社に損失しかもたらしていない奴がいたら、お前はどうする?」
「それは、クビにするとか?」
「チッチッチ、甘いな。そういうやつは追い出そうとしても、面倒臭いことに巻き込みやがる。んでもって、手放したくても手放せない、呪いの狂人の出来上がりってわけだ。だから、そういうのは…」
「殺すのが1番早い。」
………え?
俺は予想していて、それでもなおその言葉を聞いた瞬間、思考が止まった。
そして、思考が戻った時………
俺と洸は、海に突き飛ばされていた。
~~~~~
「ふう、仕事終わり!」
「洸が黒だったのは残念だったよ…」
「でも父上の命令だ。」
「『気に入らない奴をいじめろ。腹が立ったら殺しても構わない』…だっけ?」
「ああ。」
「なんでそんな命令なんだろ?」
「知らねえよ。とりあえず俺たちは従うしか無いんだ。従わなかったら…」
「わかってるよ、考えただけ。」
「それじゃ、急いで帰るぞ。」
「うん。」
~~~~~
……………
うーん…
意識が浮上し、俺は起き上がった。
ここは…空洞?
もしかして、海岸沿いにあった洞窟?
でも、どうしてここに?
俺は洸と海から落ちて、そして…
そこから記憶がない。
多分落下した時の水面との衝突で意識が飛んだ。
地形と海流?の流れ的に、ここに流れ着くことはないから、誰かが助けてくれたと思うけど…
「あ、起きた…良かった。」
「ああ、洸も…」
「………びっくりした?」
「いや、起きたばっかりで全然頭回ってなくて。」
「そうなんだ。」
「でも、色々わかったよ。」
洸が人魚だったことで。
「海が好きだったのは、海から来たから。足が少し不自由なのは、まだ人間になって少しだからかな?そして、俺と洸が無事だったのは…人魚の洸が、俺をここまで運んでくれたから…合ってる?」
「うん。」
「想像以上に辛そうな秘密だった…」
「でも…こうやって話せた。」
「ああ…これからも宜しくな、洸。」
「うん!」
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「訪問者無し、目撃者無し。これなら、『2人でゲームしながら雑談してた』とかで誤魔化せる。」
「よし、アリバイは完璧だ!」
「今頃2人は死んでるんだろうな…」
「アイツらのところも1人っ子だから、すぐにはバレないだろうし。」
「とりあえずここでお別れだね。それじゃまた明日、僕の部屋で会おうねー!」
「おう、またな!」
~~~~~
「ねぇ、悠斗。」
「ん?」
「悠斗、気を失っている間に何か言ってたよ?」
「なんだ、それ?」
「『守らなきゃ…守らなきゃ…』って。」
「うーん…身に覚えがない。けど、もしかしたら記憶喪失前の記憶の断片だったりしないかな?」
「そうかな?多分。」
「今の俺は、お前を守るからな。」
「ありがとう。」
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唐突にぶっ込んだけどどうだった?
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いや無理か、ヒントほぼ無いし。
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