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行き過ぎた愛は嫉妬を生む 第2話
scene1 惣菜屋、七瀬菜々穂との待ち合わせ
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車を走らせること数分、駅前の商店街に到着した。アーケードの入口に車を止め、目的の店へと歩き出した。
昼前ということもあり、商店街は奥様方が賑わっていた。商店街を抜けた先にスーパーマーケットがあるが、ここはどの店も安値で商売しているのが特徴で、食品に限らずここで買い物する人が多い。事務所からもそんなに遠くないから、僕も買い出しはここで済ませてしまう。
「九条様、今度はどちらへ? 『七割の安全を確保しに行く』のではなかったのですか?」
「ええ、そうですよ。協力要請に行くんです」
「さきほどのように、お店で待ち合わせですか?」
「そうなんですけどね、今から行くのは彼女のお姉さんが営んでいるお店です。お惣菜屋さんですよ」
「女性ですか……、どんなお方ですか?」
「見た目は普通の女の人ですよ。年は僕より二つ年上で、強いて特徴を挙げるなら胸が大きめってことですかね」
そう説明しながら、性格に難があるんだよなあ、と思っていた。嫌なやつではないのだけれど、嫌になるときがある人物だ。
しばらく歩くと目的地の『まんぷく』という看板が見えた。こここそが協力者のお姉さんのお店だ。昼食の買い出しに来た奥様方で行列ができていたから、僕と大川さんも列に加わった。しかし、すぐに後悔した。並んでいた奥様方の注目を浴びてしまったのだ。見られるだけなら別にいいのだが、よりにもよってプチ撮影会になってしまった。大川さんのメイド服がコスプレだと思われたらしい。一緒にいた僕まで巻き込まれてしまい、写真を撮りたい奥様方とおしくらまんじゅうをしてしまった。
大川さんを犠牲にして、なんとか抜け出せた。そのままレジの方へ行った。この店は商品がショーケースの中に入っていて、店員に言って用意してもらうシステムである。しかし、僕の欲しいものはここにはない。近くにいた店員を呼び止めて、「菜々穂さん、いますか?」と背中の喧騒で消されないように大きな声で聞いた。店員は「少々お待ち下さい」と奥に消え、違う店員を連れてきた。その店員は僕を見るとすぐにレジから出てきて、あいさつよりも先に抱きついてきた。
「創くん、会いたかったよ!」
彼女こそが、僕のことを好きすぎる協力者、七瀬菜々穂さんである。
菜々穂さんはキスをするのではないかというくらい顔を近づけてきた。
「うるさいんで、離れて下さい」
「照れちゃって、まあ可愛い!」
「やめないなら、もうここには来ません」
「じゃあ引っつくのは?」
「ダメです」
「へばりつくのは?」
「ダメです」
「縛りつけるのは?」
「絶交します!」
「冗談、冗談。私のモットーは創くんの嫌なことはしないことだからね」
「だったら今すぐ離れて下さい!」
店内に響き渡る声を出してしまった。さっきまでメイド服の女に夢中だった奥様方の視線が僕に集まった。まるで変人を見ているかのような目だ。僕は半笑いでごまかすしかなかった。
「で、何の用なの? 私に会いに来ただけじゃあないわよね」
彼女に会うためにわざわざ足を運ぶわけがないが、そこには触れないで本題を切り出した。
「手を貸してほしいんです」
そう言うと菜々穂さんは「こっちに」と店の奥に入っていった。僕はやっと奥様方から解放された大川さんを回収し、彼女を追った。
昼前ということもあり、商店街は奥様方が賑わっていた。商店街を抜けた先にスーパーマーケットがあるが、ここはどの店も安値で商売しているのが特徴で、食品に限らずここで買い物する人が多い。事務所からもそんなに遠くないから、僕も買い出しはここで済ませてしまう。
「九条様、今度はどちらへ? 『七割の安全を確保しに行く』のではなかったのですか?」
「ええ、そうですよ。協力要請に行くんです」
「さきほどのように、お店で待ち合わせですか?」
「そうなんですけどね、今から行くのは彼女のお姉さんが営んでいるお店です。お惣菜屋さんですよ」
「女性ですか……、どんなお方ですか?」
「見た目は普通の女の人ですよ。年は僕より二つ年上で、強いて特徴を挙げるなら胸が大きめってことですかね」
そう説明しながら、性格に難があるんだよなあ、と思っていた。嫌なやつではないのだけれど、嫌になるときがある人物だ。
しばらく歩くと目的地の『まんぷく』という看板が見えた。こここそが協力者のお姉さんのお店だ。昼食の買い出しに来た奥様方で行列ができていたから、僕と大川さんも列に加わった。しかし、すぐに後悔した。並んでいた奥様方の注目を浴びてしまったのだ。見られるだけなら別にいいのだが、よりにもよってプチ撮影会になってしまった。大川さんのメイド服がコスプレだと思われたらしい。一緒にいた僕まで巻き込まれてしまい、写真を撮りたい奥様方とおしくらまんじゅうをしてしまった。
大川さんを犠牲にして、なんとか抜け出せた。そのままレジの方へ行った。この店は商品がショーケースの中に入っていて、店員に言って用意してもらうシステムである。しかし、僕の欲しいものはここにはない。近くにいた店員を呼び止めて、「菜々穂さん、いますか?」と背中の喧騒で消されないように大きな声で聞いた。店員は「少々お待ち下さい」と奥に消え、違う店員を連れてきた。その店員は僕を見るとすぐにレジから出てきて、あいさつよりも先に抱きついてきた。
「創くん、会いたかったよ!」
彼女こそが、僕のことを好きすぎる協力者、七瀬菜々穂さんである。
菜々穂さんはキスをするのではないかというくらい顔を近づけてきた。
「うるさいんで、離れて下さい」
「照れちゃって、まあ可愛い!」
「やめないなら、もうここには来ません」
「じゃあ引っつくのは?」
「ダメです」
「へばりつくのは?」
「ダメです」
「縛りつけるのは?」
「絶交します!」
「冗談、冗談。私のモットーは創くんの嫌なことはしないことだからね」
「だったら今すぐ離れて下さい!」
店内に響き渡る声を出してしまった。さっきまでメイド服の女に夢中だった奥様方の視線が僕に集まった。まるで変人を見ているかのような目だ。僕は半笑いでごまかすしかなかった。
「で、何の用なの? 私に会いに来ただけじゃあないわよね」
彼女に会うためにわざわざ足を運ぶわけがないが、そこには触れないで本題を切り出した。
「手を貸してほしいんです」
そう言うと菜々穂さんは「こっちに」と店の奥に入っていった。僕はやっと奥様方から解放された大川さんを回収し、彼女を追った。
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