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愛するのにも一苦労 第1話
scene2 刑事、石清水夏治の登場
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「やあ、創真!」
そう言って入ってきた男はスーツ姿だった。制服は何度も見たことがあったが、スーツは初めてだった。
男はソファに勝手に腰を掛けた。はるねちゃんはさっさとお茶を入れている。
「はるねちゃん、お茶はいらないよ」
「どうして?」
「どうせゆっくりしてる時間はないから」
「よく分かってるじゃねえか。今日も頼みたいことがあって来たんだけど」
「はいはい、分かってるって。受けるから依頼書書いて」
僕は面倒くさいなあ、と内心呟きながら机の引き出しの奥から依頼書を一枚取り出した。すると、はるねちゃんが耳元までやってきた。
「ねえ、創真。あいつ誰なの? 知り合い? なんか図々しいんだけど」
君も同じような感じだったけど、という言葉を腹の中に抑え込んで、僕はやってきた彼の説明をした。
「彼は僕の幼馴染の刑事だ。怪しい人じゃないよ」
桜が丘署刑事課勤務の警察官、石清水夏治。僕が探偵を始めた年に警察学校に入り、今年めでたく刑事になったと聞いていた。交番勤務だったときに何度かここに来て、逃走した下着泥棒の追尾や喪失物の捜索とかの仕事を持ってきていた。
「ふうん、刑事か。国家権力ってわけね」
「随分変な言い方してくれるじゃねえか」夏治に聞こえてしまっていたようだ。
「なによ、正しいことでしょ。税金泥棒さん」
「うるせえ! 俺はな、税金無駄遣いするようなことはしてねえんだよ! っていうか、大人でもねえお前に何が分かるってんだよ!」
「あたしはね、日本で一番税金納めてる逢坂財閥の長女よ! 逆らっていいのかしら?」
「お、逢坂財閥のご令嬢、だと! それは失礼いたしました!」
さすが逢坂家のご令嬢、警官をひれ伏せさせてしまった。
そう言って入ってきた男はスーツ姿だった。制服は何度も見たことがあったが、スーツは初めてだった。
男はソファに勝手に腰を掛けた。はるねちゃんはさっさとお茶を入れている。
「はるねちゃん、お茶はいらないよ」
「どうして?」
「どうせゆっくりしてる時間はないから」
「よく分かってるじゃねえか。今日も頼みたいことがあって来たんだけど」
「はいはい、分かってるって。受けるから依頼書書いて」
僕は面倒くさいなあ、と内心呟きながら机の引き出しの奥から依頼書を一枚取り出した。すると、はるねちゃんが耳元までやってきた。
「ねえ、創真。あいつ誰なの? 知り合い? なんか図々しいんだけど」
君も同じような感じだったけど、という言葉を腹の中に抑え込んで、僕はやってきた彼の説明をした。
「彼は僕の幼馴染の刑事だ。怪しい人じゃないよ」
桜が丘署刑事課勤務の警察官、石清水夏治。僕が探偵を始めた年に警察学校に入り、今年めでたく刑事になったと聞いていた。交番勤務だったときに何度かここに来て、逃走した下着泥棒の追尾や喪失物の捜索とかの仕事を持ってきていた。
「ふうん、刑事か。国家権力ってわけね」
「随分変な言い方してくれるじゃねえか」夏治に聞こえてしまっていたようだ。
「なによ、正しいことでしょ。税金泥棒さん」
「うるせえ! 俺はな、税金無駄遣いするようなことはしてねえんだよ! っていうか、大人でもねえお前に何が分かるってんだよ!」
「あたしはね、日本で一番税金納めてる逢坂財閥の長女よ! 逆らっていいのかしら?」
「お、逢坂財閥のご令嬢、だと! それは失礼いたしました!」
さすが逢坂家のご令嬢、警官をひれ伏せさせてしまった。
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