愛情探偵の報告書

雪月 瑠璃

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愛するのにも一苦労 第2話

scene1 遺書と大学への調査

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 次の日、夏治が運転する車に乗り込んで、見つかった遺書の内容を教えてもらった。遺書には次のようなことが書いてあったという。
『僕の人生、やり残したことがたくさんある。だが、そんなことがどうでもよくなるくらい、僕は辛い。
これが最良の判断であるとは言いがたいが、この方法しかない。僕たちはこの方法に決めた。きっとあの世なら、僕たちは二人でいられる。
さようなら。
 中谷マサル』
 内容を聞き終えたとき、悔しい思いでいっぱいになった。誰も、『辛』さに気づいてやれなかったのか。悲しすぎる。
「中谷マサルの自宅の郵便受けから発見された。実物を見たが、とても落ち着いた文字で書かれていた」
「自殺することを、決めていたのね」
 隣に座るちゃんはひどく悲しみに満ちた目をして言った。遺書まで書くということは、並々ならぬ覚悟があったのだろう。遺書の内容からは辛い現実から脱出するという強い意志が見える。
 彼の気持ちとは、どんなものだったのだろうか。
「――――だとすると、さらに謎は深まるばかりだね」
 気持ちを振り切るように、僕は言った。言葉だけ聞くと、謎を楽しむ変人探偵に思うかもしれないが、決してそんなことはない。突き刺さるような胸の痛みを気にしたくないだけだ。探偵という特殊な職に就いているけれど、僕という人間は他の人となんら変わりない。
「自殺ということは、自らアレルギーを食べたということになる。でも、中谷さんと村田さんは、それぞれを食べていたということが、警察の調べで分かっている。となると、食べずしてアレルギーを体内に取り込んだってことになる」
「そんな方法、あるのかよ」
「あるから二人は亡くなったんだ――――けど、全く分からないよ」
 今の僕は、とても弱気だ。先が思いやられる。今日は仕事をちゃんと全うできるだろうか。
「ネガティブになっちゃダメよ。今日頑張って調べれば、解決の糸口を見つけられるかもしれないじゃない。ポジティブに頑張りましょ!」
 はるねちゃんは笑った。彼女の励ましで少しは自信が出てきた気がする。今は分からなくても、今日の調査で少し前進するかもしれない。今日は今日やることを懸命にやろう。
「そうだね。頑張ろう」
 僕は自分に言い聞かせるように、はるねに言った。
 さて、調査二日目の最初の調査は中谷さんと村田さんが通っていた大学にて聞き込みである。実はあまり気が進まない。僕は少し人見知りなところがあって、初めて会う人と話すのは苦手なのである。どうも緊張して言葉が出てこなくなってしまう。調査をスムーズに行うために質問することをいくつかまとめてきたのだが、不安である。
 事務所を出発して四十分、大学に到着した。
 私立八重坂大学。ここが、二人が通っていた大学である。このあたりで最も大きな大学と言っても過言ではない、有名大学である。やはり、最大と言われるだけあって、建物と人が多い。今から緊張してきた。
「さて、最初はどこに行くんだ?」
「えっと……」
 まずい。何を質問するかは決めてきたのに、どこから聞きに行くかを考えていなかった。
「どこから行こう?」
「考えておけよな。――――二人とも商学部の学生だった。商学部の授業は南棟で行われることが多いそうだ」
「ありがとう」
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