愛情探偵の報告書

雪月 瑠璃

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愛するのにも一苦労 第2話

scene2 中谷マサルに片思い中の女子大生の証言

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 そういうわけで、南棟にやってきた。ちょうど授業が終わったときで、教室から学生たちが一斉に出てきた。学生が多すぎて、誰に聞けばいいか困る。
 僕がきょろきょろしていると、さっそくはるねちゃんが一人の学生を捕まえていた。女性だ。
「すみません、ちょっとお話聞きたいんですけど、お時間いいですか?」
「はい」
 女性は友達を誘って足を止め、こっちに来てくれた。「お話って何ですか?」
「あ、用事があるのは私じゃなくて、こっちの探偵です」
「探偵?」
 女性は首をかしげた。
「はい。僕が探偵です」
 ポケットに入れておいた名刺を渡す。
「えっと、聞きたいことがあります。一昨日亡くなった中谷マサルさんと村田ヒロムさんについてなんですが……」
「……はい」
 女性は俯いて、呟いた。二人が亡くなったことを知っているようだ。
「答えていただけますか?」
「……はい」
「では、質問します。中谷マサルさんと村田ヒロムさんの交友関係について、ご存知のことがあったら教えていただけますか?」
「……二人は仲のいい友達でした。学部内でも有名になるくらい仲が良くて、よく二人で一緒にいるのを見かけました」
「一昨日、変わったことなどはありませんでしたか?」
「気になることはなにもありませんでした。でも、確かその日は村田くんが中谷くんの家に泊まりに行くって言っていました」
 そこまで言うと、女性は目元を押さえた。
「すみません……、私、中谷くんに片思いしていたんです。たまに遊びに行ったりしていて、とても優しい人だったから、惜しくて……」
「そうですか……、辛い思いさせてすみません」
「大丈夫です。多分、彼女さんのほうが辛いと思うから……」
「彼女さん、ですか?」
 ぽろっとこぼれた言葉を聞き逃しはしなかった。
「はい。高校のときにできた恋人で、大学を卒業したら結婚するんだって言っていました」
「顔とか名前は分かりますか?」
「そこまでは分かりません。本人が教えてくれないんです。きっと幻滅しちゃうからって」
「そうですか」
 『幻滅しちゃう』恋人って、顔がモアイに似ているとかなのかな。もしくは大仏か、シーサーか。いや、そんなことはどうでもいい。『幻滅しちゃう』恋人というのは気になる。
 女性は泣き崩れてしまって、聞き込みどころではなくなってしまった。友達が慰めているが、泣き止むことはない。
「ありがとうございました」
 縮こまって泣いている女性とその友達に礼を言って、その場を去った。なんだか悪いことをした気分だが、これも仕事だ。
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