愛情探偵の報告書

雪月 瑠璃

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愛するのにも一苦労 第2話

scene3 強面男子大学生の証言

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 話を聞いている間に、学生はめっきり減っていた。僕らは校舎を出て、また聞き込みできそうな人を捜す。
 そして、校舎の真正面にあるベンチに腰を掛ける男性に声をかけた。スマートフォンの画面に釘付けになっている。ゲームをしているようだ。
「あの、すみません。話をお伺いしたいのですが、よろしいですか?」
「誰? ここじゃ見ない顔だな」
 ちょっと感じの悪い男性だ。茶髪だし、猫目だし、眉間に皺が寄っているし、ちょっと怖い。
「こういう者です」
 また名刺を渡す。男性はさらに険しい顔をした。
「探偵?」
「ちょっと事件について調べていまして、話を聞きたいんです。怪しい者じゃありません」
 はるねちゃんは物怖じせずにフォローしてくれた。そのおかげか、少し眉間の皺が解消された気がした。
「で、何が聞きたいんだ?」
「先日亡くなった中谷マサルさんと村田ヒロムさんについてです」
「亡くなった? 村田、死んだのか?」
「はい、ご存知なかったんですか」
 男性は衝撃に満ちた顔して、頭を押さえた。
「あの二人が死ぬなんて、なんでだよ」
「二人とも自殺したんです。昨日、中谷さんの遺書が見つかって」
「マジかよ」
「心当たりありますか? 二人が自殺した理由とか」
「……ないこともない」
 男性は少しも動かず、続ける。
「村田のやつ、最近悩んでいたみたいで、サークルにも顔出さないし、一昨日は大学にも来なかった」
「何を悩んでいたんですか?」
「分からねえ。けど、結婚がどう、とか言ってた気がする」
「村田さんに恋人がいたんですか?」
「聞いたことねえ。でも、あいつは顔が広いから、分からねえ」
「そうですか」
 結婚――――さっきの女性も言っていた。中谷さんの結婚についてなのか。仲のいい友達の結婚となれば、それは気になることだろう。
 男性はやっと顔を上げた。その瞳は涙が浮かんでいるようにも見えた。いや、きっと泣いていた。
「なあ、村田はなんで死んだんだよ。あいつはいいやつだったから、誰も死んでほしいなんて思ってねえよ。俺、あいつが誘ってくれたからサークル入ったんだぜ。あいつがいなくなった大学生活なんて、なんにも楽しくねえ。なあ、金ならいくらでも払うからさ、村田が何で死んだか、暴いてくれよ。あんた、探偵なんだろ。やってくれよ……、頼むから……」
 彼は頭を伏せて言った。最初に抱いた感情はどこかへ行ってしまい、今は彼をどうにかしたいと思った。
 僕は肩の上に手を置いて、頷いた。
「絶対に解明します」
 彼は小さく肩を震わせて、「ありがとう」と呟いた。
 僕たちは彼をそこに残して、その場を去った。
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