大好きな恋愛ゲームの世界に転生したらモブだったので、とりあえず全力で最萌えキャラの死亡フラグをおっていきたいと思います!

赤蜻蛉

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いざ、ルークとともに新しい旅路へ!

懐かしい家族との時間

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シオンさんのお母さんからは魚介類を使ったパエリアに似た料理と、海藻と魚介のサラダに、蒸したり焼いたりと色んな魚介のフルコースが振舞われた。

どれもこれも本当においしくて、ついついご好意に甘えさせて頂きおかわりまでしてしまった。



シオンさんのお母さんも、とてもいい人だった。

ただの通りすがりの見知らぬ他人に過ぎない私達にまで、とても親切にしてくれて。

シオンさんのお嫁さんのアナスタシアさんにも、早く会いたいと心待ちにしているようだった。

人見知りと話していたが、シオンさんと同じように心の温かいこの家族と一緒なら、アナスタシアさんもきっと心から楽しく幸せな毎日を過ごせることだろう。




食べた後はもちろん、遊びの第二ラウンドスタートだ。

今回はシオンさんも加わり、みんなでドッチボールをして遊ぶことにした。

ルールは簡単だからと教えたらすぐにそれがやりたい!となった。



子どもたちの勢いと力を侮るなかれ。

遠慮のない力の限りの魔球は、受け取るのもよけきるのも至難の技だ。



「行くぞ!カルロ、ケイリー!!」

「エラちゃん、ジェーンちゃん、がんばろうね!」


「「   おぉぉーーーっ!!!  」」




男子VS女子。

ジャンケンによるチームわけで、自然とそうなってしまった。

ルークは『大地の腕輪』のことを調べたいと街中の方へ行っている。

シオンさんやそのお母さんにも聞いてみたが、そんなものは聞いたこともないとのことだった。

そんな中で子どもたちと遊んでいてもいいのかとルークに話したのだが、今日ぐらいは何も気にせずに遊んだらいいとニッコリ笑って、背を向けた彼は街の中へと1人消えてしまった。


何か思うところがあって、1人になりたいのかもしれない。



「おねえちゃん、あぶない!!」

「!!??」



ドンッ!!!



「んギャッ!!!!」


ルークのことがついつい気になって考えごとに集中していると、後ろから魔球がものすごい勢いでクローディアの頭部にぶつかる。


「お、お姉ちゃん、大丈夫?」

「・・・・・だ、だいじょうぶ」

「へっ!!真剣勝負中にボケっとしてるからだぜ!!」

「お姉ちゃん弱いな~~!!」

「だ、大丈夫ですか!?クローディアさん!」

「くっ!!大人を・・・・なめんなよ!!」

「うおぉっ!!」

「やるな!ねえちゃん!!」

「お姉ちゃん、強い!!」

「つよーーーい!」

「へへっ!勝負はここからよ!!」



ドッチボール界の破壊神と、小さい頃からほんの一部でだけ呼ばれた『森山雫』の本気を見せてやるっ!!

大人気ないと呆れられようと、遊ぶ時は相手が大人だろうと子どもだろうと関係ない。


つまり、本気でやるのが楽しいのだ。






ドッチボール勝負に疲れ果てたシオンさんと、カルロ・エラ・ケイリーは涼しい木陰でぐっすりとお昼寝タイム。

朝遅くまで寝ていて、まだ眠くないというジェーンと今は2人だけで遊んでいた。


「ねぇ、おねえちゃん!なにかおもしろいぼーるあそびおしえて!」

「うーーーん、そうだなぁ~~じゃあ、これはどう?」

 

あんたがたどこさ 
ひごさ 
ひごどこさ 
くまもとさ 
くまもとどこさ 
せんばさ 

せんばやまには 
たぬきがおってさ 
それをりょうしが 
てっぽうでうってさ 
にてさ やいてさ 
くってさ 

それをこのはで 
ちょっとかぶせ



子どもの頃によくやっていた、1人でも楽しめるボール遊びだ。


「そう、こうやって・・・・さのところでボールの下から足をくぐらせるの」

「あんたがた、どこ、さ!わっ、できた!」

「そうそう!うまい、うまい!」


ジェーンは何回も失敗をしながらも一緒に繰り返し練習し、どんどんうまくなっていく。



そしてーーーーーーー。



「ちょっとかーーぶーーせっ!!できた!!おねえちゃん、さいごまでしっぱいしないでできたよ!!」

「うん!すごいよジェーンちゃん!!こんなに早くできちゃうなんて!!」


ジェーンと手をしっかり握りあいながら、喜びを分かち合う。


「しおんにいちゃんたちにも、みせてくるね!」

「うん!」


キラキラした笑顔でジェーンは、4人が眠る木陰へと走って向かう。

その姿に胸を温かくさせながら、後を追いかけるために一歩を踏み出したその瞬間だった。



「!?」



ドカーーーンッ!!と激しい爆発音と炎、そしてそこから大きく巻き上がる煙。

そして、その炎の中からクローディアのところまで転がってきたボールには、焦げた匂いと赤黒い血がこびりついていた。


「ジェェェーーーーーーンッ!!!」


クローディアがその名を叫びながら、炎の中へと向かう。

すぐさま魔法で炎を沈めてジェーンの姿を探してもどこにもいない。


「ジェーンちゃん!?ジェーーーンッ!!」


泣きながら、声の限りその名を何度も叫ぶが返事はなかった。


嘘、嘘よ。

だって、ついさっきまで笑ってたじゃない?

話して、この手で握って、確かに彼女はここにいたのに!!




『ボクからのプレゼントは、喜んでもらえたかな?』



「!?」


それは、もう二度とこの耳で聞きたくなかった声だった。



『君に喜んでもらえるように、ものすごく手間暇をかけて用意したんだよ?』



「・・・・・・・ッ!!」


私の背後から、ケラケラと笑うその声が響く。

目から溢れて止まらない涙を拭い取り、唇を噛み締めながら振り返れば、そいつはいつものように空中に浮かんだまま私に笑いかけた。


「この街に、あの子に何をしたのっ!!黒い魔女っ!!!」


心からの怒りと憎しみを隠しもしないクローディアに、黒い魔女の笑みは余計に深くなる。


「大丈夫かっ!クローディアさん!!」

「どうしたの!おねえちゃん!」

「!?」


爆発音で気がついたのか、木陰で寝ていたはずのシオンさんとカルロ・エラ、ケイリーがこちらへ向かってくる。



「き、来ちゃだめーーーーーッ!!」

「!?」



『バイバーーイ♪』



クローディアが4人を守る為に急いでそちらへ向かうが、そんな必死な努力すらも目の前でむしり取るのが一番楽しい。



ドカーーーンッ!!



走り寄るクローディアの先にいる、シオンのさらに後ろから走っていたカルロ・エラ・ケイリーがいたはずの場所が大きく爆発し、火の海と化す。



「い、いやぁぁぁーーーーーーーッ!!!」

「・・・・・うそだ、嘘だ!!カルロ!!エラッ!!ケイリー!!返事をしろぉぉぉーーーーーッ!!」


その場に泣き崩れるクローディアの向こうで、シオンが炎の海の中から愛する兄弟達の姿を探し求めるがそれらしき姿がどこにもない。


その2人の姿に、黒い魔女が空高くまで響くような歓びの笑い声をあげた。
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