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1 運命との出会い
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リリアンナはミレニア王国のドーチェス公爵家に生まれた由緒正しき令嬢だ。
望んだものは何でも手に入れるだけの財力があり、権力がある。
それを彼女はよく理解していた。
しかし彼女は若冠十歳にしてあるものに餓えていた。
それは………
愛である。
リリアンナは両親からの愛を感じたことがほとんどなかった。
いや、今よりももっと幼い頃には欲しいと言ったものが何でも買い揃えられる状況を見て自分は両親に愛されていると思っていた時期もあったが、最近になってそれは何か違うと気づいてしまったのだ。
それに両親にはそれぞれに別の愛する人が居るらしいと知ってしまったのだ。
これは所謂愛人である。
リリアンナはそのことを知ったとき不思議と納得してしまった。
ああ、だから自分は二人にたいして愛されていなかったのか、と。
それと同時に、じゃあ自分のことは誰が愛してくれるのかという純粋な疑問が沸き起こってきたのだ。
リリアンナが好んで読む冒険小説や恋愛小説では必ずと言っていいほど愛される主人公が登場する。
リリアンナは現在、私にも愛してくれる人が見つかるのかなぁとぼんやりと窓から庭の花を眺めている最中だ。
どれくらいの時間が経ったのだろうか、ふと人の気配を感じてリリアンナがそちらに目を向けると、金色の髪に水色の瞳を持った天使のような少女がいた。
少女はリリアンナと目が合うと少し目を見開いて驚いた、というような仕草を見せた。
そして突然謎の発言をするのだった。
「あんたが悪役令嬢ね!いいわ、私の子分にしてあげる!!」
(ええ?!)
よく分からない台詞にリリアンナは戸惑った。
(悪役令嬢?何それ?)
ただ、子分という言葉が理解できた途端、リリアンナは即座にこう答えていた。
「貴方みたいな天使の子分になら喜んで。」
そう、リリアンナは、何故かこの瞬間に全力で喜んでいたのだ。
天使のような美しい少女が自分のような些末な存在を気にかけて、更には子分にしてくれると言っているのだ。喜ばない訳がない。
本気でそう思っているリリアンナにこの場に彼女の声が聞こえるまともな人が居たならつっこんでくれていたに違いないが、生憎ここには居ないため、何故か話は進んでしまう。
「そ、そう?いい心掛けね。やけに素直じゃない。私のことが嫌いじゃないの?」
「いえ、今初めて会ったのに嫌いになんかなりませんよ?それに私のことを子分にしてくれるということは私のことが好きなのですよね?」
リリアンナはゆったりと微笑んで少女に問いかけた。
「ば、ばかじゃないの?!す、好きとかそんなわけないじゃない。貴女と話してみたかっただけよ。大体この国では女同士じゃあ結婚できないのよ!そんなことも知らなかったの?!」
リリアンナはあくまで友情における好意を指したのだが少女は勘違いをしている。
「?当たり前でしょう。私は貴女と結婚するつもりはないです。それに、この前お父様が仰っていたもの。もうすぐ私には婚約者ができるって。そんなことより天使さまのお名前は?」
「あら、もう婚約者ができる時期なの。……って確かに自己紹介がまだだったわね。その様子じゃあ転生者じゃないみたいだし。私はシャーリー。一応、グルノ男爵の娘ってことになってるけど、ただの養子の一人なの。優秀なのを見込まれて引き取られたんだけど元々は孤児よ。男爵には養子がいっぱいいて、実子は三人だけ。残りの七人は私みたいな孤児か訳ありよ。」
「そう、色々大変ね……。」
(私は自分がこの世で一番不幸な人間だ位におもっていたけれど、そんなことなかったんだわ。この子だって私と同じ……ううん、もっと大変かもしれないのに人のことまで気にかけてる。なんて素晴らしい子なのっ。)
実際の少女改めシャーリーはそれほど善人ではないのだが、リリアンナの中では心優しい少女ということになっている。
「そんなことより、あんたはその婚約を喜んでるの?」
望んだものは何でも手に入れるだけの財力があり、権力がある。
それを彼女はよく理解していた。
しかし彼女は若冠十歳にしてあるものに餓えていた。
それは………
愛である。
リリアンナは両親からの愛を感じたことがほとんどなかった。
いや、今よりももっと幼い頃には欲しいと言ったものが何でも買い揃えられる状況を見て自分は両親に愛されていると思っていた時期もあったが、最近になってそれは何か違うと気づいてしまったのだ。
それに両親にはそれぞれに別の愛する人が居るらしいと知ってしまったのだ。
これは所謂愛人である。
リリアンナはそのことを知ったとき不思議と納得してしまった。
ああ、だから自分は二人にたいして愛されていなかったのか、と。
それと同時に、じゃあ自分のことは誰が愛してくれるのかという純粋な疑問が沸き起こってきたのだ。
リリアンナが好んで読む冒険小説や恋愛小説では必ずと言っていいほど愛される主人公が登場する。
リリアンナは現在、私にも愛してくれる人が見つかるのかなぁとぼんやりと窓から庭の花を眺めている最中だ。
どれくらいの時間が経ったのだろうか、ふと人の気配を感じてリリアンナがそちらに目を向けると、金色の髪に水色の瞳を持った天使のような少女がいた。
少女はリリアンナと目が合うと少し目を見開いて驚いた、というような仕草を見せた。
そして突然謎の発言をするのだった。
「あんたが悪役令嬢ね!いいわ、私の子分にしてあげる!!」
(ええ?!)
よく分からない台詞にリリアンナは戸惑った。
(悪役令嬢?何それ?)
ただ、子分という言葉が理解できた途端、リリアンナは即座にこう答えていた。
「貴方みたいな天使の子分になら喜んで。」
そう、リリアンナは、何故かこの瞬間に全力で喜んでいたのだ。
天使のような美しい少女が自分のような些末な存在を気にかけて、更には子分にしてくれると言っているのだ。喜ばない訳がない。
本気でそう思っているリリアンナにこの場に彼女の声が聞こえるまともな人が居たならつっこんでくれていたに違いないが、生憎ここには居ないため、何故か話は進んでしまう。
「そ、そう?いい心掛けね。やけに素直じゃない。私のことが嫌いじゃないの?」
「いえ、今初めて会ったのに嫌いになんかなりませんよ?それに私のことを子分にしてくれるということは私のことが好きなのですよね?」
リリアンナはゆったりと微笑んで少女に問いかけた。
「ば、ばかじゃないの?!す、好きとかそんなわけないじゃない。貴女と話してみたかっただけよ。大体この国では女同士じゃあ結婚できないのよ!そんなことも知らなかったの?!」
リリアンナはあくまで友情における好意を指したのだが少女は勘違いをしている。
「?当たり前でしょう。私は貴女と結婚するつもりはないです。それに、この前お父様が仰っていたもの。もうすぐ私には婚約者ができるって。そんなことより天使さまのお名前は?」
「あら、もう婚約者ができる時期なの。……って確かに自己紹介がまだだったわね。その様子じゃあ転生者じゃないみたいだし。私はシャーリー。一応、グルノ男爵の娘ってことになってるけど、ただの養子の一人なの。優秀なのを見込まれて引き取られたんだけど元々は孤児よ。男爵には養子がいっぱいいて、実子は三人だけ。残りの七人は私みたいな孤児か訳ありよ。」
「そう、色々大変ね……。」
(私は自分がこの世で一番不幸な人間だ位におもっていたけれど、そんなことなかったんだわ。この子だって私と同じ……ううん、もっと大変かもしれないのに人のことまで気にかけてる。なんて素晴らしい子なのっ。)
実際の少女改めシャーリーはそれほど善人ではないのだが、リリアンナの中では心優しい少女ということになっている。
「そんなことより、あんたはその婚約を喜んでるの?」
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