竜使いになりたいけど、契約した竜が最弱で困ってます。え、実は伝説の竜だって本当ですか?!

平井ゆづき

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第一章

1話

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ここはとある田舎の小さな家。ここから16歳の少女がまさに旅立とうとしていた。

「エリザ、気をつけて行ってくるよの!くれぐれも無理はしないでね。それともし時間があったらお手紙書いてちょうだいね。」
「わかってるよ、お母さん。それじゃ、いってきまーす!」

馬車の中から元気に手を振る少女がいた。

この少女の名はエリザ。
彼女は国では珍しい、黒髪をしていた。この世界において、黒髪というのは魔力の強さを表す。魔力、と言っても人間であるエリザには空を飛んだり、火をおこしたり、といった人外的なことは出来ない。

エリザの暮らすドラゴニア王国では稀に黒髪の魔力の強い子供が生まれる。その子たちは「竜使い」と呼ばれ、国で保護され、特別な教育をするために16歳になると王立竜学校に入学することが義務付けられる。
そう。黒髪を持って生まれた子は竜使いの名からもわかる通り龍を使役することが出来る。竜使いは長年に渡りドラゴニア王国を他国の侵害から護ってきた言わば国の要的存在である。

竜使いが生まれる両親はランダムで、どこの家に生まれるかは運だ。しかし国から認められたエリート街道を歩むことは間違いがなく竜使いが生まれた家族は泣いて喜ぶと言っても大袈裟ではない。

さて、そんなエリート学校に通うことになったエリザはいたって普通の16歳の女の子だ。家も特別に貧しいということも無い。強いて言うなら幼い時に父親が事故で亡くなって、母親が女手一つでエリザを育ててきたことくらいか。

(これでしばらくお母さんとは会えないけど、元気でね。この田舎から竜学校のある王都までは6時間かかるけどこれからそんな都会でやってけるのかな。しかも学校は国から集められたエリートばっかり。はあ、今から胃が痛いよ……。)

まだまだ長い道のりを思うと憂鬱になるエリザだった。
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