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魔法使いバトル編

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というわけで、レイと私は魔法使いバトルに出場するために、その一次審査を突破する作戦会議をしていた。

あのあと、話すだけ話して立ち去ろうとしたルータ先生を必死に引き留めて、どんな課題が出るのか聞いたところ魔獣を倒すことができた組に魔法使いバトルの出場権利が渡されるらしい。 

ちなみに、一次審査とかいっているわりに二次審査とかはないらしい。

本当はやる予定だったらしいけど、なんでも用意した魔獣が予想より強く、学生の数がそれなりに絞れることに気づいたそうだ。


「アイリーンを危険な目に合わせるわけにはいかないから俺の結界の中にいてくれよ。その間に俺はささっと怪獣でもモンスターでも退治してくるからさ!」

「いやいや早まるでない、若人よ。ここは年長者の私が倒してしんぜよう。そして倒すのは魔獣だ。」

「なんだよその話し方。それに俺のことを年下扱いするな。結構へこむ。」


何だか本当に落ち込んでいるようで顔がしょぼんとしている。


「ごめんなさい。でもたまには格好つけてレイの役に立ちたくて……。」

「そうか……。俺のことをお子さまだと思ってないならいいが。アイリーンはどうせ俺のことを心配してるんだろうけど、それは無駄だ。俺は自分でいうのもなんだが、この年で飛び級してきたんだぞ?あんなことやそんなことを飛び級課題でやらされたに決まってんだろ!」


どんなことをやらされたんだろう。
聞きたいけど怖くて聞けない。


「それなら今回は任せるけど、私だって何かしたいよ。」

「俺はアイリーンが無事なところにいないと集中して技を使えないんだ。仕方ないだろう。」


どんだけ脆い集中力なんだ。


「わかったわかった。でもとりあえずお互いの得意属性くらい把握しておかない?」


ここにきてやっと魔法の話しになる。
魔法は魔力を持つ人しか使えないので謎に満ちているが、基本的に人には得意とする属性がある。

頑張っても水ばかり手から出てしまう人もいれば、怒ると感情と連動して火が体から出てしまう人もいる。



そして私の属性は……草だ。


植物学者とかならいいけど私にこの能力があっても大して役にはたたない。

それに草がないと何もできないので、砂漠に放り出されたらほぼ無力だ。

水魔法も使えるには使えるが……じょうろの水程度だ。


「それで、レイは何の属性が得意なの?私は……」

「植物系の魔法だろ?アイリーンにはぴったりだ。」

「結構ショボいんだけど平気かな……?」

「大丈夫大丈夫。俺がいるんだから。」


本当に大丈夫かな。
一次審査はもうすぐなのに。





レイの得意な属性を聞き忘れたことに気づいたのは自分の部屋に帰ったあとだった。






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