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​    〇音楽室 

​ 【FI 全体】 

眞白「うー合唱サークルだよ!」

藍 「よかったね、眞白」

眞白「うん! いやあ、ほんとありがとうね!」

​    眞白 1人1人握手して回る 

​    登  紙を見ながら

登 「えっと北橋一星きたばし いっせいくん」

一星「おう」

登 「島崎琴音しまざき ことねさん」

琴音「あいあいさー」

登 「佐々川彩歌ささがわ あやかちゃん」

彩歌「はい・・・」

登 「羽持満月はもち みつきさん」

満月「はいはい」

藍 「眞白、はしゃぎ過ぎ」

眞白「何を仰いますか、藍ちゃんさん
   合唱サークル活動初日ですよ?
   それをどうして
   はしゃがずにいられると言うのでしょう!」

藍 「念願のみたいなニュアンスだけど
   入学してから1週間しか経ってないからね?」

眞白「分かってませんね、藍ちゃんさんは」

藍 「え?」

眞白「この4人が入部してくれなければ
   未来永劫活動日を迎えることはなかったのよ!」

藍 「そう・・・ね」

一星「そりゃそうだろう」

眞白「ゆえに手厚くご奉仕する義務が
   私たちにはあるの!!」

琴音「それ
   はしゃいでいい理由になってないよ・・・」

藍 「私が間違ってたわ」

登 「合ってたよ!?」

満月「大丈夫、この部活」

一星「前途多難だなあ」

彩歌「あはははは・・・」

登 「お前ら、新入部員ほったらかさないでくれ」

眞白「あ! えっと、なにするんだっけ?」

藍 「正式な部長と活動日を決めるんでしょう?」

眞白「そうでした」

登 「部長は、眞白でいいと思うぞ? 発起人だし」

藍 「そうね、結局来てくれたの
   眞白が声かけた人たちだけだもんね」

琴音「私もそれでいいと思う!
   ね、彩ちゃん、満月ちゃん」

彩歌「は、はい」

満月「OK」

一星「よーし、決まりだな!
   どうせ、1年生しかいないんだ、遠慮すんなよ」

眞白「う、うん! 仮とは言え
   一度引き受けた身だもんね、任せて!」

藍 「これで部長は決まりだね」

登 「そうだな」

藍 「次に活動日だけど」

琴音「はいはい、先生!」

眞白「どうしました、琴音さん」

琴音「私、先に自己紹介したい!」

藍 「そうね、私も眞白と登以外初対面だし」

琴音「それで、決意表明もしたい! 面白そう!」

満月「始まった・・・」

琴音「1年B組島崎琴音! 夢は全国制覇!!」

登 「どこの運動部?!」

琴音「夢はでっかくだよ!」

藍 「確かにそうだよね」

一星「全国制覇?!」

藍 「え」

全員「え」

藍 「あ、違う違う。夢はでっかくの方!
   どこか大きな舞台で歌いたいなって思って」

琴音「なにそれ、楽しそう!」

​    琴音 藍と弧を描くように近寄る

満月「それは私もしてみたいかも」

彩歌「私はちょっと・・・」

琴音「まあまあ、そう言わずに」

​    琴音 彩歌を誘拐 

彩歌「え、え」

一星「これってさ・・・」

登 「ああ、やる流れ・・・」

一星「だよな・・・」

男子「はあ」

一星「男子少ねえけど、強く生きような!」

登 「おう!」

    ​登  一星と握手など 

藍 「登! こっち来る! 脛蹴るよ!」

登 「はい! 只今!」

​    登  藍たちの輪へ 

一星「え、おい。お前らってどういう関係だよ」

登 「ただの腐れ縁!」

​    登  藍に脛を蹴られる 

登 「おうふ、理不尽」

 【SE 割れる音】

​    一人ずつ順繰りにゆっくりと四方に

​    満月 無表情で退場 

​    琴音 無表情で退場 

​    一星 無表情で退場 

    彩歌 無表情で退場

​    眞白 俯いて退場 

​    藍  登と見つめ合う 

​    登  退場 

​    藍  椅子にへたり込み、俯せる 

 ​【照明 全体をより明るく】 

    ​彩歌 上手から登場 

彩歌「え、藍さん?
   今日活動ありませんよ、藍さん、藍さん?」

藍 「ん? んん、夢・・・? ・・・彩歌ちゃん」

彩歌「どうしたんですか?」

藍 「私は別に・・・
   彩歌ちゃんこそ、もう活動ないのに」

彩歌「月曜は早く終わるので
   いつもここで歌ってるんです。
   歌うのは好きですから・・・」

藍 「好き」

彩歌「はい」

藍 「・・・今からでも授業戻ろうかな」

琴音「そうだね~サボりはいくないよ、藍ちゃん」

​    琴音・一星 上手から登場 

藍 「え、琴音ちゃん。それに一星くんまで」

一星「お前らに話があってな」

藍 「話?」

琴音「眞白ちゃんについて」

藍 「眞白、今日学校来てない」

一星「そうか。そいつはいいんだ。
   いや、良くないが、今はいい。
   でだ、眞白がどうしてMVに
   応募したと思う?」

藍 「それは・・・」

一星「分からないよな。
   あれが仮に、独断や気まぐれじゃなく
   俺たちの想いに応えようとした
   行動だったら?」

彩歌「私たちの想いに・・・?」

藍 「それって、もしかして」

一星「ああ」

藍 「うそ、え、うそでしょ。
   だって、そしたら私・・・」

琴音「藍ちゃん」

彩歌「藍さん・・・」

一星「ちっ、お前ら、部員集めんぞ」

琴音「ダメ、満月ちゃん、もうバイト!」

彩歌「それに復活できたとしても」

一星「今はそんなもんどうでもいいんだよ!
   本当に登の言う通りなら
   こんなんで終わんのぜってえ間違ってっから!」

藍 「登・・・・?」

一星「なにかいい方法ねえか、2人とも」

藍 「無理だよ、今更」

​    一星 藍を睨む 

彩歌「あ、そういえば
   今週の火曜、明日なら満月さん、空いていると」

一星「でかした、彩ちゃん! 
   ほらな、諦めなきゃチャンスは必ず来る!
   眞白はこの際、後回しだ・・・
   藍、お前は明日ここに来いよ!」

藍 「・・・・・・・・・」

琴音「うん!
   頑張って復活させよう、合唱サークル!」

彩歌「頑張ってください?」

琴音「彩ちゃんもだよ」

彩歌「え、はい。私も何か力になれるなら」

琴音「もちろん。
   彩ちゃんだって大事なメンバーなんだから」

彩歌「あ、はい!
   私たちのクラスはお昼で授業が終わります」

一星「分かった、んじゃあ、俺も捕獲手伝うわ」

藍 「私帰る」

​    藍  上手に向かう 

一星「藍!
   クヨクヨするより先に
   することがあるんじゃねえの?
   いや、俺は知らねえけど」

​    藍  退場 

 ​【暗転】 
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