6 / 84
第1章 シルヴァリオン
【6】 惚れてまうやろー!!
しおりを挟む
次の日、意気揚々とクラスに入り「おはよう!」と元気よく挨拶してみたけど、クラスメイトの目線はすぐ横にいたオーディンに注がれていてボクの挨拶は黙殺された。
すぐに人垣に囲まれたオーディンを横目にトボトボと1番後ろの窓側の自分の席に腰掛ける。
この学園は1クラスが20人ほどで、広い教室の席は一人ひとり独立した大きな机と豪華な一人がけソファで背もたれは湾曲していて前以外はよく見えないようになっているので、ボッチのボクがションボリしているのは他の人には見えにくくて助かる。
『今日こそは友達を作る!』と意気込んでた心が早くもくじけた。
今日からは本格的に授業が始まり、午後の授業もある。
休み時間ごとにオーディンに群がるクラスメイトたちを羨ましく眺める。
エーリスよりも進んでいる授業内容に必死でくらいついた午前の授業が終わると、オーディンが昼食を食べに行こうと誘ってくれた。
食堂があるらしい、まずいシアーズ国のご飯でも食べないわけにもいかないのでついていくと、オーディンは教室の上の階の絨毯敷の廊下を進む。
明らかに教室なんかとは造りの違う豪華な雰囲気に緊張していると、1つの部屋に招き入れられた。
部屋に入ると、降り注ぐ光に目眩がしそうになった。
美しい調度品はオーディンの部屋とどこか似通っていて、応接セットがありバルコニーにつながる部屋はサンルームのようになっており天井までガラスで出来ている。
そこにあるダイニングテーブルには美味しそうな料理がこれでもかと盛られていて、エーリス料理もチラホラと見える。
「シアーズの料理が口に合わないようだから各国の料理を作らせてみたよ」
天井からの光をニッコリと金髪に受けながらイケメン皇子が微笑む。
『どれでも好きなの食べてみて』と勧められ久々にたくさん食べた。
幸せ気分に浸っていると、皇子宮にも各国料理を作れるシェフを用意するからとオーディンが言った。
(惚れてまうやろー!!)
胃袋をガッチリと掴まれた気がした。
そしてこの部屋はオーディン専用の部屋で、これからは昼休みはここで過ごすんだと告げられる。
(え…?)
昼休みが友人を作る1番のチャンスだと思ってたボクは、喜びが一気に去ってゆく。
「お昼は…食堂でいいよ?こんなにあっても食べきれないし…」
控えめに丁重にお断りしたけど聞き入れられなかった。
(そうか、ボクが食堂に行っちゃうとオーディンここで一人ぼっちになっちゃうのか)
給餌のボーイさんやメイドさんはたくさんいるけれど一人で食べるのって寂しいよねと思い直し、明日からもここで食べることを了承した。
昼休みは2時間もあり、食後のお茶をオーディンとサンルームのカウチで飲んでいた。
ポカポカと暖かく、爽やかな風が吹き抜ける。
目の前にそびえる大木の葉がサワサワと揺れる音を聞きながら、温暖なシアーズ国の気候を楽しんでいたボクは昨日の寝不足もありウトウトと眠ってしまっていた。
ピッチュ―――ッピピピピピィ―
小鳥のさえずりで目を覚ましたボクの髪を誰かが撫でている。
眩しい光…ではなくこれはオーディンの金髪だ。
なんということでしょう、ボクは長カウチに横になり、恐れ多くも大親分国の若様のお膝を枕にして眠ってしまっていた。
あわてて起き上がろうとすると抑え込まれてそれも叶わない。
「昼休みはまだ1時間ほどもあるから、ユックリおやすみ」
髪を撫でる手は止まらない、顔が近い、頬に触れるオーディンの体温、全てが恥ずかしく眠るどころじゃなくなった。
ため息が出るほどのイケメンをジッと見つめる。
(友達はまだ出来ないけど、オーディンがいつも側にいてくれるから寂しくない)
負け惜しみじゃなく本当にそう思ったんだ。
すぐに人垣に囲まれたオーディンを横目にトボトボと1番後ろの窓側の自分の席に腰掛ける。
この学園は1クラスが20人ほどで、広い教室の席は一人ひとり独立した大きな机と豪華な一人がけソファで背もたれは湾曲していて前以外はよく見えないようになっているので、ボッチのボクがションボリしているのは他の人には見えにくくて助かる。
『今日こそは友達を作る!』と意気込んでた心が早くもくじけた。
今日からは本格的に授業が始まり、午後の授業もある。
休み時間ごとにオーディンに群がるクラスメイトたちを羨ましく眺める。
エーリスよりも進んでいる授業内容に必死でくらいついた午前の授業が終わると、オーディンが昼食を食べに行こうと誘ってくれた。
食堂があるらしい、まずいシアーズ国のご飯でも食べないわけにもいかないのでついていくと、オーディンは教室の上の階の絨毯敷の廊下を進む。
明らかに教室なんかとは造りの違う豪華な雰囲気に緊張していると、1つの部屋に招き入れられた。
部屋に入ると、降り注ぐ光に目眩がしそうになった。
美しい調度品はオーディンの部屋とどこか似通っていて、応接セットがありバルコニーにつながる部屋はサンルームのようになっており天井までガラスで出来ている。
そこにあるダイニングテーブルには美味しそうな料理がこれでもかと盛られていて、エーリス料理もチラホラと見える。
「シアーズの料理が口に合わないようだから各国の料理を作らせてみたよ」
天井からの光をニッコリと金髪に受けながらイケメン皇子が微笑む。
『どれでも好きなの食べてみて』と勧められ久々にたくさん食べた。
幸せ気分に浸っていると、皇子宮にも各国料理を作れるシェフを用意するからとオーディンが言った。
(惚れてまうやろー!!)
胃袋をガッチリと掴まれた気がした。
そしてこの部屋はオーディン専用の部屋で、これからは昼休みはここで過ごすんだと告げられる。
(え…?)
昼休みが友人を作る1番のチャンスだと思ってたボクは、喜びが一気に去ってゆく。
「お昼は…食堂でいいよ?こんなにあっても食べきれないし…」
控えめに丁重にお断りしたけど聞き入れられなかった。
(そうか、ボクが食堂に行っちゃうとオーディンここで一人ぼっちになっちゃうのか)
給餌のボーイさんやメイドさんはたくさんいるけれど一人で食べるのって寂しいよねと思い直し、明日からもここで食べることを了承した。
昼休みは2時間もあり、食後のお茶をオーディンとサンルームのカウチで飲んでいた。
ポカポカと暖かく、爽やかな風が吹き抜ける。
目の前にそびえる大木の葉がサワサワと揺れる音を聞きながら、温暖なシアーズ国の気候を楽しんでいたボクは昨日の寝不足もありウトウトと眠ってしまっていた。
ピッチュ―――ッピピピピピィ―
小鳥のさえずりで目を覚ましたボクの髪を誰かが撫でている。
眩しい光…ではなくこれはオーディンの金髪だ。
なんということでしょう、ボクは長カウチに横になり、恐れ多くも大親分国の若様のお膝を枕にして眠ってしまっていた。
あわてて起き上がろうとすると抑え込まれてそれも叶わない。
「昼休みはまだ1時間ほどもあるから、ユックリおやすみ」
髪を撫でる手は止まらない、顔が近い、頬に触れるオーディンの体温、全てが恥ずかしく眠るどころじゃなくなった。
ため息が出るほどのイケメンをジッと見つめる。
(友達はまだ出来ないけど、オーディンがいつも側にいてくれるから寂しくない)
負け惜しみじゃなく本当にそう思ったんだ。
56
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?
米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。
ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。
隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。
「愛してるよ、私のユリタン」
そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。
“最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。
成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。
怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか?
……え、違う?
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
婚約破棄されてヤケになって戦に乱入したら、英雄にされた上に美人で可愛い嫁ができました。
零壱
BL
自己肯定感ゼロ×圧倒的王太子───美形スパダリ同士の成長と恋のファンタジーBL。
鎖国国家クルシュの第三王子アースィムは、結婚式目前にして長年の婚約を一方的に破棄される。
ヤケになり、賑やかな幼馴染み達を引き連れ無関係の戦場に乗り込んだ結果───何故か英雄に祭り上げられ、なぜか嫁(男)まで手に入れてしまう。
「自分なんかがこんなどちゃくそ美人(男)を……」と悩むアースィム(攻)と、
「この私に不満があるのか」と詰め寄る王太子セオドア(受)。
互いを想い合う二人が紡ぐ、恋と成長の物語。
他にも幼馴染み達の一抹の寂寥を切り取った短篇や、
両想いなのに攻めの鈍感さで拗れる二人の恋を含む全四篇。
フッと笑えて、ギュッと胸が詰まる。
丁寧に読みたい、大人のためのファンタジーBL。
他サイトでも公開しております。
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる