ひとりぼっちの嫌われ獣人のもとに現れたのは運命の番でした

angel

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8章

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「ご機嫌いかがでございますか」

焦げ茶色の髪の半分ほどが白いものに変わっている老いたクウガ族が、焦げ茶色の長衣を翻し、満面の笑みで腰を折る。

俺の機嫌を聞いている、シャウデボクトの機嫌は頗るよさそうだ。


少しのいら立ちを感じ、ここでの待遇についての疑問を伝えた。


千早ちはやはどこにいる?」


「この奥宮殿内の貴賓室にて滞在いただき、健やかにお過ごしでございます」



腰をまっすぐにしたシャウデボクトが目を細め、笑顔のまま答える。


「会いたいと伝えたはずだが、伝わっていないのか?」

「聞き及んでおります、機会を作りお会いいただくよう手配を進めております」


意外な返答に、しばし思考が固まる。

--------同じ宮殿内にいるのに、会う機会を作る手配?

正気か?


ギラギラと輝く、リウアン村ではアルゼ異質な存在と恐れられた俺の瞳を恍惚とした表情で見つめるシャウデボクトに重ねて問う。

「食事の事も伝わっているか?今までの街のもので充分だ。というかここでの食事は口に合わない」

「そちらも聞き及んでおります。厨房一同、粉骨砕身してご希望に沿うよう努力いたしております」


努力?

--------いや、今までのようなものを出してくれるだけでいいのに


この話の伝わらなさは何なんだろう。


「あと俺たちの寝室にずっと人がいるのは、気が休まらないからやめてくれとも伝えたが」


「はい、しかしそれは難しゅうございます。奥宮殿では代々こうして参りましたことで、なんらおかしなことではございません」

ニッコリと微笑み皺が深くなるシャウデボクトの顔を、唖然と見つめる。


永遠とわを同席させなくて良かった。

もしここに永遠とわがいたら『なんで?なんで?』の連続だっただろう。

--------俺だって言いたい、なんでそうなる?


「衣服についても伝わっているか?このような衣服では寛げない。私室にいるだけなのにこのような華美な装飾はいらない」

ゴテゴテと宝石が付いた衣装は動きにくく、重い。
誰か要人に会うだとか、街に出るならまだしも、この奥宮殿で閉じ込められるかのように過ごしている俺たちに必要のないことだと伝えるのに。

「よくお似合いでいらっしゃいます。その衣装は先々代の黒の王のお召し物を仕立て直したもので、白のつがい様の衣装と対比している点と揃いになってる点の比率が絶妙でございましょう」


ニコニコと噛み合わない返答をするシャウデボクトに、恐怖心を覚えた。
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