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5章
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昼食を終えた後、ラフがやってきて綺麗な礼をした。
今日は昨日とは違う濃いヤマグ色の上下がつながった長袖の、楽そうだが綺麗な刺繍の入っている衣装を着ている。
その姿に、ここは安全で戦闘が起きるわけがないんだなと感じた。
「お食事はいかがでしたか?ご不足はございませんでしたか?」
2ムタレ程先で少し膝を折り、座る俺の目線と会うように話すラフ。
他人と普通に視線が合うことに、なかなか慣れないがこれが普通なのだろう。
「ああ、充分だ。残ってしまって済まない」
嬉しい気持ちを隠しながら、残った料理を見下ろすと
「とんでもないことでございます。足りないと言うことがないよう多めにお出ししていますので」
更に両膝を下げるラフ。
わざとだったのか、気を使ってくれている事に申し訳なさと嬉しさが入り混じる。
「そうなのか、わかった。食べなれたリウアンの料理を出してくれる気遣いに感謝する」
頭を下げるとラフがあわてて床に膝をつき服従の姿勢をとる。
最初は驚いていたが、この体勢をされることにも慣れてきてしまった。
「らふ~」
低い体勢のラフを永遠が4つん這いになり下から覗き込む。
「なんでプルプル、ないなった?」
驚きと問われている事がわからないラフが俺に助けを求めるように顔を上げると、代わりに千早が答えた。
「昨日食べたプルプルした食べ物、俺のも食べちゃうくらい気に入ってたあれがなかったのが不満らしいです」
少しビクつきながらだったがラフと普通に会話できてる千早。
リウアン族は実際は臆病で一族で固まり、山奥でヒッソリと生きる種族。
クウガ族という最強の種族相手に普通に話すのは相当な精神力と勇気が必要だろうに、そんなこと知りもしないアルゼがウンウンと頷くとラフが永遠に向けて服従の体勢をとる。
「申し訳ございません。すぐに用意させますのでしばらくお待ちください」
言うなり一人のクテニ族に目配せをすると、クテニ族は素早く、だが優雅に退室していった。
「永遠さま、本日も久遠様は宰相とお話がございますがご一緒されますか?それとも千早様と一緒にプルプルを食された後、私と幻魔獣に乗って遊びますか?」
耳がピンッと立ち黒い瞳が輝くアルゼ。
宰相との話は聞いていてもつまらないだろうし、何より乗りたそうな顔をしている。
「そうさせてもらうといい。俺は昨日の部屋の窓から見てるから、話が終わったら行くから」
俺だってもう1度幻魔獣に乗ってみたいし、可能ならば飛幻魔獣にも乗ってみたい。
永遠はギュと俺の手を握り、ためらいながらもうなずいた。
2人のクテニ族に案内されて昨日の広間着くと、いるのは宰相と部屋の4隅に立つ4人のクテニ族だけだった。
俺が案内された席は、窓に近い布製の一人用の豪華なもの。
その向かいに宰相が礼をした後に座り、俺が見ていた幻魔獣に乗せてもらっている永遠を見て相好を崩す。
「白の番様は健康でいらっしゃる……」
永遠様と言わず白の番様と言った宰相。
昨日、先代の白の番が体が弱く出産と同時に亡くなったと聞いたから、宰相が今どんな気持ちで永遠を眺めているのか理解できた。
「ああ、1度寝込んで慌てたことはあったが、健康で元気すぎるくらい元気だ」
クテニ族が小さな机に乗せた茶器を運んできて、宰相との間に置いて下がってゆく。
香りからしてガビエ茶だろう。
器を持ちクンと嗅ぎ飲んでみるとやはりガビエ茶だった。
「こちらのガビエ茶は香りも深くて美味しゅうございますね」
ここのしか知らない俺だが、そう言われるとなんだか嬉しい。
宰相の服装は昨日のとは違い、軽装というか平服なのだろう無駄な飾りはないコス色の美しい布だ。
器を台に置き、チラと窓外の永遠を確認した後、昨日の話の続きを促した。
今日は昨日とは違う濃いヤマグ色の上下がつながった長袖の、楽そうだが綺麗な刺繍の入っている衣装を着ている。
その姿に、ここは安全で戦闘が起きるわけがないんだなと感じた。
「お食事はいかがでしたか?ご不足はございませんでしたか?」
2ムタレ程先で少し膝を折り、座る俺の目線と会うように話すラフ。
他人と普通に視線が合うことに、なかなか慣れないがこれが普通なのだろう。
「ああ、充分だ。残ってしまって済まない」
嬉しい気持ちを隠しながら、残った料理を見下ろすと
「とんでもないことでございます。足りないと言うことがないよう多めにお出ししていますので」
更に両膝を下げるラフ。
わざとだったのか、気を使ってくれている事に申し訳なさと嬉しさが入り混じる。
「そうなのか、わかった。食べなれたリウアンの料理を出してくれる気遣いに感謝する」
頭を下げるとラフがあわてて床に膝をつき服従の姿勢をとる。
最初は驚いていたが、この体勢をされることにも慣れてきてしまった。
「らふ~」
低い体勢のラフを永遠が4つん這いになり下から覗き込む。
「なんでプルプル、ないなった?」
驚きと問われている事がわからないラフが俺に助けを求めるように顔を上げると、代わりに千早が答えた。
「昨日食べたプルプルした食べ物、俺のも食べちゃうくらい気に入ってたあれがなかったのが不満らしいです」
少しビクつきながらだったがラフと普通に会話できてる千早。
リウアン族は実際は臆病で一族で固まり、山奥でヒッソリと生きる種族。
クウガ族という最強の種族相手に普通に話すのは相当な精神力と勇気が必要だろうに、そんなこと知りもしないアルゼがウンウンと頷くとラフが永遠に向けて服従の体勢をとる。
「申し訳ございません。すぐに用意させますのでしばらくお待ちください」
言うなり一人のクテニ族に目配せをすると、クテニ族は素早く、だが優雅に退室していった。
「永遠さま、本日も久遠様は宰相とお話がございますがご一緒されますか?それとも千早様と一緒にプルプルを食された後、私と幻魔獣に乗って遊びますか?」
耳がピンッと立ち黒い瞳が輝くアルゼ。
宰相との話は聞いていてもつまらないだろうし、何より乗りたそうな顔をしている。
「そうさせてもらうといい。俺は昨日の部屋の窓から見てるから、話が終わったら行くから」
俺だってもう1度幻魔獣に乗ってみたいし、可能ならば飛幻魔獣にも乗ってみたい。
永遠はギュと俺の手を握り、ためらいながらもうなずいた。
2人のクテニ族に案内されて昨日の広間着くと、いるのは宰相と部屋の4隅に立つ4人のクテニ族だけだった。
俺が案内された席は、窓に近い布製の一人用の豪華なもの。
その向かいに宰相が礼をした後に座り、俺が見ていた幻魔獣に乗せてもらっている永遠を見て相好を崩す。
「白の番様は健康でいらっしゃる……」
永遠様と言わず白の番様と言った宰相。
昨日、先代の白の番が体が弱く出産と同時に亡くなったと聞いたから、宰相が今どんな気持ちで永遠を眺めているのか理解できた。
「ああ、1度寝込んで慌てたことはあったが、健康で元気すぎるくらい元気だ」
クテニ族が小さな机に乗せた茶器を運んできて、宰相との間に置いて下がってゆく。
香りからしてガビエ茶だろう。
器を持ちクンと嗅ぎ飲んでみるとやはりガビエ茶だった。
「こちらのガビエ茶は香りも深くて美味しゅうございますね」
ここのしか知らない俺だが、そう言われるとなんだか嬉しい。
宰相の服装は昨日のとは違い、軽装というか平服なのだろう無駄な飾りはないコス色の美しい布だ。
器を台に置き、チラと窓外の永遠を確認した後、昨日の話の続きを促した。
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