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16章
好きなトコ
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甘い紅茶を飲み、添えられてたフィナンシェを食べる。
ジュワッと甘みが湧き出てくるようなこの洋菓子は、地元の産直市場で日曜日にだけ並ぶものでオレの大好きなオヤツだ。
2つ食べ終わりもう一つ食べようか迷ってる所に、オレのと同じバスローブを着た海瑠が戻ってきて隣に座った。
「なんでお前のはズボンがあるんだよ」
オレのはワンピースみたいになった上しかなくって、下着もはいてなくてスースーするのに。
「そのほうが可愛いかなって」
可愛いって…ズルイぞって言いたいのになぜか言えなくなっちゃったオレは裾を握りしめ俯いた。
フフッって笑う声がして髪をクシャッとなでられる。
「おまえは…」
平凡などこにでもいるような男子高校生のオレのどこが可愛いんだか。紅茶を飲む横顔をチラと見上げればまばゆいばかりの金髪と超絶イケメンがとろけそうな顔で微笑んでくる。
「オレなんかのどこがいいんだよ…変な奴」
カップを置く音がした後、大きな手が憎まれ口しか言えないオレの肩を抱き寄せ胸元へと埋めさせる。
「どこって…聞いちゃう?しょーちゃんの好きなとこ」
この後の事を考えると恥ずかしすぎて、少しでも会話を続けたかったオレはコクリと頷いた。
「たとえば駄菓子屋で毎回ノシイカとカレーせんべいどっち買うかで悩むしょーちゃんも好きだし、回転すしで回ってくるシャコエビに怯えるしょーちゃんも好き」
長くきれいな人差し指と中指をを月にかざしながら優美に微笑む海瑠。
「朝眠そうにパンをかじってるしょーちゃんも好きだし、毎朝はねてる後ろ髪も好き」
4になった指も愛しくて心がキュッってなる。
「アイロンでやけどしたのがバレないように手をポケットに入れて隠してるのも好きだし、小さい手の骨ばってないぷっくらした指も好きだし、桜貝のような可愛い爪も好き」
青い瞳が凪の湖面のように柔らかな光を湛えてオレの顔を見下ろす。
「寝起きが悪くてボンヤリしてる顔も好きだし、一緒に寝てる時寝ぼけて俺の首元に顔をスリスリしてくるのも好き」
長いまつ毛が肌に濃い影を作る。堀りの深い顔が彫刻の大天使のように厳かで美しくて、海瑠の言う言葉が福音のようにオレの上に降り注ぐ。
「しょーちゃんの好きなところなんて朝まで語っても語りつくせないよ」
海瑠の顔が近づいてきて睫毛が触れそうな距離で止まる。
いつもとは違う色を含んだ目元がオレの心臓を跳ねさせる。なんて目で見るんだよ…
「俺のすべてはしょーちゃんの物だよ。一生愛しぬくと誓います。
だから…しょーちゃんの初めてを全部をもらってもいいかな…?」
トゥクン…と心臓が鳴った後ギュッって苦しくなった。
嬉しくて顔がクシャッて歪んで涙がこみあげてくる。
海瑠の煌めく瞳も潤んでいて、誘うように薄く開かれた口元に吸い寄せられるようにオレは唇を寄せた。
ジュワッと甘みが湧き出てくるようなこの洋菓子は、地元の産直市場で日曜日にだけ並ぶものでオレの大好きなオヤツだ。
2つ食べ終わりもう一つ食べようか迷ってる所に、オレのと同じバスローブを着た海瑠が戻ってきて隣に座った。
「なんでお前のはズボンがあるんだよ」
オレのはワンピースみたいになった上しかなくって、下着もはいてなくてスースーするのに。
「そのほうが可愛いかなって」
可愛いって…ズルイぞって言いたいのになぜか言えなくなっちゃったオレは裾を握りしめ俯いた。
フフッって笑う声がして髪をクシャッとなでられる。
「おまえは…」
平凡などこにでもいるような男子高校生のオレのどこが可愛いんだか。紅茶を飲む横顔をチラと見上げればまばゆいばかりの金髪と超絶イケメンがとろけそうな顔で微笑んでくる。
「オレなんかのどこがいいんだよ…変な奴」
カップを置く音がした後、大きな手が憎まれ口しか言えないオレの肩を抱き寄せ胸元へと埋めさせる。
「どこって…聞いちゃう?しょーちゃんの好きなとこ」
この後の事を考えると恥ずかしすぎて、少しでも会話を続けたかったオレはコクリと頷いた。
「たとえば駄菓子屋で毎回ノシイカとカレーせんべいどっち買うかで悩むしょーちゃんも好きだし、回転すしで回ってくるシャコエビに怯えるしょーちゃんも好き」
長くきれいな人差し指と中指をを月にかざしながら優美に微笑む海瑠。
「朝眠そうにパンをかじってるしょーちゃんも好きだし、毎朝はねてる後ろ髪も好き」
4になった指も愛しくて心がキュッってなる。
「アイロンでやけどしたのがバレないように手をポケットに入れて隠してるのも好きだし、小さい手の骨ばってないぷっくらした指も好きだし、桜貝のような可愛い爪も好き」
青い瞳が凪の湖面のように柔らかな光を湛えてオレの顔を見下ろす。
「寝起きが悪くてボンヤリしてる顔も好きだし、一緒に寝てる時寝ぼけて俺の首元に顔をスリスリしてくるのも好き」
長いまつ毛が肌に濃い影を作る。堀りの深い顔が彫刻の大天使のように厳かで美しくて、海瑠の言う言葉が福音のようにオレの上に降り注ぐ。
「しょーちゃんの好きなところなんて朝まで語っても語りつくせないよ」
海瑠の顔が近づいてきて睫毛が触れそうな距離で止まる。
いつもとは違う色を含んだ目元がオレの心臓を跳ねさせる。なんて目で見るんだよ…
「俺のすべてはしょーちゃんの物だよ。一生愛しぬくと誓います。
だから…しょーちゃんの初めてを全部をもらってもいいかな…?」
トゥクン…と心臓が鳴った後ギュッって苦しくなった。
嬉しくて顔がクシャッて歪んで涙がこみあげてくる。
海瑠の煌めく瞳も潤んでいて、誘うように薄く開かれた口元に吸い寄せられるようにオレは唇を寄せた。
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