悠遠の誓い

angel

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18章

未融合  side 渉

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「わたさん…ありがとう。ボクもう平気だから」

高熱で潤んだ黒目がちの瞳。はふはふと苦し気な息なのに平気だと気を遣う。
ベッドに横たわってるのは誰やと視線で海瑠かいるに問いかける。

額に貼ってやった冷えピタが気持ちいいのかウフっと無垢な笑顔がこぼれる。
眩しすぎやろ…なんやこのキレーな生きもんは。





山荘に来る前に海瑠に解熱剤と冷えピタを要求されたからショタが熱出したんやろーことは想定してた。
『昨夜 無茶しすぎたんか?』と茶化す俺に

「やっぱりしょーちゃんがシルヴィだったんだ」

男の俺でも見ほれるような美貌が、花開くように満面の笑みを浮かべる。
こんなうれしそうな顔の海瑠を見たのははじめてや。

言われた言葉を理解するのに20秒ほどかかったけど、実際にショタを見て納得せざるをえなかった。



見た目はショタのままやのに内から輝くように眩しくて、高熱で苦しそうやのに肌もツヤツヤしてて触りたなる。

「わたさんて…なんやその呼び方は」

ベッドに腰かけて頭をなでてやると潤む瞳で天井を見上げ小首をかしげる。やめんか、なんやその可憐な仕草は。

「あれ…?んー…。…あれ?」

赤くなったほっぺに指を当て考え込むショタ。

「あ…!わたるだ。いつ来たんだ?」

起き上がろうとするショタの肩をおさえベッドに沈める。

「寝とけて、まだ熱高いんやから」

ボフンとベッドに沈むとハァッ…と吐息が漏れる。

なんやその色っぽい声は!やめんかい。ショタのくせに!
汗ばんだ髪がうなじにまとわりつくのも艶めかしくて俺が目をそらすと南極の氷よりも冷え切った青い瞳とぶつかった。
殺されそうな冷たさを含んだ瞳にブンブンと頭を振り両手を上げ無抵抗の意を表す。

わかってるて!お前のや!なんもせーへんから!!


そんな俺の気も知らずに。怯える俺の耳に無邪気なショタの声が聞こえた。

「わたるぅ…。アイス~…ちょーだい。いつもの高いやつ」

シーツに埋もれながら要求するコイツはやっぱりショタや。

ちょっぴり見た目がキラキラしくなったけどな。





「まだうまく融合してないんだ」

一睡もしてないのか疲れが見える顔で愛しそうにショタを見下ろす。

「俺が見とくし、お前はコイツの部屋ででも寝てこいや」

親切心で言うてるのに疑いの目でジトーって睨むのはやめいっ!


どんだけ美人になろうが中身がショタな時点で手なんか出すわけ…

ピンクに艶めく唇からふーふーと吐く息までもが甘く感じられる。閉じたまぶたを縁取る長い睫毛が濃い影を落とす頬が真珠のようにまろやかだろうが手なんか出すわけ…

ポンポンと肩を叩く手がガシッと掴んだかと思うと部屋の外へと出される。

「お前は一人で買い出しに行ってこい。今のしょーちゃんのブームはマカダミアナッツじゃなくずんだ餅アイスだから、それも忘れずにな。帰ってきたらお腹に優しい晩御飯作ってくれ」

「なんやその怒涛の要求は!俺は小間使いかっ!?」

ふふっと笑った海瑠の顔が年相応の悪ガキのようでつられて俺も笑う。
頼りにしてくれとんやな。しゃーないな。

「わーったって、お前もゆっくり寝とけ」

かいるぅ…とドアの向こうから聞こえる頼りなげな声にすぐさま反応してベッドへと戻り隣に潜り込んだのを見届けた俺はそっとドアを閉めた。





「長い間お疲れさんやったな」

今日ぐらい労ったるわ。長い長い間 耐え忍んだお前の勝利やからな。



「あー俺も彼女欲しわ~…」

大事な親友二人が眠る幸せな山荘を離れ、俺は一人寂しく買い出しのため山道に車を走らせた。


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