185 / 203
18章
命より大事な
しおりを挟む
今も雪が降るように舞い降りてくる前世の記憶。辛かった事と共に嬉しかった事、幸せだった日々も次々と蘇ってくる。
「シルヴァリオンはバカだなぁ…」
よりかかる俺の右腕をマッサージするかのように擦っていた手がピクリと止まる。
辛かった時代を覆すほどに愛してもらったし最期まで守ってもらったのに、なんであんな選択をしたのか自分でもわからない。
「許してやってくれな…たんまり怒っといたから」
オレの言葉にマッサージを再開した海瑠が小さくうなずく。コイツがオーディンとはずいぶん性格が違ってしまっている原因はシルヴァリオンが見つからなかったせいだろう。
絶対に一緒になろうと固く誓ったのにやっと見つけたオレはちっとも覚えていない。正太朗としてのオレをシルヴァリオンと確信しきれず、且つどちらをも諦めきれないつらさ。
それら全部がオレのせいなんだ―――――
「あんなとこに隠れやがって十数年もお前を苦しめたアイツをぶん殴っとけば良かったな」
マッサージされてない左手で拳を作って見せるオレの顔を驚いたように見つめる青い瞳が咎めるように見開かれる。
「やめてくれ。俺の命より大事な嫁なんだから」
その言葉に瞬間湯沸かし器のようにオレの顔の熱が上がったのがわかる。
「よ…嫁って!男だしっ!!」
あわてて体を離し【タカハシサン】をカウチに残し立ち上がるとつられて海瑠も立ち上がり、サンデッキの手すりと自分の両腕でオレを閉じ込めにかかる。
のけぞるような形でサンデッキを掴み、迫りくる超絶美形を見上げる。
「おまえ…ほんと前世まんまだな。オレはこんななのに」
前世じゃ神の子だ女神だと称された美貌のかけらもない、黒髪黒目な標準的日本人の平凡なオレ。身長も結局165cmにも届かなかった貧弱な体を見下ろすコイツはまだまだ成長してて細マッチョじゃなくてマッチョの部類に片足を突っ込んでた。
「しょーちゃんはシルヴィそっくりだよ」
「どこがだYO!」
速攻で突っ込むのにコイツは真顔で続ける。
「不思議なんだよね…こんなに清らかで可愛らしくて目を離すことも出来ないくらい魅力的なのに、昔からそれに誰も気づいてないんだ」
「お前それは惚れた欲目すぎだろ」
こんなチンチクリンなオレを絶賛しすぎだろて。
「そんなことない!」
迫りくる美形の顔から逃れて手すりにのけぞるオレの背に逞しい腕が回され支えてくれる。
いや、支えるより迫るのやめてくれし。
「初めて見つけた日もしょーちゃんだけが光り輝いてた。周りが全て消えてしまうくらいに神々しく存在してた」
色気だだもれでウットリと言う海瑠だが、幼稚園児だったころのオレは顔や膝小僧に絆創膏が絶えない小汚い悪ガキだったはずだ。
「しょーちゃんを誰にもとられなくて俺には好都合だったけどね。けど…記憶を取り戻すとともにシルヴィがあふれ出てるみたいで渉もご両親もしょーちゃんが信じられないくらい綺麗になってるって驚いてた」
形のいい唇がそんなことを言いながらオレの唇に重なってくる。
バードフィーダーに来た小鳥が見てるのに。
朝っぱらから深いキスしてくるんじゃないっつーの。
「シルヴァリオンはバカだなぁ…」
よりかかる俺の右腕をマッサージするかのように擦っていた手がピクリと止まる。
辛かった時代を覆すほどに愛してもらったし最期まで守ってもらったのに、なんであんな選択をしたのか自分でもわからない。
「許してやってくれな…たんまり怒っといたから」
オレの言葉にマッサージを再開した海瑠が小さくうなずく。コイツがオーディンとはずいぶん性格が違ってしまっている原因はシルヴァリオンが見つからなかったせいだろう。
絶対に一緒になろうと固く誓ったのにやっと見つけたオレはちっとも覚えていない。正太朗としてのオレをシルヴァリオンと確信しきれず、且つどちらをも諦めきれないつらさ。
それら全部がオレのせいなんだ―――――
「あんなとこに隠れやがって十数年もお前を苦しめたアイツをぶん殴っとけば良かったな」
マッサージされてない左手で拳を作って見せるオレの顔を驚いたように見つめる青い瞳が咎めるように見開かれる。
「やめてくれ。俺の命より大事な嫁なんだから」
その言葉に瞬間湯沸かし器のようにオレの顔の熱が上がったのがわかる。
「よ…嫁って!男だしっ!!」
あわてて体を離し【タカハシサン】をカウチに残し立ち上がるとつられて海瑠も立ち上がり、サンデッキの手すりと自分の両腕でオレを閉じ込めにかかる。
のけぞるような形でサンデッキを掴み、迫りくる超絶美形を見上げる。
「おまえ…ほんと前世まんまだな。オレはこんななのに」
前世じゃ神の子だ女神だと称された美貌のかけらもない、黒髪黒目な標準的日本人の平凡なオレ。身長も結局165cmにも届かなかった貧弱な体を見下ろすコイツはまだまだ成長してて細マッチョじゃなくてマッチョの部類に片足を突っ込んでた。
「しょーちゃんはシルヴィそっくりだよ」
「どこがだYO!」
速攻で突っ込むのにコイツは真顔で続ける。
「不思議なんだよね…こんなに清らかで可愛らしくて目を離すことも出来ないくらい魅力的なのに、昔からそれに誰も気づいてないんだ」
「お前それは惚れた欲目すぎだろ」
こんなチンチクリンなオレを絶賛しすぎだろて。
「そんなことない!」
迫りくる美形の顔から逃れて手すりにのけぞるオレの背に逞しい腕が回され支えてくれる。
いや、支えるより迫るのやめてくれし。
「初めて見つけた日もしょーちゃんだけが光り輝いてた。周りが全て消えてしまうくらいに神々しく存在してた」
色気だだもれでウットリと言う海瑠だが、幼稚園児だったころのオレは顔や膝小僧に絆創膏が絶えない小汚い悪ガキだったはずだ。
「しょーちゃんを誰にもとられなくて俺には好都合だったけどね。けど…記憶を取り戻すとともにシルヴィがあふれ出てるみたいで渉もご両親もしょーちゃんが信じられないくらい綺麗になってるって驚いてた」
形のいい唇がそんなことを言いながらオレの唇に重なってくる。
バードフィーダーに来た小鳥が見てるのに。
朝っぱらから深いキスしてくるんじゃないっつーの。
15
あなたにおすすめの小説
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
【短編】初対面の推しになぜか好意を向けられています
大河
BL
夜間学校に通いながらコンビニバイトをしている黒澤悠人には、楽しみにしていることがある。それは、たまにバイト先のコンビニに買い物に来る人気アイドル俳優・天野玲央を密かに眺めることだった。
冴えない夜間学生と人気アイドル俳優。住む世界の違う二人の恋愛模様を描いた全8話の短編小説です。箸休めにどうぞ。
※「BLove」さんの第1回BLove小説・漫画コンテストに応募中の作品です
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
鳴成准教授は新しいアシスタントを採用しました。実は甘やかし尽くし攻めの御曹司でした。
卯藤ローレン
BL
逢宮大学准教授の鳴成秋史は、自分の授業サポートをしてくれるTA(ティーチングアシスタント)を募集していた。
そこに現れたのは、月落渉と名乗る男。
志望動機を問うと、男はこう答えた。
「端的に言うと迷子です。迷える子羊のような気持ちで」
「……はい?」
独特なペース、冗談か真実か分からない。
けれど、鳴成は採用を決めた。
理由は、『自分に興味のなさそうな雰囲気に惹かれたから』。
それが、男の完璧なる包囲網の一端に既に引っかかっているとも知らずに――。
仕事の枠を超え持てる全てで全力サポートするハイスペック年下御曹司×穏やかで大人な年上准教授。
ベタベタしてないのにものすっごくイチャイチャしてる、日常系ラブコメです。
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
【完結】もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《根暗の根本君》である地味男である<根本 源(ねもと げん)>には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染<空野 翔(そらの かける)>がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。
初戀
槙野 シオ
BL
どうすることが正解で、どうすることが普通なのかわからなかった。
中三の時の進路相談で、おまえならどの高校でも大丈夫だと言われた。模試の結果はいつもA判定だった。進学校に行けば勉強で忙しく、他人に構ってる暇なんてないひとたちで溢れ返ってるだろうと思って選んだ学校には、桁違いのイケメンがいて大賑わいだった。
僕の高校生活は、嫌な予感とともに幕を開けた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる