勝手に花嫁にされてたんですけど逃げられますか?〜結婚前から破局ですよ、こんなもの〜

よだれ

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中身

1 花嫁

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授業が終わった。
今日の授業はとくに頭に入ってこなかった。
頭に焼きついて離れない、目をつぶれば絢香の背中に咲いていた刻印。
少し見た目こそ違ってはいたけど、あれは化け猫の花嫁の刻印で間違いない、はず。

「あれ、先生は?」

榊原に花嫁についての話を聞きたくて教室を見渡したが姿はなかった。
「授業終わったあとに出て行ったぞ」隣にいた悠雅が答えてくれた。

「そっか、ありがとう」

絢香がいるから自分には関係ないと思いたいが、胸の刻印は消えていない。
消えてないうちは調べたいし、絢香のことが不安でもあるから調べておきたい。
そうなったとき、浮かんできたのは榊原だ。

(おそらく榊原先生は書庫にいるかも)

授業をしてないときはよく書庫に向かっているのを何度か見たことがあるけど、真っ直ぐ帰っている可能性もある。
動くなら早い方がいい。

「榊原先生のところに行くの?」

「うん、だから今日は先に帰ってて」

立ち上がって鞄を手にすれば、絢香が横に立っていた。
今日だって絢香と一緒に帰りたいが、花嫁について調べるのは1人の方がいい。
——絢香には悪いけど

「わかった…」

視線で探らないでと圧がかかってしまったのか、絢香は深く追求せず、残念そうな表情をしていた。
少しだけ心苦しいが。

(ごめんね)

心中で謝り、教室を後にした。
教室を出れば、そのまま書庫に向かって駆け出していた。
忘れかけていたが、今日ははやく帰ってこいと言われていたのだ。
目をつぶり、祈りながら、扉を開けた。

ガララッ

ゆっくりと開ければ、分厚い本を手にし、窓際で足を組んで座っている榊原の姿があった。

(よかった)

ひとまずは安心だ。
いつものくるくるのくせっ毛頭のはずたが、モヤのかかった眼鏡は机の上に置かれていて、眼鏡をしていない顔は顔の美しさを際立たせていた。
わざと髪を整えていないと思えてしまうほど。

「どうしたのかな?結衣さん」

こちらの姿を見たあとに、榊原は眼鏡をかけて、微笑んだ。
本の邪魔をしたたため、かるく頭を下げたあとに榊原の傍によった。

「その…えっと、花嫁候補って3人じゃないですか…あー3人とも花嫁になるとかって有り得るんですかね~あは、はは」

「へ?」

(やばい、ちゃんと考えてなかったァー)

完全におかしいし、直球すぎた。
絢香がすでに榊原に言ってるかもしれないのに、何を口走ってるんだと、サーッと頭に血の気がのぼっていく。
ほら、見ろ。榊原もポカンとしていた。

「面白いことを言うね」

「で、ですよね~その、1人だけ花嫁だと寂しいじゃないですか…」

「寂しい…?っていうのは」

「あ、化け猫様のほうじゃなくて私たちのほうです。絢香がなったら綾香に会えなく…なるんですよね?」

言っていて思い出したが化け猫の花嫁が分かってからの話を知らない。
そういえば、どうなるんだろう。と頭に疑問が浮かんだ。
——きっと会えなくはなるんだろう

「詳しくは説明してなかったけど過去には5人の子に刻印がでた話もあったんだよね」

「え!?」

なんだその話は!?
榊原が平然と言ってるけど、もしかしてそんな驚ことじゃないのか。
こっちは初見だけどね。

「花嫁についてあまり話してなかったね、そいえば」

「はい…だから知りたくなって」

いい方向に話が進んでいるぞ。
それとなく結衣は頷いた。
すると榊原は夕日を眺めたあと口を開いた。

花嫁は過去に一度に5人全員に刻印がついたことがあり、5人とも花嫁になりたがり、自分たちでは決まらなかった。
するとしばらく日数が経ったあとに、何も知らされていない長から名指しでの指名で1人に絞られたという。

「その場合って…ほかの4人の刻印とかは…?」

「後に消えたみたいだよ、消えないと困っちゃうからね」

「困るっていうのは?」

「魅入られちゃうからね」と榊原は目を細めた。そもそも刻印があるだけで人を勝手に魅了してしまう魅力の力があるとか。
そしてそれは…人だけでなく人ならざる化け物にもきいて、本人の意思関係なく誘惑している。

「5人いたときは魅力は分散されて弊害はあまりなかったらしいよ」

「そう、なんですね…」

(私に刻印があるってことは…)

——魅力の力がある
もしかしてヤバいんじゃ…。

「あと…刻印をつけて探しているっていう説もあるらしいよ」

「なんですか、それ。探してるって」

「過去に3人刻印がでて、1人だけが花嫁に立候補して」

彼女は返された…と。


花嫁についての歴史を調べた榊原の説はこうだ。
1魅力の力がつく
2体に刻印がでる
3刻印で花嫁について調べる

「刻印がでて終わりじゃない?」

「過去に帰されてる事例があるから、刻印がでたからって花嫁になれるわけじゃないと僕は思ってるよ」

「そうですか…」

「もう暗くなってきたね」榊原は窓に視線を向けて言った。

「ヤバっ、先生!ありがとうございましたー!!」

「気をつけてね~」と後ろからのほほんとしか声がしたが、結衣は返事を返している暇がなかった。
慌て、書庫から飛び出し、廊下を全力ダッシュでかけていく。

「っあ!?」

ズドーーン

と盛大にずっこけた。
そりゃあ全力ダッシュを廊下でするものだからコケても仕方ない。
(いたた…)スライディングのように滑ったため、両膝が擦りむけているし、鞄は何故か開いて、中のノートや教科書をぶちまけてしまっている。

「やばいやばいっ!!」

もう外は暗くなっているのに、こういうときに限ってこうなるんだ。
もう無我夢中で目の前にぶちまけたものを適当にかき集めて、鞄にぶち込んでいく。
ちゃんと中を確認する暇なんてない。
——すこしでもはやく帰るために

「どうか怒ってませんように!!」
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