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日常は唐突に
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1/記憶
昔から、雨が好きだった。
恐らくは、地に落ちて広がる波紋と、鼓膜を打つざわめきが、子供心に好きだったのだろう。
降り出した雨の中、大勢の人が騒いでいる音が聞こえてくる。
仰向けに倒れ、空を見つめる幼子すら気にもせず、大人たちは逃げ惑う。
すぐ横の民家が、轟々と燃えている。
その赤い光に照らされた夜空の中、黒い影が飛び交っていた。
襲撃があったのだ。
それはきっと、どうしようもなく地獄だった。
痛みを堪えて、首を横に向ける。
さっきまで、自分を抱き締めていたモノが散らかっていた。
首元を食い千切られ、眼球は飛び出し、鼻からは桃色の紐が飛び出している。
案外すぐに死ぬんだな、なんて、麻痺した感情で、そんなことを思った。
この期に及んで、生き延びようという考えが浮かぶはずもなかった。
子供なんて、親と家を失ってしまえば何も残らない。
身体の痛みより、母親の死より、全てを失ってしまった虚無感のほうが大きくて、ぼう、と暫く夜空を見上げていた。
何処からか漂ってきた甘酸っぱい果実をぶちまけたような匂いに顔をしかめる。
それが自分から放たれている匂いだと分かったとき、初めて立たないと、と思った。
生き延びたいではない。死にたいとも違う。
その匂いが死臭なのだと分かってしまったのだろう。
嫌だった。逃げたかった。少しでも遠くへ行きたかった。
でも─────足は、もう動かなかった。
何度も立ち上がろうとするたび、足から力が抜けていく。
そこでやっと理解した。
いや、たぶん、最初から分かっていた。
─────きっと、自分は死ぬんだろう、と。
諦めてしまえば簡単だった。
愚鈍な手足を懸命に動かして、もう一度仰向けに倒れた。
最期くらい、大好きな雨を眺めながら死にたかった。
大人たちの騒ぎ声は、もう聞こえない。
みんな逃げて行ってしまった。
仕方ない。そりゃ自分が一番大切なんだから。
でも、ひとりだけ、僕を見捨てないでいてくれた人がいる。
母さんが抱きしめてくれたおかげで、僕は生きている。
獣に気付かれることなく、もうすぐ死ぬんだろうけれど、まだ僕は生きている。
みんなに無視され、置いて行かれ、ただ死ぬのを待っているこんな自分を、最後まで見捨てずにいてくれたんだと。
母さんが母さんだったことが、どうしようもなく、誇らしくて、嬉しかった。
「ありがとう、母さん」
かすれ声で呟いて、まだ温もりの残る母さんの手を握る。
甘酸っぱい匂いは苦手だけど。母さんと一緒なら悪くないと思えた。
そうして、目を閉じた。
怖くない。そう、怖くない。
死ぬんじゃない。旅に出るんだ。母さんと二人で。
見たことない島を探検しよう。食べたことのないものをいっぱい食べよう。
だから、今日はもう寝てしまおう。
大好きな雨の音を子守唄に、眠ってしまえばいい。
でも、そうだなぁ。
未だ轟々と音を立てて燃えている民家が邪魔だなぁ、なんて─────
「ねぇ、死んでるのー?」
それはまるで、冬の陽炎のように。
冗談みたいに、ひょっこりそいつは現れた。
炎に照らされたその顔は、きっと地獄の淵でも鮮明に思い出すことができるだろう。
「ほらほら。早く行かなきゃ大変だよー」
そら急げと、そいつは俺の手を引っ張って強引に立たせた。
「─────う」
急な動きと、嫌な匂いに吐き気が込み上げる。
「吐くのは後。さー走れー、ほら走れー」
ぱっと背後に回ると、俺の背中を両手で押しながら、そいつは走り出す。
「ちょ─────待って、足が上手く動かな─────」
「うるさい。死にたくないでしょ。ほら走る」
こちらの言うことなど聞く耳持たないとばかりに、そいつは背中を押し続けた。
・・・遠くから見た国は、あまりにも小さく見えた。
思い出が燃えていく。
家も。教会も。そして、母さんも。
行き場のない激情に身を任せて、俺はそいつを罵倒した。
なぜ助けたのかと、どうして放っておいてくれなかったのかと、口汚く罵った。
お門違いも甚だしい。
一人になってしまった孤独感が心を締め付ける。
それがどうしようもなく悲しくて、寂しくて、悔しくて。
気付けば、泣きながら訳も分からない、言葉にもならない言葉を叫び続けた。
そいつは、何も言わず、黙って理不尽な俺の暴言を受け止める。
涙が枯れるほど泣いて、声が嗄れるほど叫んで。
終いには声も出なくなって、その場に蹲って震えるしかなくなって。
そんな俺に、そいつは、
「命は、大切なんだよ」
なんて、当たり前のことを言った。
「君はひとりしかいないんだよ。君が死んだら、悲しくなる人がいるよ。だから死んじゃダメなんだよ」
「もういないよ・・・悲しんでくれる人なんてもう・・・母さんは・・・もう・・・」
父さんを知らない俺にとって、母さんだけが家族だった。
でももう、母さんはいない。
あぁ─────どうしようもなく、ひとりぼっちだ。
枯れたはずの涙腺が軋む。
「わたしがいるよ」
と、そいつは口にした。
「ぇ─────?」
「君が死んじゃったら、私は悲しいよ。こうやってお喋りできる人がいなくなっちゃうのは、いや」
だからね─────と、そいつは続けた。
「わたしがいる。君はひとりじゃない。いい?わかった?」
呆気にとられていた俺は、その勢いに押されて首を縦に振っていた。
「うん、よろしい。・・・あ、ほら、見て」
そう言って、そいつは東の空を指差した。
「新しい朝だよ─────」
未だ雨は降り続き、やむ気配はない。
空はまだ灰色で、でも確かに、太陽は地平線の向こう側から顔を見せていた。
そんな当たり前のことに、また泣きそうになる。
くしゃっと歪んだ俺の顔を見て、
「泣き虫だなぁ」
呆れたような顔で、そいつはけらけらと笑った。
「さ、行こう」
そう言って、そいつは走り出す。
「行くって、どこに?」
「知らない!でもわたしたちは生きてる!」
ならどこにでもいけるよ、と。
そいつは満面の笑みで振り返った。
あの嫌な匂いは、もう、しなかった。
昔から、雨が好きだった。
恐らくは、地に落ちて広がる波紋と、鼓膜を打つざわめきが、子供心に好きだったのだろう。
でも、それ以外にもう一つ。
あの日、雨の中振り返ったそいつの笑顔が、本当に─────
2/日課
「おはようノエル。今日も早いわねぇ」
「おはようございます、エルテおばさん。今日も元気そうでなによりだよ」
「そうねぇ、だって今日はおめでたい日ですもの。家に籠ってちゃもったいないわ」
「言えてる。じゃ、俺行ってくるね」
「いってらっしゃい。引き留めてごめんねぇ」
「気にしないで。それじゃ」
ご近所さんとの挨拶もそこそこに、俺はいつものように歩いていく。
まだ辺りは薄暗く、口から洩れると息は微かに白く帯を引いている。
今日は建国記念日。
大工のオヤジさんたちは、こんな時間帯から忙しなく動き回っていて、教会の上に設置する青旗の準備を進めていた。
国とはいうものの、王様がいるわけではない。
城もなければ、議会があるわけでもない。
当然貴族などいるわけがないし、上下関係だってない。
なにせ、人類は滅亡の危機に瀕しているのだ。
そんな無駄な階級制度にうつつを抜かして滅んだりなんかしたら目も当てられない。
国などと言ってはいるが、その実、遺された人類が生存するための土地ということになる。
けれど、かといって、皆それぞれがてんでばらばらに過ごしていくこともできない。
今の人類は、互いに支えあって生きていかないといかないわけで。
つまり、『この土地に生きる全員で支えあって生きていこう』という共通意識を、『国』と呼んでいるわけだ。
煉瓦造りの家の並びを通り過ぎる。
この国の家はすべて同じ作り、間取り。
生きることが目的なのだから、仕方ないといえば仕方ないのかもしれないが。
でも、一軒だけ、周りの家と比べて一回り小さな家がある。
通りの一番奥。なぜ小さいのかは解らないけど、でも慣れてみればあのくらいが丁度いいような気もしてくる。
まぁ、目的地はそこなのだけれど。
家の前に着くと肩に掛けていた鞄から、小さな鍵を取り出す。
錆を何度も落としたせいで、歪に輝く銀色のそれを、扉にゆっくり差し込んだ。
────かちり、と音が鳴る。
大きな音を立てないよう、静かに扉を開き、体を滑り込ませる。
玄関には、薄汚れたブーツだけがある。
靴底に付着した泥はまだ湿気を帯びていて、恐らく帰ってきてあまり時間は経っていないのだろう。
どうやら、住人はまだ起きていないらしい。
起きてくる前に事を済ませてしまうとしよう・・・
と思ったところで、頭を掻いた。
「まいったな。なんだかいけないことをしている気がしてきた」
いや、別にヘンな目的があるわけではないのだけれど。
朝ここに来るのは、最早いつもの日課になりつつある。
二階に続く階段を横目に通路を抜け、リビングを横切り、キッチンに着く。
「さて、はじめようかね」
そうして俺は、料理に取り掛かった─────
◇
「てか、なんで勝手に家に入って料理してんのよアンタは」
怪訝そうな顔で、エルフィンはそう言った。
あの家の主様は、それはもう寝起きから不機嫌極まれり、という状態だった。
元はといえば、暖房を入れておかなかった自分が悪いのかもしれないのだけど。
「忘れたのか?小さいとき、エルフィンが合鍵をくれたんじゃないか」
「─────む」
苦虫を噛み潰したような顔をして、エルフィンは俯いた。
ああ、今でも覚えている。
身寄りのない俺に、彼女は言ったんだ。
「わたしの家、狭いけど、いつでも来て」と。
もう十年以上の付き合いになるけど、本当、彼女はズレている。
それは服装だったり、人との距離感だったり。
放ってはおけないというか、いや、何様なんだと言われたら困るけど。
保護者になった気はないけど、心配は心配だ。
だからこそ、料理をしに行ったりしてるんだけど。
暖房を入れなかったのだって、勝手にさせると気温、季節関係なく入れ始める。
・・・いろいろと不安だらけの友人だ。
「ところでさ、終衛八陣─────実際どうなんだ。上手くやれてるのか」
つまるところ、俺の行為は全部それが気になって仕方がないから、という一言に帰結する。
「大丈夫よ。そんなに襲撃が起こってるわけでもないし、他の人たちが殆ど片付けてくれるから」
エルフィンは、いつものようにそう言った。
「そうか。ならいいんだ」
俺も、いつも通りの言葉を返す。
いいはずない。いいはずがあるものか。
畦道を歩きながら、矛盾する己の心の弱さを痛感する。
無理をして、虚勢を張って、それでもなお、気丈。
それに甘えてしまっている自分に腹が立つ。
『仕事』なんて名目でこんな辺境に派遣されているのも、誰かが新人類を恐れているからだ。
自分たちとは違うと。故に畏怖の対象だと。
自らの平和の旗を掲げ、その実態は恐怖対象の迫害。
なにが平和なものか。それは『国』にあるまじき行為だろう。
エルフィンは、初めて会ったあの夜から、何処か浮世離れしている少女だった。
白磁の肌、銀色の髪、青い瞳。
そして何より、後方に鋭く伸びた耳。
まるで、伝説に語られる耳長族のように。
どうも、その特徴が耳長族を連想させる名前の由来らしい。
非の打ちどころのない外見に、華奢だけれど芯の通った佇まい。
まぁ、性格はちょっとアレだけれど。
いや、でも性格という欠点があるからこそ、エルフィンは人でいられるんじゃなかろうか。
もし性格まで聖女だったなら、それこそ雲上人だったと思うから。
新人類と人類という違いはあるけれど、俺とエルフィンは同じ生命だ。
だからこそ、この歪な関係は続いているのだろう。
隣を歩くエルフィンは、今確かに同じ時を生きているけれど。
でもなぜだろう、それがとても不安定なもののように感じられる。
俺は普段通りの日常を繰り返していて、まるで円のような生活を。
エルフィンは日常を送りながら、何処かへ向かう螺旋のような生活を。
円環と螺旋。閉じたモノと続くモノ。
次元が違うから、遠いのだろうか。
次元が違うから、思いを馳せるのだろうか。
走っても走っても、追いつけない。
いつか追うことすらも忘れて、頭上高く舞う蝶を眺めることしかできないんだろうか─────?
そんなことが、どうしようもなく悲しかった。
◇
あの後、エルフィンと別れ、駆け足で家路を急いだ。
家に着くと、抉じ開けるように扉を開き、玄関にもたれかかった。
身体が震える。
もう十年以上経ったけれど、やっぱり慣れない。
慣れるようなものでもないのだけれど。
襲撃は、怖い。少なからず人が死ぬ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。
「う─────」
記憶の底から、あの匂いが漂ってくる。
胃がよじれ、食道を形容しがたいモノが登ってくる。
「ぇ─────が、は─────、ぁ」
口から零れ出たモノが胸を濡らす。
袖で口元を乱暴に拭い、生臭い息を吐いて座り込んだ。
震える身体を抱きかかえて震えを抑え込む。
なにも変わってない。俺はあの夜のままだ。
エルフィンに助けられ、今も頼るしかなくて。
結局何もできなくて、ただ膝を抱えて震えているだけの子供のまま。
無力な自分が、本当に情けなくて。
歪み始めた視界が、この歪んだ俺そのもののようで。
遠く聞こえる騒音を聞きながら、エルフィンの無事を祈っていた。
3/疑念
「やっほー泣き虫。生きてるかー?」
扉を蹴り開けるようにして、エルフィンがやってきた。
「うるへー、泣いてねぇわ」
泣きかけたけど。
顔も冷やしたし、バレないと思うけども。
「はっはーん。別に私の前じゃそんな格好つけなくていいじゃん」
けらけらとエルフィンは笑う。
変わんねぇなぁコイツ。
身体はでかくなったけど、中身はあの頃のままだ。
朝は機嫌が悪く、夜は上機嫌なのも。
エルフィンといると、何処か懐かしい気分になる。
居心地がいい、というのだろうか。
「まぁ入れよ。飯食ってくだろ?」
「んー、なんか今お腹減ってないのよね」
今日はいいわ、とエルフィンは言った。
「珍しいな・・・いつもは食べてくのに」
「いつもはね。でも今日はいつもじゃなかったでしょ」
それにお祭りできなくて売れなかった出し物貰って食べちゃったし、などと続けた。
「な・・・それはズルいだろエルフィン、俺も呼んでくれよそういうのにはさ!」
「残念でしたー、頑張った者へのご褒美です」
えっへん、と胸を張るエルフィン。
「無い胸張ったところで威圧感ねぇぞ」
「─────は、殺すぞ?」
しまった─────!
「すまんかった。今のは全面的に俺が悪い」
「謝って済むならこの拳は要らないんだよ─────!」
星が、飛んだ。
エルフィンは肩を怒らして帰っていった。
「てぇ───アイツ本気で殴りやがったな」
きっと頬は赤く腫れあがっているだろう。
その証拠に、冷えた空気が熱い頬に染みる。
でも、そんな痛みは気にならないくらい、気になるモノを見た。
エルフィンの手。
二の腕近くまで、色が変わっていた。
エルフィンは新人類の中でも稀有な存在だ。
白磁の肌を持つ新人類なぞ記録にもない。
でもエルフィンは、能力を使うたびに肌が変色していく。
白から、褐色へ。
まるで、そう・・・汚染が進行しているかを示しているかのように。
もし、全身が変色してしまったら、どうなるというのだろう─────?
疑問と不安、恐怖を感じながら、遠くなっていくエルフィンの背中を見つめていた。
昔から、雨が好きだった。
恐らくは、地に落ちて広がる波紋と、鼓膜を打つざわめきが、子供心に好きだったのだろう。
降り出した雨の中、大勢の人が騒いでいる音が聞こえてくる。
仰向けに倒れ、空を見つめる幼子すら気にもせず、大人たちは逃げ惑う。
すぐ横の民家が、轟々と燃えている。
その赤い光に照らされた夜空の中、黒い影が飛び交っていた。
襲撃があったのだ。
それはきっと、どうしようもなく地獄だった。
痛みを堪えて、首を横に向ける。
さっきまで、自分を抱き締めていたモノが散らかっていた。
首元を食い千切られ、眼球は飛び出し、鼻からは桃色の紐が飛び出している。
案外すぐに死ぬんだな、なんて、麻痺した感情で、そんなことを思った。
この期に及んで、生き延びようという考えが浮かぶはずもなかった。
子供なんて、親と家を失ってしまえば何も残らない。
身体の痛みより、母親の死より、全てを失ってしまった虚無感のほうが大きくて、ぼう、と暫く夜空を見上げていた。
何処からか漂ってきた甘酸っぱい果実をぶちまけたような匂いに顔をしかめる。
それが自分から放たれている匂いだと分かったとき、初めて立たないと、と思った。
生き延びたいではない。死にたいとも違う。
その匂いが死臭なのだと分かってしまったのだろう。
嫌だった。逃げたかった。少しでも遠くへ行きたかった。
でも─────足は、もう動かなかった。
何度も立ち上がろうとするたび、足から力が抜けていく。
そこでやっと理解した。
いや、たぶん、最初から分かっていた。
─────きっと、自分は死ぬんだろう、と。
諦めてしまえば簡単だった。
愚鈍な手足を懸命に動かして、もう一度仰向けに倒れた。
最期くらい、大好きな雨を眺めながら死にたかった。
大人たちの騒ぎ声は、もう聞こえない。
みんな逃げて行ってしまった。
仕方ない。そりゃ自分が一番大切なんだから。
でも、ひとりだけ、僕を見捨てないでいてくれた人がいる。
母さんが抱きしめてくれたおかげで、僕は生きている。
獣に気付かれることなく、もうすぐ死ぬんだろうけれど、まだ僕は生きている。
みんなに無視され、置いて行かれ、ただ死ぬのを待っているこんな自分を、最後まで見捨てずにいてくれたんだと。
母さんが母さんだったことが、どうしようもなく、誇らしくて、嬉しかった。
「ありがとう、母さん」
かすれ声で呟いて、まだ温もりの残る母さんの手を握る。
甘酸っぱい匂いは苦手だけど。母さんと一緒なら悪くないと思えた。
そうして、目を閉じた。
怖くない。そう、怖くない。
死ぬんじゃない。旅に出るんだ。母さんと二人で。
見たことない島を探検しよう。食べたことのないものをいっぱい食べよう。
だから、今日はもう寝てしまおう。
大好きな雨の音を子守唄に、眠ってしまえばいい。
でも、そうだなぁ。
未だ轟々と音を立てて燃えている民家が邪魔だなぁ、なんて─────
「ねぇ、死んでるのー?」
それはまるで、冬の陽炎のように。
冗談みたいに、ひょっこりそいつは現れた。
炎に照らされたその顔は、きっと地獄の淵でも鮮明に思い出すことができるだろう。
「ほらほら。早く行かなきゃ大変だよー」
そら急げと、そいつは俺の手を引っ張って強引に立たせた。
「─────う」
急な動きと、嫌な匂いに吐き気が込み上げる。
「吐くのは後。さー走れー、ほら走れー」
ぱっと背後に回ると、俺の背中を両手で押しながら、そいつは走り出す。
「ちょ─────待って、足が上手く動かな─────」
「うるさい。死にたくないでしょ。ほら走る」
こちらの言うことなど聞く耳持たないとばかりに、そいつは背中を押し続けた。
・・・遠くから見た国は、あまりにも小さく見えた。
思い出が燃えていく。
家も。教会も。そして、母さんも。
行き場のない激情に身を任せて、俺はそいつを罵倒した。
なぜ助けたのかと、どうして放っておいてくれなかったのかと、口汚く罵った。
お門違いも甚だしい。
一人になってしまった孤独感が心を締め付ける。
それがどうしようもなく悲しくて、寂しくて、悔しくて。
気付けば、泣きながら訳も分からない、言葉にもならない言葉を叫び続けた。
そいつは、何も言わず、黙って理不尽な俺の暴言を受け止める。
涙が枯れるほど泣いて、声が嗄れるほど叫んで。
終いには声も出なくなって、その場に蹲って震えるしかなくなって。
そんな俺に、そいつは、
「命は、大切なんだよ」
なんて、当たり前のことを言った。
「君はひとりしかいないんだよ。君が死んだら、悲しくなる人がいるよ。だから死んじゃダメなんだよ」
「もういないよ・・・悲しんでくれる人なんてもう・・・母さんは・・・もう・・・」
父さんを知らない俺にとって、母さんだけが家族だった。
でももう、母さんはいない。
あぁ─────どうしようもなく、ひとりぼっちだ。
枯れたはずの涙腺が軋む。
「わたしがいるよ」
と、そいつは口にした。
「ぇ─────?」
「君が死んじゃったら、私は悲しいよ。こうやってお喋りできる人がいなくなっちゃうのは、いや」
だからね─────と、そいつは続けた。
「わたしがいる。君はひとりじゃない。いい?わかった?」
呆気にとられていた俺は、その勢いに押されて首を縦に振っていた。
「うん、よろしい。・・・あ、ほら、見て」
そう言って、そいつは東の空を指差した。
「新しい朝だよ─────」
未だ雨は降り続き、やむ気配はない。
空はまだ灰色で、でも確かに、太陽は地平線の向こう側から顔を見せていた。
そんな当たり前のことに、また泣きそうになる。
くしゃっと歪んだ俺の顔を見て、
「泣き虫だなぁ」
呆れたような顔で、そいつはけらけらと笑った。
「さ、行こう」
そう言って、そいつは走り出す。
「行くって、どこに?」
「知らない!でもわたしたちは生きてる!」
ならどこにでもいけるよ、と。
そいつは満面の笑みで振り返った。
あの嫌な匂いは、もう、しなかった。
昔から、雨が好きだった。
恐らくは、地に落ちて広がる波紋と、鼓膜を打つざわめきが、子供心に好きだったのだろう。
でも、それ以外にもう一つ。
あの日、雨の中振り返ったそいつの笑顔が、本当に─────
2/日課
「おはようノエル。今日も早いわねぇ」
「おはようございます、エルテおばさん。今日も元気そうでなによりだよ」
「そうねぇ、だって今日はおめでたい日ですもの。家に籠ってちゃもったいないわ」
「言えてる。じゃ、俺行ってくるね」
「いってらっしゃい。引き留めてごめんねぇ」
「気にしないで。それじゃ」
ご近所さんとの挨拶もそこそこに、俺はいつものように歩いていく。
まだ辺りは薄暗く、口から洩れると息は微かに白く帯を引いている。
今日は建国記念日。
大工のオヤジさんたちは、こんな時間帯から忙しなく動き回っていて、教会の上に設置する青旗の準備を進めていた。
国とはいうものの、王様がいるわけではない。
城もなければ、議会があるわけでもない。
当然貴族などいるわけがないし、上下関係だってない。
なにせ、人類は滅亡の危機に瀕しているのだ。
そんな無駄な階級制度にうつつを抜かして滅んだりなんかしたら目も当てられない。
国などと言ってはいるが、その実、遺された人類が生存するための土地ということになる。
けれど、かといって、皆それぞれがてんでばらばらに過ごしていくこともできない。
今の人類は、互いに支えあって生きていかないといかないわけで。
つまり、『この土地に生きる全員で支えあって生きていこう』という共通意識を、『国』と呼んでいるわけだ。
煉瓦造りの家の並びを通り過ぎる。
この国の家はすべて同じ作り、間取り。
生きることが目的なのだから、仕方ないといえば仕方ないのかもしれないが。
でも、一軒だけ、周りの家と比べて一回り小さな家がある。
通りの一番奥。なぜ小さいのかは解らないけど、でも慣れてみればあのくらいが丁度いいような気もしてくる。
まぁ、目的地はそこなのだけれど。
家の前に着くと肩に掛けていた鞄から、小さな鍵を取り出す。
錆を何度も落としたせいで、歪に輝く銀色のそれを、扉にゆっくり差し込んだ。
────かちり、と音が鳴る。
大きな音を立てないよう、静かに扉を開き、体を滑り込ませる。
玄関には、薄汚れたブーツだけがある。
靴底に付着した泥はまだ湿気を帯びていて、恐らく帰ってきてあまり時間は経っていないのだろう。
どうやら、住人はまだ起きていないらしい。
起きてくる前に事を済ませてしまうとしよう・・・
と思ったところで、頭を掻いた。
「まいったな。なんだかいけないことをしている気がしてきた」
いや、別にヘンな目的があるわけではないのだけれど。
朝ここに来るのは、最早いつもの日課になりつつある。
二階に続く階段を横目に通路を抜け、リビングを横切り、キッチンに着く。
「さて、はじめようかね」
そうして俺は、料理に取り掛かった─────
◇
「てか、なんで勝手に家に入って料理してんのよアンタは」
怪訝そうな顔で、エルフィンはそう言った。
あの家の主様は、それはもう寝起きから不機嫌極まれり、という状態だった。
元はといえば、暖房を入れておかなかった自分が悪いのかもしれないのだけど。
「忘れたのか?小さいとき、エルフィンが合鍵をくれたんじゃないか」
「─────む」
苦虫を噛み潰したような顔をして、エルフィンは俯いた。
ああ、今でも覚えている。
身寄りのない俺に、彼女は言ったんだ。
「わたしの家、狭いけど、いつでも来て」と。
もう十年以上の付き合いになるけど、本当、彼女はズレている。
それは服装だったり、人との距離感だったり。
放ってはおけないというか、いや、何様なんだと言われたら困るけど。
保護者になった気はないけど、心配は心配だ。
だからこそ、料理をしに行ったりしてるんだけど。
暖房を入れなかったのだって、勝手にさせると気温、季節関係なく入れ始める。
・・・いろいろと不安だらけの友人だ。
「ところでさ、終衛八陣─────実際どうなんだ。上手くやれてるのか」
つまるところ、俺の行為は全部それが気になって仕方がないから、という一言に帰結する。
「大丈夫よ。そんなに襲撃が起こってるわけでもないし、他の人たちが殆ど片付けてくれるから」
エルフィンは、いつものようにそう言った。
「そうか。ならいいんだ」
俺も、いつも通りの言葉を返す。
いいはずない。いいはずがあるものか。
畦道を歩きながら、矛盾する己の心の弱さを痛感する。
無理をして、虚勢を張って、それでもなお、気丈。
それに甘えてしまっている自分に腹が立つ。
『仕事』なんて名目でこんな辺境に派遣されているのも、誰かが新人類を恐れているからだ。
自分たちとは違うと。故に畏怖の対象だと。
自らの平和の旗を掲げ、その実態は恐怖対象の迫害。
なにが平和なものか。それは『国』にあるまじき行為だろう。
エルフィンは、初めて会ったあの夜から、何処か浮世離れしている少女だった。
白磁の肌、銀色の髪、青い瞳。
そして何より、後方に鋭く伸びた耳。
まるで、伝説に語られる耳長族のように。
どうも、その特徴が耳長族を連想させる名前の由来らしい。
非の打ちどころのない外見に、華奢だけれど芯の通った佇まい。
まぁ、性格はちょっとアレだけれど。
いや、でも性格という欠点があるからこそ、エルフィンは人でいられるんじゃなかろうか。
もし性格まで聖女だったなら、それこそ雲上人だったと思うから。
新人類と人類という違いはあるけれど、俺とエルフィンは同じ生命だ。
だからこそ、この歪な関係は続いているのだろう。
隣を歩くエルフィンは、今確かに同じ時を生きているけれど。
でもなぜだろう、それがとても不安定なもののように感じられる。
俺は普段通りの日常を繰り返していて、まるで円のような生活を。
エルフィンは日常を送りながら、何処かへ向かう螺旋のような生活を。
円環と螺旋。閉じたモノと続くモノ。
次元が違うから、遠いのだろうか。
次元が違うから、思いを馳せるのだろうか。
走っても走っても、追いつけない。
いつか追うことすらも忘れて、頭上高く舞う蝶を眺めることしかできないんだろうか─────?
そんなことが、どうしようもなく悲しかった。
◇
あの後、エルフィンと別れ、駆け足で家路を急いだ。
家に着くと、抉じ開けるように扉を開き、玄関にもたれかかった。
身体が震える。
もう十年以上経ったけれど、やっぱり慣れない。
慣れるようなものでもないのだけれど。
襲撃は、怖い。少なからず人が死ぬ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。
「う─────」
記憶の底から、あの匂いが漂ってくる。
胃がよじれ、食道を形容しがたいモノが登ってくる。
「ぇ─────が、は─────、ぁ」
口から零れ出たモノが胸を濡らす。
袖で口元を乱暴に拭い、生臭い息を吐いて座り込んだ。
震える身体を抱きかかえて震えを抑え込む。
なにも変わってない。俺はあの夜のままだ。
エルフィンに助けられ、今も頼るしかなくて。
結局何もできなくて、ただ膝を抱えて震えているだけの子供のまま。
無力な自分が、本当に情けなくて。
歪み始めた視界が、この歪んだ俺そのもののようで。
遠く聞こえる騒音を聞きながら、エルフィンの無事を祈っていた。
3/疑念
「やっほー泣き虫。生きてるかー?」
扉を蹴り開けるようにして、エルフィンがやってきた。
「うるへー、泣いてねぇわ」
泣きかけたけど。
顔も冷やしたし、バレないと思うけども。
「はっはーん。別に私の前じゃそんな格好つけなくていいじゃん」
けらけらとエルフィンは笑う。
変わんねぇなぁコイツ。
身体はでかくなったけど、中身はあの頃のままだ。
朝は機嫌が悪く、夜は上機嫌なのも。
エルフィンといると、何処か懐かしい気分になる。
居心地がいい、というのだろうか。
「まぁ入れよ。飯食ってくだろ?」
「んー、なんか今お腹減ってないのよね」
今日はいいわ、とエルフィンは言った。
「珍しいな・・・いつもは食べてくのに」
「いつもはね。でも今日はいつもじゃなかったでしょ」
それにお祭りできなくて売れなかった出し物貰って食べちゃったし、などと続けた。
「な・・・それはズルいだろエルフィン、俺も呼んでくれよそういうのにはさ!」
「残念でしたー、頑張った者へのご褒美です」
えっへん、と胸を張るエルフィン。
「無い胸張ったところで威圧感ねぇぞ」
「─────は、殺すぞ?」
しまった─────!
「すまんかった。今のは全面的に俺が悪い」
「謝って済むならこの拳は要らないんだよ─────!」
星が、飛んだ。
エルフィンは肩を怒らして帰っていった。
「てぇ───アイツ本気で殴りやがったな」
きっと頬は赤く腫れあがっているだろう。
その証拠に、冷えた空気が熱い頬に染みる。
でも、そんな痛みは気にならないくらい、気になるモノを見た。
エルフィンの手。
二の腕近くまで、色が変わっていた。
エルフィンは新人類の中でも稀有な存在だ。
白磁の肌を持つ新人類なぞ記録にもない。
でもエルフィンは、能力を使うたびに肌が変色していく。
白から、褐色へ。
まるで、そう・・・汚染が進行しているかを示しているかのように。
もし、全身が変色してしまったら、どうなるというのだろう─────?
疑問と不安、恐怖を感じながら、遠くなっていくエルフィンの背中を見つめていた。
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