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王都編
第十六話 「王都アルムガル」
しおりを挟む見渡す限り広がる草原を移動する馬車に揺られながら約1時間ほどすると、外壁に囲まれた大きな都市が見えてくる。
(普通、商隊の馬車と言ったら盗賊がつきものだろうと思っていたけれど、特に何もなく王都へと入れそうだ。まあ、何もない方がいいのだけれど......)
程なくしてハロルドと私は王都の城門のまえに到着した。
「ありがとうございました。乗せて貰っちゃってすみません!」
「いいんですよ。どうせ王都まで行く予定だったので、護衛をタダで雇ったと思えば安いもんです」
そう言うと商隊は先に王都へと入っていった。
(それにしても大きな外壁だなぁ)
そんなことを思って私が口をあんぐりと開けて上を見上げていると、ハロルドが話しかけてきた。
「それで、王都についたがどうする。ずっと俺が世話をするというわけにもいかないからな。もちろんしばらくは面倒みるつもりだが、なにぶん俺にもやらなきゃいけないことがあるからな」
(そっか......この人は勇者だからね。ハロルドからしたら年端のいかない15歳の少女の私はただのお荷物にすぎないもんね。......私は一人で生きるんだ)
「なに、そんな思い悩むなってしばらくは面倒みるって......」
彼の言葉を遮るように私は言った。
「私、冒険者ギルドに行きたいです! 両親が亡くなるまえに、そこへいって仲間を見つけるんだって言っていたので......」
「そうか、それじゃあそうしよう」
......城門には2人の兵士が立っていた。
「 私はハロルド、旅のものだ。そしてこいつは連れのミーファだ。入国の許可をくれ」
「現在アルムガル王国は、入国規制中だ。一般のものに入国を認めることは出来ん」
(そんな......やっと王都に着いたと思ったのに)
「トランキライザー」
ハロルドは小さく呟くと、もう一度兵士にといた。
「本当にだめなのか?」
「すみません、これは王命なので通すわけには行かないのです」
「やはりだめか、じゃあ行くぞ」
「え、行くってどこに......」
「さっき通り過ぎた村があったろう。今日はあそこに泊まる」
「待ってください! 私に少し考えが......」
私は兵士に聞かれてはまずいと思い、城壁沿いをしばらく歩いていくことを提案した。
そうしてしばらく外壁沿いを歩いていくと、
「ここらへんなら大丈夫かな......えいっ!」
(テレポーテーション!)
私は目の前の城壁を1m程の正方形にくり抜き転移させた。
ハロルドは、目を丸くしていた。
(やばい、やりすぎたかな......)
「ミーファ、今のはいったい......」
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