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王都編
第二十二話「襲撃」
しおりを挟む(どうしよう......こんな数3人で捌き切れるはずがない)
3人とも互いに背を向け身構えた。
「目的はなんだ? 金か?」
勇者は、男たちに問いかける。
「いや、ちがうさ。昨日酔った部下が城壁の近くを歩いていると、ちょうど人が屈んで通れるような穴を見つけたんだよ。それも、明らかに人為的な穴をね」
「だからなんだと言うんだ」
「お前、さては勇者だろう。いやあ伝説には聞いていたがまさか本物がきちまうなんてな。その紋様が入った剣。そりゃ間違いなく勇者の剣だ。それに、爆薬積んでも壊れないようなあの城壁をぶっ壊せるやつなんて勇者しかいないよな?」
勇者はちらっとこちらの方を向くが、すぐ向き直った。
「だから、とっととその剣をよこしな。そしたら逃してやる。」
(どうしよう......私の力を使えばここから転移してあの宿には戻れるかもしれない。でも、そんなことをしたら絶対に目立つし、今度こそ勇者にするいいわけもなくなる)
「あのさぁ、僕実は警備隊なんだよね」
ソラは突然とんでもないことを言い出した。
ミーファもハロルドも一斉にソラの方を向く。
すると、ソラは意味ありげにウインクする。
「もしここで引かない場合は、このまま応援を呼んで、君達はひどい罰にあうことになるけど......それでもいいかな?」
ソラがそう言って腰につけていた短刀を振り上げると、半数ほどは蜘蛛の子を散らすように逃げていってしまった。
「ええい、こうなったらとっとと剣だけ奪って逃げるぞ! お前たち、やれ!」
親玉がそう言うと、残った部下は一斉に襲いかかってくる。
ミーファはふと周りに目をやると近くのゴミ捨て場らしき場所に太めの木の枝の山が見えた。
「仕方ない......えい!」
ミーファは、そのたくさんの木の枝を男達の足元に転移させる。
「うわぁ! くそ、いたいな」
男達は派手に転倒する
「なんだこれ、木の枝か? さっきまでこんなところにあったか?」
ミーファは二人にアイコンタクトする。
「ソラさん、勇者さん、今のうち!」
「そうだね、逃げよう」
3人はしばらく走った。
何ブロックも離れたところにくるとソラさんは立ち止まる。
「ここら辺までくればひとまず安全だね。まさか一晩で噂が広まるなんてね。君達、通った場所はしっかり後始末しなきゃ?」
「す、すみません......」
「それにしてもあの木の枝どうしたの?」
ミーファはわかりやすく狼狽える。
「え、あ、いやなんか風とかで飛んできたのかなぁって! ら、ラッキーでしたね!」
ハロルドもソラも明らかに疑いの目を向ける。
「うーん。気になるところではあるんだけど、ミーファちゃんにも秘密があるみたいだしね。今は聞かないでおいてあげるよ」
「は、はい......」
「あ、でもいつかは教えてよね? ミーファちゃんの秘密。」
ミーファが適当にはぐらかしていると、ハロルドが口を開く。
「それよりソラ。さっき警備隊と言ったな。いったいどう言うことだ。」
「ああ、それね。仕方ない説明しようか。ただ、ここだとあれだから場所を移動してもいいかな?」
ソラは不敵な笑みを浮かべた。
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