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今日俺は、美少女の靴になる。
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ふっふっふ。俺は、俺は選ばれたのだっ!!!
俺は靴だ。ただの靴......だがそれは昨日までの話だがな!!!
聞いて驚くなよ?! 俺は今日から"美少女の靴"になるんだ。これから美少女に生足で踏まれ続ける日々が......ああなんと幸せなことか。あ、生足ではないか。んっ、ううん(咳払い)そんなことはどうでも良いのだ!
見た目が変わったわけじゃない。商品名が変わったわけじゃない。ただひとつ違うのは"美少女の所有物"であるということだ。
俺の背をつまむ彼女は可憐で美しい。まさしくこの俺の所有者として"完璧"な存在だろう。それにしてもこの隣にいるガキはなんだ。さっきから俺を突いたりして落ち着きがない。全く親の顔を見てみたいものだ。
そうして俺は床に優しく置かれる。実に丁寧に置いてくれるものだ。さすが俺の持ち主。
ああ、わかったぞ。満を持して俺を履くというわけだな? うむ、心の準備はできている。存分にその御足を俺の中へと放り込めば良い。まあ可憐な彼女なら優しくやって来てくれるに違いないが。
予想には反して少し乱暴に俺は履かれる。うむ、少し荒くはあったがむしろこのくらいの方がいいのではないか? どう履かれようがおれが彼女の足を守り続けることには変わりない。
ふむ、思ったより小さな足だな。それに柔らかい。これは毎日でも俺を履いていないと怪我をしてしまうかもしれないな。
ふと我に帰れば俺を履いていたのはあのガキだった。
なんだ、と?! なぜだ、なぜあのガキがこの俺を履いている? 俺は"美少女"の靴のはずなのに......
「うーん、やっぱり少し大きいかしら」
彼女はまるで小鳥が囁くような声でそう呟く。
な、何を?! まだ、履いていないではないか!
彼女はまじまじと俺を見つめる。
ふっ、俺に見惚れたか。とはいえ、少し近いな......そんな近くで見られると流石の俺も恥ずかしい。
「やっぱり他のにしようか?」
な、なんだと? 何を言っている?! 俺は選ばれたはずなのに、それにまだ履かれていないではないか! かわりにこの年端も行かないガキに履かれているわけだが......
「やだ! これがいいの!」
俺の頭上からは声が響く。
外野が何を言っているんだ......まあいい! その調子だ! もっと言ってやれ。今だけは応援してやろう。
「そうは言っても......」
横にいたもう一人の人間が口を開いた。
「足先に余裕がある方が履きやすいんですよ。それに子供の足はすぐに成長しますから」
子供の足、だと......? その瞬間俺はとんでもない事実に気がつく。よーくガキ......いや幼い少女の顔を見てみると顔立ちがどうも可憐なあの彼女に似ているような......はっ! こいつ、いやこの子はあの彼女の娘? いや、そんなはずはない、だとしたら俺をしきりに突いたり、少し乱暴に俺を履くなんてことはないはずだ。あの可憐な彼女の子供であれば......
そんな俺の希望的観測は、一瞬で瓦解することになった。
「だって、ママ! これがいい、これにしよう」
ママだと?!
ママ【名詞】
おかあさん。主に幼児語。子が母に向かって呼びかける語。また、自分の妻を指したり、母親に当たる者が家族内での自称として使うこともある。
くっ......認めざるを得ないか。俺の脳内辞書は軽々しく残酷な事実を突きつける。
100歩譲ってこの子が俺の持ち主になるとしてうまくやっていけるのだろうか......靴とっての100歩はだいぶ譲っているんだが。全く飛んだぬか喜びだったな。
「なんでそんなにこの靴がいいの?」
可憐な彼女はそう少女に問う。
「だって、すごく可愛いんだもん。ほら、このピンク色のハートの部分とかすごくいいでしょ?」
?! そこは、俺が気にしていたところ。実の所俺は可愛すぎる靴なのだ。今の時代ワンポイントや、メーカーのデザインだけが入ったシンプルな靴が人気だ。特に"運動靴"というカテゴリの中では。俺は自分の可愛さには自信があった。でもそれではダメだった。誰一人、俺を買うことはなかったのだ。
正直諦めていた。なぜなら生まれつき俺は可愛くて、それは最初から最後まで変えることはできない事実だからだ。もちろんそのことに誇りは持っている。だから、それゆえに買われなかったとしても、それは俺が可愛いことの証明に他ならない。そう、信じていた。
そんな時、彼女が俺に手を伸ばした。その時俺は確信した。ようやく、俺のことをわかってくれるやつが現れた。そう思ったんだ。そんな俺の希望はすぐ潰えてしまったわけだが......
ふっ憐みか。こんな年端の行かない少女に同情されるなど、俺も甘く見られたものだ。
......だが、これも悪くないのかもしれないな。
「ほらみて! この辺とかすごくカラフルになってて......」
少女は熱心に俺の可愛さを、語る、語る、語る。ああ、俺が間違っていた。この子は本当に俺のことを可愛いと思ってるんだな。
ふ、ふふっ、ふはは! わかっているではないか少女よ! さすがは彼女の娘、ならば貴様が可憐な美少女になるまで添い遂げてやろうではないか。この身朽ち果てるまで!
「ふふっ、不思議ね。ママも貴方くらいの頃はそういう可愛い靴履いてたのよ」
「えー、そうなんだ! 意外」
少女は少し驚いた表情で微笑んだ。
「そうかしら?」
「お買い上げありがとうございました!」
ーーかくして、子ども靴売り場から少しばかり悪目立ちするほど"可愛い靴"が買われていったわけですが、彼はどうやら一つだけ失念しているみたいですね。まあ、今が幸せならそれはそれで。
"足先に余裕がある方が履きやすいんですよ。それに子供の足はすぐに成長しますから"
俺は靴だ。ただの靴......だがそれは昨日までの話だがな!!!
聞いて驚くなよ?! 俺は今日から"美少女の靴"になるんだ。これから美少女に生足で踏まれ続ける日々が......ああなんと幸せなことか。あ、生足ではないか。んっ、ううん(咳払い)そんなことはどうでも良いのだ!
見た目が変わったわけじゃない。商品名が変わったわけじゃない。ただひとつ違うのは"美少女の所有物"であるということだ。
俺の背をつまむ彼女は可憐で美しい。まさしくこの俺の所有者として"完璧"な存在だろう。それにしてもこの隣にいるガキはなんだ。さっきから俺を突いたりして落ち着きがない。全く親の顔を見てみたいものだ。
そうして俺は床に優しく置かれる。実に丁寧に置いてくれるものだ。さすが俺の持ち主。
ああ、わかったぞ。満を持して俺を履くというわけだな? うむ、心の準備はできている。存分にその御足を俺の中へと放り込めば良い。まあ可憐な彼女なら優しくやって来てくれるに違いないが。
予想には反して少し乱暴に俺は履かれる。うむ、少し荒くはあったがむしろこのくらいの方がいいのではないか? どう履かれようがおれが彼女の足を守り続けることには変わりない。
ふむ、思ったより小さな足だな。それに柔らかい。これは毎日でも俺を履いていないと怪我をしてしまうかもしれないな。
ふと我に帰れば俺を履いていたのはあのガキだった。
なんだ、と?! なぜだ、なぜあのガキがこの俺を履いている? 俺は"美少女"の靴のはずなのに......
「うーん、やっぱり少し大きいかしら」
彼女はまるで小鳥が囁くような声でそう呟く。
な、何を?! まだ、履いていないではないか!
彼女はまじまじと俺を見つめる。
ふっ、俺に見惚れたか。とはいえ、少し近いな......そんな近くで見られると流石の俺も恥ずかしい。
「やっぱり他のにしようか?」
な、なんだと? 何を言っている?! 俺は選ばれたはずなのに、それにまだ履かれていないではないか! かわりにこの年端も行かないガキに履かれているわけだが......
「やだ! これがいいの!」
俺の頭上からは声が響く。
外野が何を言っているんだ......まあいい! その調子だ! もっと言ってやれ。今だけは応援してやろう。
「そうは言っても......」
横にいたもう一人の人間が口を開いた。
「足先に余裕がある方が履きやすいんですよ。それに子供の足はすぐに成長しますから」
子供の足、だと......? その瞬間俺はとんでもない事実に気がつく。よーくガキ......いや幼い少女の顔を見てみると顔立ちがどうも可憐なあの彼女に似ているような......はっ! こいつ、いやこの子はあの彼女の娘? いや、そんなはずはない、だとしたら俺をしきりに突いたり、少し乱暴に俺を履くなんてことはないはずだ。あの可憐な彼女の子供であれば......
そんな俺の希望的観測は、一瞬で瓦解することになった。
「だって、ママ! これがいい、これにしよう」
ママだと?!
ママ【名詞】
おかあさん。主に幼児語。子が母に向かって呼びかける語。また、自分の妻を指したり、母親に当たる者が家族内での自称として使うこともある。
くっ......認めざるを得ないか。俺の脳内辞書は軽々しく残酷な事実を突きつける。
100歩譲ってこの子が俺の持ち主になるとしてうまくやっていけるのだろうか......靴とっての100歩はだいぶ譲っているんだが。全く飛んだぬか喜びだったな。
「なんでそんなにこの靴がいいの?」
可憐な彼女はそう少女に問う。
「だって、すごく可愛いんだもん。ほら、このピンク色のハートの部分とかすごくいいでしょ?」
?! そこは、俺が気にしていたところ。実の所俺は可愛すぎる靴なのだ。今の時代ワンポイントや、メーカーのデザインだけが入ったシンプルな靴が人気だ。特に"運動靴"というカテゴリの中では。俺は自分の可愛さには自信があった。でもそれではダメだった。誰一人、俺を買うことはなかったのだ。
正直諦めていた。なぜなら生まれつき俺は可愛くて、それは最初から最後まで変えることはできない事実だからだ。もちろんそのことに誇りは持っている。だから、それゆえに買われなかったとしても、それは俺が可愛いことの証明に他ならない。そう、信じていた。
そんな時、彼女が俺に手を伸ばした。その時俺は確信した。ようやく、俺のことをわかってくれるやつが現れた。そう思ったんだ。そんな俺の希望はすぐ潰えてしまったわけだが......
ふっ憐みか。こんな年端の行かない少女に同情されるなど、俺も甘く見られたものだ。
......だが、これも悪くないのかもしれないな。
「ほらみて! この辺とかすごくカラフルになってて......」
少女は熱心に俺の可愛さを、語る、語る、語る。ああ、俺が間違っていた。この子は本当に俺のことを可愛いと思ってるんだな。
ふ、ふふっ、ふはは! わかっているではないか少女よ! さすがは彼女の娘、ならば貴様が可憐な美少女になるまで添い遂げてやろうではないか。この身朽ち果てるまで!
「ふふっ、不思議ね。ママも貴方くらいの頃はそういう可愛い靴履いてたのよ」
「えー、そうなんだ! 意外」
少女は少し驚いた表情で微笑んだ。
「そうかしら?」
「お買い上げありがとうございました!」
ーーかくして、子ども靴売り場から少しばかり悪目立ちするほど"可愛い靴"が買われていったわけですが、彼はどうやら一つだけ失念しているみたいですね。まあ、今が幸せならそれはそれで。
"足先に余裕がある方が履きやすいんですよ。それに子供の足はすぐに成長しますから"
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