18 / 125
【一章】ルーシャン
十八話
しおりを挟むエダムは不機嫌な表情はしているものの手荒な事はしなかった。エダムが機関室の扉を閉めると、俺を壁に追い詰めて顔の横に手をつく。そのままゆっくりとエダムの顔が近付き、深く口付けられる。
「ふ……ん、んっ……ふ、ぅ……ッ」
頬の内側の柔らかい部分も、歯茎も、舌の裏も、余すところなくエダムの長い舌が優しく撫でていく。口内を丁寧に愛撫され、俺の息が荒くなってしまう。セックスが丁寧だとは思っていたが、キスも驚くほど上手い。腰が砕けそうだ。
快感に弱くなった俺の下半身は前も後ろも反応を示してしまい、直接触れられていないもどかしさに身を捩る。エダムはひとしきり口内をまさぐり、俺の肉体の興奮を高めるだけ高めてから話を始めた。
「ん、ぁ……エダム……」
「さてさて、ルーシャン。君はこんな所で何をしようとしていたのかな?」
「……か、勝手に行動したのは謝る……」
「謝罪が聞きたいわけじゃない。何をしようとしていたかだけ答えて」
俺の顎を掴んでエダムは視線を強制的に合わせる。瞳を見て、俺はここで初めて、エダムは怒っているのではなく、悲しんでいるのではないかと思った。俺がまず信用しなければ、相手だってこちらを信用できないだろう。いくら理由があったとはいえ、可能な限りの説明と礼儀は通しておくべきだった。俺はエダムの目をしっかりと見据え、言える範囲を包み隠さず話す事にした。
「この設備はもう役目を終えているから……停止しようと思った。そうすれば他の場所にリソースがまわせるから……」
「ここが役目を終えていると何故わかるんだい?」
「昔……俺がこの設備で世界中の力を集めるように設定した。時が過ぎ、現在は世界から力を吸収し尽くしている。俺が外でそれを確認しているから間違いない。この世界にはもう俺の求めた力が存在していないと知り、俺はお前達が集めてくれた力を貰い受けるためにこの塔に来たんだ」
「……ふむ、なるほどね」
もっと色々問われるかと思ったが、意外にもすぐにエダムは納得したようだった。そして、エダムは悲し気に笑った。
「僕はね……誰だか思い出せないけど、ここを守るように言われていたんだ。大切な役割の場所だからこそ、僕が適任だと言ってくれた。君がこの設備を作ったのなら、僕にここを守ってくれと言ったのはルーシャンということになる」
エダムもだいぶ過去を思い出してきているようだ。エダムにそう命じた相手がルーシャンであると漠然と理解しつつ、俺からの言葉を待っている。俺はハッキリと頷いた。
「……間違いなく、俺が言ったよ」
「ふぅ……やっぱり、そうなんだね……それなら勝手な事をせず僕に相談するなり、停止を命じてくれれば良かったんだ」
やはり相談もなく勝手に動いたのはまずかったな。エダムが想像以上に顔を曇らせてしまった。
用心深くて察しが良いからこそ重要な事はエダムに任せられる。味方なら大変心強いのだが、今の俺は四人を欺く立場なのだ。俺からすればエダムが優秀だからこそ避けてしまった。
だが、そんな事は言えない。ちゃんと今の説明して、停止まではエダムと一緒に行ってから後でゆっくり素材探索をしても良かったのだ。焦るあまりエダムを排除しようとしていたのは間違いないため、俺は自分の非を認めるしかできない。
「うん、その通りだ……本当にすまなかった」
俺が素直に謝ると、エダムはバツの悪そうな顔で視線を反らした。珍しく歯切れの悪い様子であー、とかうーん、とか唸りながら頭を掻いている。
「はは……まあ、なんていうか……最初にルーシャンに酷い事をしたのはこっちだからそんな文句を言える立場ではないんだけどねぇ。先に謝るべきは僕の方だった……申し訳ない」
そうエダムに頭を下げられてしまった。昔と変わらず真面目だ。俺は慌てて肩を掴んで顔を上げさせる。
「いや……俺は気にしてないよ。今までここを守り続けてくれてありがとうな、エダム」
「勿体無きお言葉です……。しかし、何故僕達はルーシャンを覚えていないのか……まだ、とても大切な事を忘れているのではないかと不安になるんだけど」
覚えていなくても良いことは沢山ある。本当に気にしないで欲しい。俺が穢れを一人で引き受けているなんて四人が理解してしまえば全力で阻止されるだろう。そうなる前に終わらせなければいけない状態なんだ。余計な事は考えないでくれという願いを込めて、俺はニコリと笑った。
「見た目が昔と全然違うのに俺がわかるだけでも十分だと思うぞ」
エダムは俺の笑顔に絆されたのか、少し肩をすくめてから俺を抱き締めた。
「その、見た目が違うのに僕達は異常にルーシャンを求めてしまうけど、昔からこんな関係だったのかな?」
そう言いながらエダムの手が布の隙間を通り俺の太股の内側に触れた。不安だとかしおらしい事を言いながら、もう雄の顔に切り替わっている。俺も先程までのキスで既に肉体の興奮が高まっていたのだ。皮膚の薄い部分を撫でられると否応なしに反応してしまう。
「っ……ぜんっぜん違う……めちゃくちゃ真面目な上下関係だった……」
「へえ。でも、強姦されても受け入れちゃうくらい、僕達のことが大切だった?」
「んっ……そう、だな……」
エダムの手付きは明らかに性的なものを含んでいるのに、肝心な箇所に全く触れようとしない。絶対わざとだ。あえて避けて焦らしている。
「エダム……ッ……なんで……」
「ん~? 何がだい?」
「わ……っかってるくせに!」
「ふふ、だってルーシャンは食堂で『勝手な事はしない』って言ったのに早速反故してるんだよ。それについてのお仕置きは必要じゃないかな?」
いやホント、それについては完全に俺が悪い。正論過ぎる。こればかりは頷くしかできない。
「はい……その通りです……」
「お仕置きなのに僕がルーシャンの望むようにするわけないだろう。でも、お願いするなら聞いてあげなくもない。僕にも悪い所があったからね」
昨日までの俺だったら難しかったかもしれないが、今の俺はもう欲望に逆らうことができなかった。熱に浮かされたように下半身を覆う布を掴み上げ、壁に手をつき、尻を突き出しながらエダムを求める言葉を吐いた。
「お……お願いします……俺の、中に……エダムのおチンチン……挿れてください……」
エダムの押し殺したような笑いが聞こえ、俺の尻に手を伸ばして優しく触れてくれた。
41
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談?本気?二人の結末は?
美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる