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【二章】四人の魔術師
一話 クワルク①
しおりを挟む轟音が世界に響き、夜が真昼にでもなったように明るくなった。それが治まると再び夜の闇に包まれ、静寂が戻る。気が付けば瓦礫の山が目前にあり、私は全てを思い出した。
いや、思い出したというのは少し語弊がある。どんどん出来上がっていく記憶のパズルに、あえてピースを嵌めていなかった空白があった。ルーシャンからのメッセージカードに触れた瞬間、そこが勝手に埋まってしまったのだ。
「うっ……あああああッ!!」
私は頭を抱えてその場に蹲った。別に頭痛が襲った訳ではない。ただ単純に頭を抱えて叫ばずにはいられない心境だっただけだ。
も~~~~あ~~~~~~ヤってしまった。
いくら王だと認識できていなかったとしても、我が王になんてことをしでかしてしまったのか。
もう開き直ってしまって妙に落ち着いている自分がいる。罪を重ね過ぎれば何も感じなくなると聞くがそれは本当だった。いや、さすがに全く何も感じていない訳ではないのだが。しかし、もっと早く王の事を完全に思い出していたら自害していたのは確かだ。
そりゃもう、王であるルービン様の事は以前からお慕いしていた。
魔物化によってその想いが最悪の形で表れてしまったのだ。ぶっちゃけて言うなら王には男惚れという部分もあるので、どちらかといえば昔の私はルービン様に抱かれたかった。あの逞しい腕に抱かれたいと思うのは世界共通の事だろう。我が王は男の中の漢なのだから当然だ。魔力の一切こもらない拳一つで岩を砕くなんて私からしたら神の所業。惚れるなという方が無理な話である。
まあ、そんな想いを欠片も伝える事もなく私は塔に身を捧げたのだが。
いやはや、まさか私達の前に再び現れた王が、全く方向性の違う御姿になっているとは。
外見としてもルーシャンは魅力的だ。女性受けしそうな美形であるし、ルービン様の時ほどではないにせよ、しっかり体も鍛えられていて立ち姿も美しい。それでも細身に見えるのは筋肉がつきにくい人種なのかもしれない。
黒髪はこの大陸では見掛けないので、遠い国からわざわざ駆け付けたのだろうか。
私は何も思い出していない状態で、ルービン様と似ても似つかないルーシャンを本能的に拒絶したように思う。理不尽にとても酷い態度を取った気がする。
それなのに王を本能的に求める気持ちは誤魔化せずに、滅茶苦茶ヤってしまった。私はクソ野郎だな。それだけでなくあっさりルーシャンにも惹かれる始末。
だが、中身は何一つ変わっていないのだから好意を抱くのは当然とも言える。相変わらず漢らしく恰好良いのだ。
男前な所は変わらないのに、私よりも若く小さくなってしまったことで、昔では王に対して絶対に持ち得なかった加虐心と庇護欲が生まれていた。あと、なんといってもエロい。あれは反則だろう。
次から次へと語り尽くせぬ思いが溢れてくるが、現状それどころではない事を思い出した。
周りを見てみると、リヴァロは地に頭を擦り付けて何か喚いているし、ウルダは膝から崩れてワナワナ震えている。エダムは顔をしかめながら腕を組んで地面に座っていた。皆、己の行いに思う所があるらしい。この複雑な感情に振り回されているのが私だけでないとわかって少し気が休まった。
いつまでも深夜の森で蹲っている訳にもいかない。私は立ちあがり、皆に声を掛けた。
「まずは現状把握が必要です。リヴァロ、エダム、ウルダ、記憶は全て戻っていますか」
皆の様子で記憶が戻っている事は察しているが確認は必要だ。各自こちらを見て死んだような表情で頷いた。私を含め、自殺者が出なかっただけ上々だと思う事にしよう。
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