魔物になった四人の臣下を人間に戻すため王様は抱かれて魔王になる

くろなが

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【二章】四人の魔術師

二十三話 王と臣下の再会 ルーシャン視点

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 話し声で意識が戻ると、シャウルスの存在にまず驚いたのだが、話している内容にはもっと驚いてしまった。俺だけでなく四人まで平等に娶る気らしい。面白い男だとは思っていたが、まさかここまでとは。
 絶句している四人の顔が見たくて少し瞼を上げたら完全にシャウルスと目が合ってしまった。まずい。
 しかしシャウルスは俺の髪に口付けただけで帰っていった。うーん、無理に対応を求めない所がとってもスマート。将来が恐ろしいな。だが、俺の臣下は絶対に渡さんぞ。俺達がまるごとシャウルスに食われないためにも、この時代でもちゃんと力を持たなければいけない気がする。

 それはそれとしてだ。今の俺は完全に全ての記憶がある。死にたい。
 できることなら先日に目覚めた時の、ルーシャンの記憶がない状態でいたかった。むしろ魔物化での痴態を忘れたかったからこそ、ああなったんじゃなかろうか。ぐっすり寝て全部思い出しちゃったけど。
 ワンチャン四人とも人間に戻った事で塔の事を忘れていないだろうか。そんな都合の良いことは無いだろうな。ああ、やだなぁ、このまま狸寝入りしていたい。しかし、そんな希望すらもあっさりと打ち砕かれた。


「……ルーシャン、起きていますよね。シャウルスも気付いていたようですよ」


 ですよね。お前達が気付かないはずないよね。俺は諦めてクワルクの声の方に体を向けた。改めて寝返りをうつと角の存在が邪魔だな。すぐ慣れると思うけど。
 ていうか、なんか四人に宝石みたいな質感の角があるけど。何が起きてるんだ。えっ、俺が何かミスって完全に人間に戻せなかった?
 シャウルスがいたって事は塔をちゃんと破壊できているはずだし、四人の穢れは全部吸収できているはずなんだけど。魔物化が残る姿を見て軽くパニックに陥っていると、四人が俺に近付いて顔を覗き込んできた。


「ねえ。僕の事はわかる?」
「え……ああ、エダムだな」


 エダムがあまりに真剣な表情で聞くから少し笑ってしまった。塔でも似たようなやり取りをしたな。角以外は俺のよく知る人間のエダムだ。後方に伸びた角は透き通った黄色で、エダムの赤い髪によく合っている。髪の陰になると橙色になって綺麗だと思った。


「俺は!?」
「んふふ、リヴァロ」


 グイッとエダムを横にずらして視界に入ってくる所が可愛い。リヴァロは瞳の色と同じ、緑色の小さい角だ。焦げ茶色の髪にも映えるし、あまり目立たないからアクセサリーと言っても通じそうだな。


「じゃ、じゃあ、ウルダの事、わかる?」
「自分で名前言っちゃてるし……勿論わかるよ、ウルダ」


 ヌッとリヴァロの頭の上から顔を出したウルダは、自ら名乗ってしまうほど浮足立っていた。水色に輝く角は、鹿の角のように枝分かれしている。生活に邪魔になるかならないかギリギリの長さだ。他人事ではあるが俺はそこに安心した。


「ふふ、では私は?」
「クワルクだ」


 俺の返事にクワルクは嬉しそうに微笑み、大きく頷いた。ピンクゴールドの髪から見えるのは、少しうねりのある紫色の太めの角だ。強そう。パーツが減ったのに四天王感が増した気がする。

 俺が全員を認識している事がわかり、皆の緊張が解けたようだ。大きく息を吐き、大袈裟な程に安堵していた。前回目覚めた時に俺の記憶がフワフワしていて、四人を臣下と認識できなかった事が余程辛かったのだろう。
 でも俺はまだ何も安心できていない。これだけでも聞いておかなければ。


「お前達こそ……俺がわかっているのか……?」


 魔物化していた時は、誰も俺の事をわかっていなかった。まったく違う人物となっているのだから、ルービンであると理解できないのは当然の事ではある。それでも幾度も“大切な者”であるという反応は示してくれていた。それにどれだけ俺の心が救われたことか。
 俺の問いに四人は整列して跪いた。それだけで全てを理解した俺の目には涙が浮かんだ。


「ルービン様。お久し振りでございます」
「あのルービン様が魔法を使えるようになるなんて感慨深いですねぇ」
「昔よりも、小さくなって、驚きました」
「でも見た目以外は全然変わってませんね~」


 ああ、懐かしい。もう二度と見る事ができないと諦めていた光景だ。俺の事を思い出さなくても良いと思っていたが、やはり臣下としての四人を見られるのは心の底から嬉しいものだ。


「長い間、待たせてしまったな」


 頬に自然と涙が伝うが、俺は笑っていた。この喜びを隠すなんてできない。
 四人はベッドに上がってきて俺に抱きついて来る。もみくちゃの状態だが、俺だけが喜んでいる訳ではないとわかって嬉しかった。

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