魔物になった四人の臣下を人間に戻すため王様は抱かれて魔王になる

くろなが

文字の大きさ
73 / 125
【三章】人魔の王

二十四話

しおりを挟む

「ルーシャン、大丈夫かい? そろそろやめておこうか?」


 性器を抜いたエダムが、うつ伏せになってボーッとしている俺の顔を横から覗き込んでくる。
 気遣いはとてもありがたい。
 しかし、本当に今更なのだが、皆がいつも俺を中心に動く事が気になってしまう。

 王だったからそれに違和感は無かった。今もまた王という地位にはついたものの、せっかくルーシャンという別の存在になったのだ。ルービンだった頃とは違う関係を築きたい。
 主従というより、支え合う友の様な。つまり、あまり俺に対して遠慮して欲しくないのだ。

 四人も人魔になったのだから、エダムもクワルクも性欲が強くなっているはずだ。俺ばかり満たされて、四人に我慢を強いるのは嫌だ。皆が満足する範囲を知りたい。全て受け止めるから、余すところなく俺にぶつけて欲しい。

 それはとても我儘な感情だ。
 四人が俺以外でその欲を満たすのが嫌だと思ってしまった。

 今までの俺は、惚れた腫れたは個人の自由だと思っていた。性欲処理方法に口を出すなんて考えたこともない。
 しかし、もしも今、四人の誰かが歓楽街に通うと言えば止めたくなる。
 本気を出したシャウルスに四人が惚れてしまうのも嫌だ。

 どうやらこの短い間に新たな人、人魔、魔物、悪魔といった存在に触れた事で独占欲が生まれたらしい。
 いや、それくらいずっと生前からもあったのだろう。ただ俺が王であろうとして、そういった感情を殺していただけだ。

 もしも、俺では太刀打ちできない力で四人を奪われたら?
 愚かな俺は今まで、横からかっ攫われる可能性を考えていなかった。
 塔の時のように自ら手放す事だけは考えていたのに、見捨てられたり、誰かに奪われるなんて想像もしていなかった。
 なんという傲慢さだろう。一つ間違えれば俺だってカースのようになりかねない。

 新しい世界を知り、俺がこれまで見えていなかったものが見えるようになった。
 その一番大きなものは『愛』だと思う。
 四人の告白もそうだし。カンタルの変化もそうだ。目覚めた俺に、沢山の愛を与えてくれた。
 カースも行動は間違えてはいるものの、俺への愛である事に違いはない。間違わなければ応えてやれたかもしれない。でも、もうそれは不可能な所まできてしまっている。
 俺も間違ってしまわないように、ちゃんと今の気持ちを伝えなければならないと思った。


「やめない。クワルクがまだ大きいままだし、エダムだって萎えてない」


 チラリと視線で二人の下半身を確認すれば、立派なものが聳え立っている。
 欲情されている事が心から嬉しいと思ってしまう。それは俺の表情にも出ていたはずだ。
 しかし、エダムはシーツを掛けてその欲望を覆い隠してしまった。


「放っておいたら治まるよ。僕達は穢れに最も馴染んでいる存在だから、人魔化の影響は思ったより無いんだ。もうルーシャンの中に魔力も貯まったし、ゆっくり休もう?」


 エダムがお開きの空気を出し始めるが、まだ俺の話は終わっていない。俺は二人の腕を掴んでベッドから出るなという意思を伝える。


「……エダムとクワルク個人の意見を聞かせてくれ」
「と、言うと……?」
「単純に、もっと俺とヤりたいか、ヤりたくないかだ」


 俺の言葉にクワルクとエダムが顔を見合わせ、驚きを共有しているようだ。俺は話を続ける。


「悪魔に触れられて思ったよ……お前達だから、こういう事がしたいんだと。誰でも良い訳じゃない。お前達とは心が満たされる……これが恋愛感情なのかもしれないと、少しわかってきた。フィオーレに感謝はしたくないが、違いを知れたのは良かったかもしれない……」
「おおおおお、お、お、王……!?」


 クワルクが動揺している。俺らしくない事を言っていると思う。
 己の感情だけでものを言う事がルービンの時には本当に無かったから。でももう言葉を止められなかった。


「俺ばかりに気を使っているお前達には、いつも我慢を強いていると思う。人魔の性欲も、他で発散するくらいは自由にさせてやりたいが、今の俺は昔のように心を殺すのが難しい。その……こんな事、俺が言える義理はないが、お前達が俺以外の誰かとするのは嫌だ……。可能なら……俺、だけにしてくれないだろうか……?」


 どうしよう、自らの願いを吐露する事が性行為よりも恥ずかしいとは思わなかった。歯切れが悪くなるし、二人の顔を見る事ができない。顔が熱い。沈黙が怖くてとにかく言葉を発さなければと思ってしまう。


「か、可能な範囲でいいんだ……俺の体は一つしかないし、全員を満足させるなんて出来ないのはわかっている……だから、なんの強制力もないのだが……ど、どうしても、伝えたくて……」


 必死にうつむき気味に言い募っていると、二人の様子がおかしい事に気付いて顔をあげた。


「ん゛っ……いえ、あの……ま、まさか……王からそのようなお言葉を頂けるとは……」
「んぐッ……失礼……」


 クワルクとエダムが小さく呻き、目元を手で覆って上を向いた。
 な、泣いてる……。

しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

処理中です...