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【四章】王と魔王
十一話* ウルダ×ルーシャン
しおりを挟む俺にできる事はその不満を忘れさせるくらい、ウルダを思い切り甘やかす事だろう。
今日の当番はウルダなのだ。俺を自由にする権利がある。
少しの期待を籠めながら、俺はウルダの背にまわした腕に力を入れ、互いの体温を馴染ませた。
「ウルダ、どうしたら許してくれる?」
「……キス、して」
「ん」
俺が背伸びして上を向くと、ウルダが屈んで唇同士が触れ合った。やはり立っていると身長差が際立つ。ウルダは俺の頬を両手で優しく固定し、深く口内を貪った。
「ふっ……んっ、んぅ、ん」
ウルダはその長い舌で俺の舌を絡め取り、呼吸すら奪うような口付けをした。執拗に敏感な粘膜をなぞる刺激に、身体が小さく何度も跳ねてしまう。口内を堪能したウルダは唇を離した。
「あ……はぁ……は……」
「ルーシャン、舐めて」
キスで硬くなった性器を俺の腹部に押し付けたウルダがそう言った。興奮に急いているような必死さが愛おしい。早く慰めてやりたくて俺は跪いてウルダの下履きをずらして昂ぶりを取り出した。
石鹸の清潔そうな香りが鼻腔をくすぐる。それもすぐに俺達の体液にまみれ、雄の匂いに包まれてしまうのだ。
先を想像しただけで身体に熱が帯び、堪らず熱い息を吐いた。俺はウルダの限界まで昂った性器をゆっくりと全体を愛でるように口に含んだ。
「ん……ぁ……は、む……んぐ……」
「ッう……ルーシャン……上手……」
数度口内に性器を行き来させた後、雁首を舌先でなぞり、裏筋を舐め上げてから再び全体を咥えた。反りの強いウルダの性器が俺の上顎にゴリゴリと当たる。その感触に俺の尻が反応し、こちらも擦って欲しいとでも言いたげだ。
その変化をウルダは見逃さず、俺の頬をいやらしく撫でさすった。肉の内側にある己の性器を確認してうっとりした表情で俺を見下ろしている。
「ルーシャン、挿れていい?」
俺の口から性器を抜いてウルダは聞いてきた。俺の返事は待たず、ウルダはテーブルの上の物を魔法で退かし、物が無くなったテーブルに俺を乗せて押し倒す。衣服の下布を捲ればすぐに俺の下半身は露わになり、その中心にウルダは切っ先を押し当てる。
熱くて硬いウルダの欲望を直に感じた俺は、期待と興奮で大きく唾液を飲み込んだ。そんな俺の顔を覗き込み、ウルダは同じ事を再度聞いた。
「挿れて、いい?」
「ん……挿れて……ッ」
俺が言い終わるやいなや、ウルダは遠慮なく最奥まで突き入れた。
ぐっしょりと濡れたそこはあっさりと全てを受け入れる。
「ヒゥッ──ッ!?」
「もう、イっちゃった? 中、すごい、痙攣してる」
雄を受け入れる事に慣れ過ぎた身体は一突きで絶頂を迎えてしまった。突然の大きな快感に呼吸もままならずに涙目になってしまう。そんな俺を見て、ウルダは嬉しそうに更に激しく奥を責める。打ち付けられる度に視界に光が弾けるようだった。
「あ゛っ、アッ、ヒッ、んぅ、ぐっ……!」
「ルーシャン、かわいい……好き、大好きッ」
「あうっ、はぁ、ひ……あッ……うるだ、うるだぁ……っ」
ウルダは容赦なく俺の中を抉り、何度も精液を奥に注いだ。ウルダの行為は野性的で、本能のまま求められている感じがして俺自身もかなり興奮していた。マゾっ気に目覚めているのかもしれない。
三度目の射精をしたウルダが、ハッとしたように勢いよく顔を上げた。
「ルーシャン、赤ちゃん、できない?」
「は……?」
「人魔って、繁殖、可能?」
「え?」
突然何を言い出すんだ。俺が訳もわからず混乱していると、もう既にウルダが研究者の顔になっていた。興味の対象が急に移るのは魔術師にはよくある事だが、まさかこんな時にまで起きるとは思わずにろくに反応ができなかった。
「魔物は、繁殖に成功してる種がある。人魔、性欲強いのに、繁殖できない、なんてことある? しかも、同じ男なのに、ウルダは抱きたい、けど、ルーシャンは抱かれたい。その違い、なに? 男同士でも、子供、できる可能性があるんじゃ……?」
「さ、さあ……専門家に聞くしかないだろう……」
「カンタル、研究してるかな。ある程度は、してそうだけど、上手くいってない可能性……」
ウルダは独り言を呟きながら性器を抜いて、着替えを始めた。俺は放置されたテーブルの上で呆然としている。この、行動の先が読めない感じ、俺は嫌では無いけどさすがに事後に起きるとビックリするな。
「……ウルダ、子供が欲しいのか……?」
「ううん、違う。いや、違わないけど、違う。ルーシャンも、カンタルも、人魔の国をもっと有利にしたい、でしょ。魔物と人魔はまだ未知。もしも、男同士でも子供できたり、不妊治療の可能性あれば、パニールの立場、もっと良くなる。魔物化抑える薬、作ったみたいに、妊娠も避妊も自由な薬を開発できれば、貿易の力になる。研究する価値、ありそうって思って」
真面目な国益の話になったぞ。確かに人魔化で性欲が強まるのであれば、繫殖能力も高まっていそうだ。まだパニールの研究が勃起不全にしか効果を出していないのであれば、天才魔術師が研究に加わる事で一気に成果が出る可能性がある。着手してみるのは俺も賛成だ。
しかし、直近の目的がクッキー作りである事を思い出して欲しいので釘をさす。
「ウルダの考えはわかった。あとでカンタルに魔物と人魔の繁殖についての情報を送ってもらおう。だが、とりあえず今はクッキーを作って欲しいのだが……」
「あっ……村に行って、材料、買って来る」
「よろしく頼むぞ」
あっ、て言ったな。こういう抜けた部分があるのもウルダの魅力なのだ。
その後、無事にプロ顔負けの形の綺麗な激甘クッキーを作ってもらえた。俺も食べてみたが、よく運動した後には、この甘過ぎるくらいの味も案外イケた。
カースへの手紙を書き、クッキーと俺が好きな茶葉と共に魔術でサルドに送った。俺はまた返事を待つだけになる。
明日はクワルクが当番だったはず。一体どんな成果を持ち帰ってくるか今から楽しみだ。
──当日。まさかクワルクがフィオーレ本人を連れて来るなんて思ってもみなかった。
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