魔物になった四人の臣下を人間に戻すため王様は抱かれて魔王になる

くろなが

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【四章】王と魔王

二十四話

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 俺はエダムに続きを促した。


「それでもブルーミーは世界中のどの国よりも少しだけ優れていた所があった。神への信仰心だってさ。毎日毎日、今日も平和に過ごせたと神に感謝を捧げ、なんだかんだ他国に目を付けられること無く、少しずつ国は栄えていった。でも、本当に少しずつだけど、表向きにわかりやすい変化があった。代を重ねる毎に王の能力が上がっていったんだ。能力といっても身体能力は平凡なままだけど、幅広い知識、経験の豊富さ……それが大きな力となった。まるで永久の時を生きた賢者のようだと言われた時期もあったそうだ」


 いくら優秀な人材に英才教育を施した所で時間は有限だ。天才であってもジャンルはある程度絞っている。人ひとりの人生で得られる知識は限られている。
 魔物となって寿命を延ばすなんて方法は過去には無い。長い時を生きるのは当時の技術では不可能なはずだ。

 だが、転生に関しての伝承は昔から存在していた。

 ルービンは死ぬ前に転生について調べていた。結局、魔術や魔法、魔力でどうにかなるものではないと結論が出て、ただ神に祈るしかできなかった。
 そんな不確かな現象。もしそれが、何らかの方法で確実にできるとしたら?


「……ブルーミーの王は、常に生まれ変わりを繰り返していた……?」
「そういうこと。ブルーミーの最大の武器は、王の転生能力だったんだ」


 うわ。待て待て。もう嫌な予感しかしなくて俺は耳を塞ぎたくなった。
 そりゃそんな都合よく俺が転生できたのはおかしいと思ってたけど。それが人為的だったとしたら恩というレベルではなくなってしまう。
 俺の動きが固まったのを見て、エダムは笑った。


「ルービン様は、シャスラン王ととても仲が良かったよね」
「ちょっと待て! 嘘だろ、まさか!?」
「そのまさかだ。シャスラン王は、ルービン様にその能力を譲渡した」
「ひぇ……」


 俺は白目を剥きそうになった。全然気付かなかった。シャスランがそんな大きな事をしていたなんて。
 看取りたいと、シャスランは最期まで側にいてくれたが……いやいや、本当にシャスランは俺に対する恋愛感情が無かったと思うぞ。心から妻達を愛していたし、差などなく平等に出てくる妻の惚気を聞くのが俺は好きだった。
 目を泳がせて俺が動揺していると、エダムが安心させるように言った。


「あ。想像通り、シャスラン王にはルービン様への恋愛感情は無いみたいだよ」
「良かった~!!」


 素直に叫んでしまった。恋愛感情が嫌という訳ではなく、シャスランが同じ気持ちであった事が嬉しい。
 俺が鈍いとかじゃなく、正確に感情を読み取れていた事も嬉しかった。
 しかし、単純に親友として能力譲渡なんて国家転覆レベルのヤバい行動を取ったというのには驚きだが、シャスランならあり得ると思う。博愛の王は伊達じゃない。そういう事が素で出来てしまうからブルーミーは長い歴史を生き抜いているんだ。
 だがまだ疑問が残る。
 転生能力を譲渡したのであれば、シャスランは転生できていない。それでもシャウルスがまるで全てを知っているかのような動きをしているのは何故だ。
 俺はエダムに尋ねた。


「……シャウルスは何者だ?」
「王家の子孫なのは間違いないよ。今は転生ではなく『先祖の記憶の転写』を続けているそうだ。転生よりも手間がかかるし脳に干渉する危険が伴うけど、しっかりと過去の王の記憶を持っているんだって。転生と違って人格が引き継がれないから……単純にシャスラン王の記憶から、シャウルスはルービン様に惚れたみたいよ」
「そんなこともあるのか……」


 シャウルスがシャスランでない事はよくわかったが、別人だからこそ親友以外の選択肢が生まれたのか。
 なんということだ。
 エダムは俺の頬に手を伸ばした。


「シャウルス王はあわよくばルーシャンを狙ってるけど、シャスラン王もシャウルス王も一番の望みはルーシャンの幸せだから、僕達の邪魔をするという事は無いだろうね。そういう物分かりが良いタイプが一番怖いんだけど」
「本当にな……コロッと落ちないとは言い切れない、良い男だからな……」
「僕が疲れていたのも、こんな重要な情報をあっさり打ち明けられたからなんだよね……『絶対にルーシャンを渡さない』とは言い難い攻め方がえげつないと思う」


 俺とエダムはじわじわと笑いがこみ上げてきた。
 やはりブルーミーの王は油断も隙も無い。俺達五人は一生ブルーミーに頭が上がらないだろう。感謝してもしきれない。せめて早いうちにちゃんと感謝を伝え、転生能力を返さなければ。
 そのためにも因縁の決着をつけなければいけない。シャウルスに『今が最高に幸せだ』と胸を張って言えるように。

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