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【五章】仙人と魔物
三話
しおりを挟む「えーっと……なんで?」
何故母乳が出る薬があるのか、何故俺が飲む必要があるのかなど、俺の様々な感情が籠った言葉だった。
ウルダはその質問に対し、両の手に握り拳を作って力強く言った。
「王が今後、カンタルみたいな身寄りない子供、拾う事があれば、ウルダ達も一緒に育てられる!」
「そ、そう、なのか……?」
その説明ではよくわからなかったので詳細な話を聞いてみると、パニールは歓楽街が発展しているだけあり、安全な避妊薬は発達しているがそれ以外がほとんど手付かずだったそうだ。
パニールの国民のほとんどが移民で、避妊薬の性能だけは良く、全体的にあまり子孫を残さず人口が増えない状況が続いているのが現状らしい。
それは前々から課題ではあったそうだが、他にも国内の問題を沢山抱えているカンタルだけではなかなか着手できなかったのだという。
そこでウルダが、産んだ親だけに養育を任せるのではなく『育てたい者が育てるという形にできれば良いのでは』と開発したのがこの“母乳が誰でも出る薬”という事なのだ。
ウルダが育った土地では周囲が協力して集落全体で子供を育てるのが当たり前だったらしい。
エダムはウルダの話を聞いて何度も頷いた。
「ふんふん、なるほどねぇ。血が貴ばれる王族の中、ルービン様は養子である平民のカンタルを見事育て上げて立派な王にした訳だから……その考えはパニールで広めやすいだろうね」
「まず自国の発展、見せてからじゃないと、他国だって興味持たないから」
とても真面目に研究に取り組んだ結果というのは伝わってきたが、俺が薬を試す理由にはなっていないと思うぞ。
「国の将来を見据えての薬なのはわかったが、俺に飲ませる意味はあるのか?」
「ある!」
ウルダはズイッと俺の顔を覗き込んだ。目が怖い。
「おっぱいから直接吸うと、どんな感じなのか知りたい。けど、ルーシャン以外の乳首、ウルダは吸いたくない」
「……まあ、確かに……俺も仕事とはいえウルダに他の誰かの乳は吸って欲しくないな……」
「でしょ!? これ、女性だけじゃなく、カンタルも、ウルダも母乳出たから、効果は完璧!」
人魔だけじゃなく魔物でもちゃんと出たんだ。カンタルの乳首はどこなんだろうと、どうでも良い事が気になってしまった。
「採取した母乳の検査、とかは済んでるけど、直接、乳頭から吸った時の感覚だけは未検証。エダムとしてる最中なら、ルーシャンも気持ち良くなって、効率的、だよね!?」
そこに効率を求めるのはウルダらしいと言えるが、とにかく圧が凄い。どんだけ吸いたいんだ。俺がチラリとエダムを見れば、肩を竦めて笑った。
「僕はルーシャンが良いなら構わないよ」
「俺も研究の手助けになるなら……」
その言葉にウルダは嬉しそうに顔を綻ばせ、俺とエダムに抱きついてきた。
美しい容姿に反して子供みたいな言動はギャップがあって可愛い。つい甘やかしてしまいたくなる。
エダムが俺の上から退き、俺自身も起き上がって小瓶の栓を開けた。特に匂いは無く飲みやすそうだ。人体に問題のある物をウルダが俺に渡す訳がないので安心して飲み干した。
味は、酸味と苦みと薄い甘さがバラバラに主張して後味に渋みだけが残り、かなり不味いと言える。飲めなくはないが、今後改良するとしたら味になるのだろう。
「ぐえ……」
「水、どうぞ」
味を知っているウルダは俺に水の入ったグラスを差し出した。
ありがたく受け取って口に残る渋みを水で流したが、まだまだ違和感が残っている。俺のしかめっ面が珍しいのかエダムが顔を背けてめちゃくちゃ笑ってやがる。ぜってー近いうちにエダムにも飲ませてやるからな。
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