223 / 250
第164話 休日の過ごし方
しおりを挟む
「それでは行って参ります」
着飾ったパルマがアラーナに頭を下げる。
【いつもの通り ゆっくりしてきて良いから】
「ありがとうございます」
アラーナの言葉を見たパルマは頬を赤らめつつ出かけて行った。
そんなパルマを窓から見送るデュランとバルタ(タルバン)。
「弟としてどう?」
「まあ、オルギュール様は良い方ですし…」
などと言いつつ、デュランの表情は複雑だ。
「ただ、姉さんの方が煮え切らないような…」
「…そうだなあ」
パルマの心境が分かっている2人だけに、話は盛り上がる方向へは進まなかった。
「お待たせー」
パルマの姿を見つけて手を振ったオルギュールにパルマが駆け寄る。
うれしそうな顔をするオルギュールの腕に、微笑みを浮かべたパルマが自然に腕を絡めた。
「じゃあ、行こうか」
「ええ」
連れ立って街中を歩き回り、気になった店に入る。
つれづれに飲み食いしつつ、他愛のない話で盛り上がる。
収穫祭で一夜を過ごした2人。
それ以降、こうして一緒に休日を過ごすことが多くなった。
言うまでもなく、オルギュールの休暇に合わせてアラーナがパルマに休みを与えていたからでもある。
それ以前の休暇の過ごし方は、ほぼ決まっていた。
オルギュールであれば、日中は自主的な鍛錬に精を出し、日が暮れた後は友人知人と酒を飲む。
そして時折娼館に繰り出す。
パルマならば、明るいうちは図書館や本屋に出かけ、暗くなってからは執筆に集中する。
そして時折出版社の担当と打ち合わせ。
「そろそろ戻ろうか」
「そうね」
休日の気分転換を終えた2人は、いつものようにオルギュールの屋敷に足を進めた。
功績を立てたオルギュールが准男爵を与えられた際、カルトメリから贈り物として与えられた家。
ただし、普段のオルギュールがこの屋敷に帰ることは少ない。
「面倒だから」
「慣れているし」
「騎士達に合わせて」
などなどの理由を付けて、これまで通りにオルギュールは騎士達の宿舎に寝泊まりしていた。
その例外がパルマと出かける日。
「どうぞ」
「ええ」
オルギュールがパルマを招き入れた。
普段は使っていないものの、屋敷の内外は質素かつ清潔に保たれている。
オルギュールが人を雇ってそれなりに手入れや掃除をさせているため。
オルギュールが酒瓶とグラスを用意すると、買ってきた料理をパルマが皿に盛る。
「いただきましょう」
「ああ」
料理を口に運んだ。
「おいしい!」
「当たりだね」
酒と料理とに舌鼓を打つ。
「最新作、読んだよ」
「そう、いかがでした?」
「楽しめた」
パルマは「良かった」と笑顔をみせた。
「気になったのもあるけどね」
「…どこ?」
「主人公の騎士だけど、どこかで見たことがあるような…」
「女をとっかえひっかえしてるとこ、ですか?」
オルギュールが「むう」とうなる声を上げる。
「主人公の目を覚まさせた女も知ってるような気がするんだよね」
「…そう?」
「2人のベッドシーンは真に迫ってた」
「…」
「まるで自分の体験でも書いたみたいに」
「ふーん」
パルマの頬から耳が真っ赤になっていた。
食事中は楽しい話で盛り上がったものの、食後は落ち着いた話になる。
パルマが控えめに切り出した。
「オリシホン川に出かけると伺いました」
「うん」
「難しいお仕事とも」
オルギュールが苦笑いを浮かべる。
「ああ、単に『勝て』と言われた方がはるかに楽だ」
パルマも微笑んだ。
「オルギュールならできますよ」
「だと良いのだがなあ」
「無事のお帰りを願っております」
「うーん、手足の1本2本無くすかもしれない」
「生きて帰って下さるのであれば」
「4本とも無くなっても?」
「生きて帰ってくだされば十分です」
「…分かった」
オルギュールはパルマの頬に優しく手を添えると、パルマは目を閉じる。
パルマの唇を吸ったオルギュールは、パルマを横抱きにして寝室へ向かった。
着飾ったパルマがアラーナに頭を下げる。
【いつもの通り ゆっくりしてきて良いから】
「ありがとうございます」
アラーナの言葉を見たパルマは頬を赤らめつつ出かけて行った。
そんなパルマを窓から見送るデュランとバルタ(タルバン)。
「弟としてどう?」
「まあ、オルギュール様は良い方ですし…」
などと言いつつ、デュランの表情は複雑だ。
「ただ、姉さんの方が煮え切らないような…」
「…そうだなあ」
パルマの心境が分かっている2人だけに、話は盛り上がる方向へは進まなかった。
「お待たせー」
パルマの姿を見つけて手を振ったオルギュールにパルマが駆け寄る。
うれしそうな顔をするオルギュールの腕に、微笑みを浮かべたパルマが自然に腕を絡めた。
「じゃあ、行こうか」
「ええ」
連れ立って街中を歩き回り、気になった店に入る。
つれづれに飲み食いしつつ、他愛のない話で盛り上がる。
収穫祭で一夜を過ごした2人。
それ以降、こうして一緒に休日を過ごすことが多くなった。
言うまでもなく、オルギュールの休暇に合わせてアラーナがパルマに休みを与えていたからでもある。
それ以前の休暇の過ごし方は、ほぼ決まっていた。
オルギュールであれば、日中は自主的な鍛錬に精を出し、日が暮れた後は友人知人と酒を飲む。
そして時折娼館に繰り出す。
パルマならば、明るいうちは図書館や本屋に出かけ、暗くなってからは執筆に集中する。
そして時折出版社の担当と打ち合わせ。
「そろそろ戻ろうか」
「そうね」
休日の気分転換を終えた2人は、いつものようにオルギュールの屋敷に足を進めた。
功績を立てたオルギュールが准男爵を与えられた際、カルトメリから贈り物として与えられた家。
ただし、普段のオルギュールがこの屋敷に帰ることは少ない。
「面倒だから」
「慣れているし」
「騎士達に合わせて」
などなどの理由を付けて、これまで通りにオルギュールは騎士達の宿舎に寝泊まりしていた。
その例外がパルマと出かける日。
「どうぞ」
「ええ」
オルギュールがパルマを招き入れた。
普段は使っていないものの、屋敷の内外は質素かつ清潔に保たれている。
オルギュールが人を雇ってそれなりに手入れや掃除をさせているため。
オルギュールが酒瓶とグラスを用意すると、買ってきた料理をパルマが皿に盛る。
「いただきましょう」
「ああ」
料理を口に運んだ。
「おいしい!」
「当たりだね」
酒と料理とに舌鼓を打つ。
「最新作、読んだよ」
「そう、いかがでした?」
「楽しめた」
パルマは「良かった」と笑顔をみせた。
「気になったのもあるけどね」
「…どこ?」
「主人公の騎士だけど、どこかで見たことがあるような…」
「女をとっかえひっかえしてるとこ、ですか?」
オルギュールが「むう」とうなる声を上げる。
「主人公の目を覚まさせた女も知ってるような気がするんだよね」
「…そう?」
「2人のベッドシーンは真に迫ってた」
「…」
「まるで自分の体験でも書いたみたいに」
「ふーん」
パルマの頬から耳が真っ赤になっていた。
食事中は楽しい話で盛り上がったものの、食後は落ち着いた話になる。
パルマが控えめに切り出した。
「オリシホン川に出かけると伺いました」
「うん」
「難しいお仕事とも」
オルギュールが苦笑いを浮かべる。
「ああ、単に『勝て』と言われた方がはるかに楽だ」
パルマも微笑んだ。
「オルギュールならできますよ」
「だと良いのだがなあ」
「無事のお帰りを願っております」
「うーん、手足の1本2本無くすかもしれない」
「生きて帰って下さるのであれば」
「4本とも無くなっても?」
「生きて帰ってくだされば十分です」
「…分かった」
オルギュールはパルマの頬に優しく手を添えると、パルマは目を閉じる。
パルマの唇を吸ったオルギュールは、パルマを横抱きにして寝室へ向かった。
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる