【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

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第168話 出征命令

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「公爵、頼むぞ」

クランダルク王国の宮殿広間。
テセント・クランダルク国王がカルトメリ・ワーレンバーグ公爵に出征を命じた。

「謹んで承ります」

クランダルク王国の重臣が居並ぶ中で、命令書を捧げ持ったカルトメリが一礼する。

「国王陛下の御退出ー」

マントをひるがえしてクランダルク国王が去っていった。

「公爵閣下!」

クランダルク国王が退出した後、重臣達がカルトメリの周りに集まる。

「頼みましたぞ」
「大役ですな」
「私にできることがあれば…」

それぞれが激励したり助力を申し出たりする。

「感謝します」
「お気持ちうれしいです」
「助かります」

カルトメリも素直に礼を述べる。

ただし具体的に何かを受け入れるようなことはない。
中途半端にかかわりを持ってしまうと、戦場に影響が出てしまうかもしれないからだ。

「勝ち過ぎず、負け過ぎず、か…」

帰りの馬車の中でもカルトメリの表情は重い。

実際、戦争の準備はほほ出来上がっており、なるべく引き分けにする計画も立ててある。

しかし計画通りにことが進むとは限らない。
戦場においては、雨が降ったり風が吹いたりしただけでも、戦況に影響を与えてしまう。
むしろ十分な計画を立てた時に、予想外の出来事が発生したこともあった。



馬車がワーレンバーグ公爵家の門をくぐる。

「お帰りなさいませ」

公爵邸に戻ると、出迎えた執事のフレードにオルギュールを呼ぶよう頼む。
すぐにオルギュールが執務室に駆け込んでくる。

「いよいよですか?」
「ああ」

王宮にてテセント・クランダルク国王から拝領した命令書を見せる。
コードコンタール王国との戦争における最高責任者。それがカルトメリの任務だった。

「2国の面子を賭けた『大いなる騙し合い』だな」

フレードもオルギュールも似たようなことを考えてはいたが、口には出さなかった。
それだけにカルトメリの言葉を聞いた2人の顔に苦笑が浮かぶ。

今回の領地争いにおいて、戦意をむき出しにしているのは当事者となる近隣の領民達。
そして彼らを抱える地主や領主も影響を受けている。
つまりそれらの私兵や民兵が積極的に闘うことになるだろう。

カルトメリが率いるのはクランダルク王国軍やワーレンバーグ公爵家の騎士達。
彼らの任務は戦火が広まり過ぎないよう鎮静化を図ることだ。

これは隣国のコードコンタール王国も似たようなもの。

その上で数回から5回程度戦った後に終戦協定を結ぶ。

「いやあ、強いねー」
「そっちこそ、強いよー」
「もう止めようかー」
「そうだねー」

そんな流れだ。

オルギュールが確認する。

「終戦協定の内容は決まっているのですか」
「ああ、ただし…」

死傷者の数によって賠償金が異なってくるだろうと話す。

「どちらも少なからず死傷者が出てしまうでしょうから」

フレードの言葉にカルトメリとオルギュールがうなずいた。

「何とか死者は100人を超えないようにしたいが…」
「努力しましょう」

その後に詳細まで詰め終えたところで、オルギュールが敬礼して執務室を出て行った。
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