【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

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第179話 証拠隠滅(少しH描写あり)

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「こちらへ」

ワーレンバーグ公爵家の本邸。

パルマの指示でアリィ(アラーナ)が素早く階段の陰に身を隠す。
次はランプをかざして周囲を確認したパルマが先行して柱の陰に身を潜めた。
その次はアリィ(アラーナ)が彫像に隠れる。

誰にも見とがめられないまま、テレシアの寝室の前までたどり着く。
アリィ(アラーナ)が扉に耳を当てた。

「いかがですか?」

アリィ(アラーナ)が小さくうなずいて、静かに扉を開けた。
暗がりの中、抑えたランプの灯が目立つ。
その近くでテレシアと思しき寝息が聞こえた。

アリィ(アラーナ)とパルマは足音をひそめつつ小走りでベッドに近づいた。

すーっ…

すーっ…
 
すーっ…

一見何事もなく眠っているように見えるテレシア。
しかし、よくよく見れば夜着を着ておらず、シーツが大きく乱れている。

「テレシア様」

パルマが小声で呼びかける。
さらにはだけていたシーツを胸元まで引き上げて軽くゆする。

アリィ(アラーナ)は窓を開けて、部屋の空気を入れ替えた。

「う…ん…」

うっすらと目を開けたテレシア。
自分を見ている2人の女が目に入る。

「誰っ!」

シーツをかき寄せて身を縮めた。

「アラーナ様についております。パルマと申します。こちらはアリィ」
「パ…ルマ?…ア…リ…ィ?」

何度か名前を繰り返して、テレシアは見覚えのある顔を認識した。

「どうしてここに?」

テレシアがシーツにくるまったまま尋ねると、パルマはひと呼吸おいて明かした。

「アラーナ様に事情を伺いました」
「えっ、ど、どうして?」

その問いには答えずに逆に尋ねる。

「テレシア様、痛みはありますか?」

テレシアはシーツの上から股間の辺りを手で押さえる。

「………少し」
「では、こちらのお薬をお飲みください。痛み止めです」

パルマが薬を差し出し、アリィ(アラーナ)がテーブルから水の入ったコップを持ってきた。

「…そう」

薬と水を飲み干したテレシアはコップを返す。

「体をお拭きします」

一瞬テレシアは体を縮こませたものの、「ええ」とうなずいてベッドから降りる。
わずかに背中を丸めたテレシアの体を、パルマとアリィ(アラーナ)が手分けして拭いていく。

右の乳房にひとつ、左の乳房の下にひとつ、背中にもひとつ。
赤黒い跡がついている。

『タルバン様は、もう!』
『お兄様ったら!』

パルマとアリィ(アラーナ)が顔をしかめる。
それでも服の下に隠れる部分であるのを見て安心した。

アリィ(アラーナ)の手にしたタオルが股間に触れた。
わずかにテレシアが「あっ」とつぶやいて眉をひそめる。
股間を押さえたタオルには血がにじんでいた。

「こちらを…」

パルマが新しい夜着を着せる。

「朝起きてまだ出血が続くようでしたら、月のものが狂ったと…」
「…そうね」

その間にアリィ(アラーナ)がベッドのシーツを取り換えた。

「どうぞお休みください」

パルマに導かれて、テレシアはベッドに滑り込む。
枕に頭を薄めるとアリィ(アラーナ)が部屋の窓を閉めて戻って来た。

部屋の空気はすっかりすがすがしくなっている。

「アラーナが…」

テレシアが言いかけたところで、パルマが自分の口に人差し指を当てる。

「明日、必ずご説明しますので、それまでお待ちください」

テレシアは小さくうなずくと、そのまま目を閉じる。
すぐに呼吸が寝息に変わった。

パルマとアリィ(アラーナ)は丸めたシーツなどを抱えつつ、テレシアの寝室を後にした。
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