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第184話 事故の知らせ
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「お戻りになりました!」
アラーナ(タルバン)の乗った馬車がワーレンバーグ公爵邸の門をくぐる。
それを待っていたかのように、執事のコーネリア・センシスが飛び出してきた。
「何があったの?」
「いえ、私どもも詳しく事情がつかめず…」
居間ではヴァイン・ワーレンバーグ先代公爵とプリス夫人、そしてテレシアが不安げな顔をしている。
そんな3人に執事のフレード・センシスが励ましの声をかけていた。
「お父様!お母様!」
居間に入ってきたアラーナ(タルバン)を見てヴァインとプリスが顔を上げ、テレシアが駆け寄った。
「お兄様が、カルトメリ公爵閣下が…」
「えっ!」
テレシアに続いて、フレードが説明した。
「つい先ほど急使が参りまして、公爵閣下が事故にあったと」
「事故?どんな?」
フレードが首を振る。
「それ以上の情報はございません」
「日時も、場所も分からないの?」
「はい」
フレードが申し訳なさそうな顔をする。
「使者も詳しくは知らないのね」
「事故現場を直接見知った者ではないとのことでした」
「使者はどこに?」
「ひどく疲れていたので休ませてあります。お会いになりますか?」
「……そう、いえ、それなら良いわ」
アラーナ(タルバン)は居間で立ったまま考え込む。
しばらく後に口を開いた。
「待ちましょう」
ヴァインとプリスにテレシア、そしてフレードとコーネリアがアラーナ(タルバン)を見る。
「オルギュール様を始め、公爵家の騎士達もいますし、続報を待ちましょう」
「奥様、それでよろしいので?」
「私達が軽々に動いて混乱が大きくなるのは避けるべきです」
「さようですな」
「ただ…」
アラーナ(タルバン)がフレードとコーネリアを見る。
「いつでも動けるように、馬車の準備を」
フレードがコーネリアに視線を送る。
コーネリアが「かしこまりました」と居間を出て行った。
その日の夜更けまでにワーレンバーグ公爵家に2人の急使が駆け込んできた。
最初の急使は口頭のみの報告だったが、2人目、3人目の急使はオルギュールの手紙を所持していた。
さらに3人目の急使は現場近くに居合わせた騎士だったことから、詳しい事情を聞くことができた。
「ありがとう。ゆっくり休んでね」
「はっ」
3人目の急使役を担った騎士は、きっちり敬礼をして居間を出て行った。
カルトメリ公爵が事故にあった状況は次の通り。
終戦協定を結んだ後、戦争の後処理を終えた。
帰軍の前にオリシホン川の周辺を見回った。
そこで公爵の護衛に就いていた騎士の馬が暴れた。
巻き込まれる形でカルトメリ公爵と数人の騎士がオリシホン川に落ちて流された。
すぐに騎士達は救出されたが、カルトメリ公爵の救出は間に合わなかった。
「それで捜索中だと…」
「!」
ワーレンバーグ公爵家の別邸でアラーナ(タルバン)がアリィ(アラーナ)らに説明する。
青い顔でふらつくアリィ(アラーナ)を、パルマとテレシアが両側から支えた。
そのままゆっくりとソファに座らせる。
「アラーナ様、どうぞ」
デュランが差し出したコップを受け取ったアリィ(アラーナ)は水をひと口飲んだ。
【ありがとう】
アリィ(アラーナ)の顔色はさえないままながら、呼吸は落ち着いてきた。
「タルバン、現地には行かなくて良いの?」
テレシアが心配そうに尋ねる。
「うーん、行きたいのは山々だけど…」
捜索の邪魔になるのは避けるべきだ。
「とりあえず朝まで待とう。多分、続報が来るだろうし、それを聞いて判断、かな」
「そうね」
アラーナ(タルバン)はアリィ(アラーナ)の頬を撫でる。
「眠れないかもしれないけど、今はゆっくり休むんだ」
【分かりました】
パルマとデュランがアリィ(アラーナ)を寝室に連れて行く。
「タルバン、あなたも休んだ方が良いわ。顔色がひどいもの」
「そうか?」
テレシアはアラーナ(タルバン)の顔に手を添えて、優しく口づけする。
「なんなら添い寝してあげましょうか?」
「添い寝?逆に眠れなくなりそうだな」
テレシアは「フフッ」と笑って、アラーナ(タルバン)の鼻を軽くつまんだ。
「それだけ元気なら、添い寝も必要ないみたいね」
「……ありがとう」
今度はアラーナ(タルバン)からテレシアに口づけする。
テレシアは自分の唇に右手を触れると、その手を振って部屋を出て行った。
アラーナ(タルバン)の乗った馬車がワーレンバーグ公爵邸の門をくぐる。
それを待っていたかのように、執事のコーネリア・センシスが飛び出してきた。
「何があったの?」
「いえ、私どもも詳しく事情がつかめず…」
居間ではヴァイン・ワーレンバーグ先代公爵とプリス夫人、そしてテレシアが不安げな顔をしている。
そんな3人に執事のフレード・センシスが励ましの声をかけていた。
「お父様!お母様!」
居間に入ってきたアラーナ(タルバン)を見てヴァインとプリスが顔を上げ、テレシアが駆け寄った。
「お兄様が、カルトメリ公爵閣下が…」
「えっ!」
テレシアに続いて、フレードが説明した。
「つい先ほど急使が参りまして、公爵閣下が事故にあったと」
「事故?どんな?」
フレードが首を振る。
「それ以上の情報はございません」
「日時も、場所も分からないの?」
「はい」
フレードが申し訳なさそうな顔をする。
「使者も詳しくは知らないのね」
「事故現場を直接見知った者ではないとのことでした」
「使者はどこに?」
「ひどく疲れていたので休ませてあります。お会いになりますか?」
「……そう、いえ、それなら良いわ」
アラーナ(タルバン)は居間で立ったまま考え込む。
しばらく後に口を開いた。
「待ちましょう」
ヴァインとプリスにテレシア、そしてフレードとコーネリアがアラーナ(タルバン)を見る。
「オルギュール様を始め、公爵家の騎士達もいますし、続報を待ちましょう」
「奥様、それでよろしいので?」
「私達が軽々に動いて混乱が大きくなるのは避けるべきです」
「さようですな」
「ただ…」
アラーナ(タルバン)がフレードとコーネリアを見る。
「いつでも動けるように、馬車の準備を」
フレードがコーネリアに視線を送る。
コーネリアが「かしこまりました」と居間を出て行った。
その日の夜更けまでにワーレンバーグ公爵家に2人の急使が駆け込んできた。
最初の急使は口頭のみの報告だったが、2人目、3人目の急使はオルギュールの手紙を所持していた。
さらに3人目の急使は現場近くに居合わせた騎士だったことから、詳しい事情を聞くことができた。
「ありがとう。ゆっくり休んでね」
「はっ」
3人目の急使役を担った騎士は、きっちり敬礼をして居間を出て行った。
カルトメリ公爵が事故にあった状況は次の通り。
終戦協定を結んだ後、戦争の後処理を終えた。
帰軍の前にオリシホン川の周辺を見回った。
そこで公爵の護衛に就いていた騎士の馬が暴れた。
巻き込まれる形でカルトメリ公爵と数人の騎士がオリシホン川に落ちて流された。
すぐに騎士達は救出されたが、カルトメリ公爵の救出は間に合わなかった。
「それで捜索中だと…」
「!」
ワーレンバーグ公爵家の別邸でアラーナ(タルバン)がアリィ(アラーナ)らに説明する。
青い顔でふらつくアリィ(アラーナ)を、パルマとテレシアが両側から支えた。
そのままゆっくりとソファに座らせる。
「アラーナ様、どうぞ」
デュランが差し出したコップを受け取ったアリィ(アラーナ)は水をひと口飲んだ。
【ありがとう】
アリィ(アラーナ)の顔色はさえないままながら、呼吸は落ち着いてきた。
「タルバン、現地には行かなくて良いの?」
テレシアが心配そうに尋ねる。
「うーん、行きたいのは山々だけど…」
捜索の邪魔になるのは避けるべきだ。
「とりあえず朝まで待とう。多分、続報が来るだろうし、それを聞いて判断、かな」
「そうね」
アラーナ(タルバン)はアリィ(アラーナ)の頬を撫でる。
「眠れないかもしれないけど、今はゆっくり休むんだ」
【分かりました】
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「タルバン、あなたも休んだ方が良いわ。顔色がひどいもの」
「そうか?」
テレシアはアラーナ(タルバン)の顔に手を添えて、優しく口づけする。
「なんなら添い寝してあげましょうか?」
「添い寝?逆に眠れなくなりそうだな」
テレシアは「フフッ」と笑って、アラーナ(タルバン)の鼻を軽くつまんだ。
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