245 / 250
第186話 現地へ向かうのは
しおりを挟む
「それでは行って参ります」
翌日早朝、ワーレンバーグ公爵家から3人の使用人が現地に向かうことになった。
馬にまたがるのはパルマとデュラン、そして召使いのバルタ。
これまでアラーナ本人が公爵夫人として人前に出る時、タルバンが召使のバルタとなって傍らに付いていた。
アラーナが扇子などで口元を隠し、バルタ(タルバン)が領民に声をかける。
そんな芸人まがいの技を実践したこともあった。
しかし今回召使のバルタに扮しているのはアラーナだ。
つまりワーレンバーグ公爵家に残るのは、いつものアラーナ(タルバン)となる。
そのアラーナ(タルバン)が3人を見送る。
「3人とも、よろしく頼みますね」
パルマとデュランは「はい」と答え、バルタ(アラーナ)はしっかりとうなずく。
まず3人はクリスパ領に向かう。そこでタルバン・クリスパ伯爵を連れてオリシホン川の現地に向かう。これが表向きの計画。
しかし実際には直接オリシホン川に向かい、途中でバルタ(アラーナ)がタルバン(アラーナ)に扮する計画。これなら公爵夫人や女中のアリィとして馬車で向かうよりも、はるかに早く現地に到着できる。
彼らとは別に、ワーレンバーグ公爵家から先ぶれの騎士が現地に向かうことにもなっている。
「それっ!」
デュランが馬を走らせる。バルタ(アラーナ)とパルマも後に続く。
3つの馬影はあっという間に小さくなった。
「きっと笑顔で戻ってくるわ」
3人を見送ったまま動かないアラーナ(タルバン)にテレシアが話しかける。
「それなら良いのだけど…」
「知ってるでしょ。私の勘は当たるんだから」
「まあ…」
テレシアに見つめられると、アラーナ(タルバン)に男の顔がのぞく。
テレシアはアラーナ(タルバン)の腕を取って邸内へと引っ張っていった。
王都クラマスを出たところで、3頭の馬はクリスパ領ではなく、オリシホン川に行き先を変えた。
先頭で馬を走らせるのがデュラン。ついでバルタ(アラーナ)。最後にパルマ。
しばらく走ったところで、パルマがバルタ(アラーナ)に併走する。
「アラーナ様、調子はいかがですか?」
パルマが話しかける。
真剣な顔をしていたバルタ(アラーナ)がニッコリと笑い、口で「問題ない」と形作った。
「分かりました」
馬を遅らせたパルマが元のように最後尾に付いた。
バルタ(アラーナ)が前を進むデュランの馬の尻を見つめる。
馬は3頭とも快調に走っている。
『この調子なら明後日には着くはず』
かなりの強行軍であり、普通の貴族令嬢では耐えられないだろう。
しかし幼い頃から野山を駆け回っていたアラーナなら乗り切れる日程だ。
召使であるバルタの格好をするのは明日の夜まで。
明後日の朝にはタルバン・クリスパ伯爵となり、現地に到着する見込み。
『カール、どうか、それまで無事でいてください』
馬を走らせながら、バルタ(アラーナ)は何度も祈った。
翌日早朝、ワーレンバーグ公爵家から3人の使用人が現地に向かうことになった。
馬にまたがるのはパルマとデュラン、そして召使いのバルタ。
これまでアラーナ本人が公爵夫人として人前に出る時、タルバンが召使のバルタとなって傍らに付いていた。
アラーナが扇子などで口元を隠し、バルタ(タルバン)が領民に声をかける。
そんな芸人まがいの技を実践したこともあった。
しかし今回召使のバルタに扮しているのはアラーナだ。
つまりワーレンバーグ公爵家に残るのは、いつものアラーナ(タルバン)となる。
そのアラーナ(タルバン)が3人を見送る。
「3人とも、よろしく頼みますね」
パルマとデュランは「はい」と答え、バルタ(アラーナ)はしっかりとうなずく。
まず3人はクリスパ領に向かう。そこでタルバン・クリスパ伯爵を連れてオリシホン川の現地に向かう。これが表向きの計画。
しかし実際には直接オリシホン川に向かい、途中でバルタ(アラーナ)がタルバン(アラーナ)に扮する計画。これなら公爵夫人や女中のアリィとして馬車で向かうよりも、はるかに早く現地に到着できる。
彼らとは別に、ワーレンバーグ公爵家から先ぶれの騎士が現地に向かうことにもなっている。
「それっ!」
デュランが馬を走らせる。バルタ(アラーナ)とパルマも後に続く。
3つの馬影はあっという間に小さくなった。
「きっと笑顔で戻ってくるわ」
3人を見送ったまま動かないアラーナ(タルバン)にテレシアが話しかける。
「それなら良いのだけど…」
「知ってるでしょ。私の勘は当たるんだから」
「まあ…」
テレシアに見つめられると、アラーナ(タルバン)に男の顔がのぞく。
テレシアはアラーナ(タルバン)の腕を取って邸内へと引っ張っていった。
王都クラマスを出たところで、3頭の馬はクリスパ領ではなく、オリシホン川に行き先を変えた。
先頭で馬を走らせるのがデュラン。ついでバルタ(アラーナ)。最後にパルマ。
しばらく走ったところで、パルマがバルタ(アラーナ)に併走する。
「アラーナ様、調子はいかがですか?」
パルマが話しかける。
真剣な顔をしていたバルタ(アラーナ)がニッコリと笑い、口で「問題ない」と形作った。
「分かりました」
馬を遅らせたパルマが元のように最後尾に付いた。
バルタ(アラーナ)が前を進むデュランの馬の尻を見つめる。
馬は3頭とも快調に走っている。
『この調子なら明後日には着くはず』
かなりの強行軍であり、普通の貴族令嬢では耐えられないだろう。
しかし幼い頃から野山を駆け回っていたアラーナなら乗り切れる日程だ。
召使であるバルタの格好をするのは明日の夜まで。
明後日の朝にはタルバン・クリスパ伯爵となり、現地に到着する見込み。
『カール、どうか、それまで無事でいてください』
馬を走らせながら、バルタ(アラーナ)は何度も祈った。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる