【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

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第9話 最後の選定

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「お待たせいたしました」
「ああ」

カルトメリの机に紙束が置かれる。しかし箱は置かれない。

紙束は山のように…ではなかった。
候補者それぞれに10枚前後ある。それが8人分のため、山にこそならないものの厚みはある。

カルトメリは1人ずつ読み進めていく。

容貌、体格、性格、思想、趣味や趣向。
幼少期からの生い立ちに周囲の人達からの評判。
そして絵心のある調査員による似顔絵。

外国に住む貴族令嬢の2人と事業家の娘の1人、さらに辺境に住む貴族令嬢と会うのは難しい。
一方、貴族令嬢の1人、武門の家柄の女性、事業家の娘の1人、そして声楽家は王都に住んでいる。

まずカルトメリは声楽家の公演を観覧した。

多少距離のある貴賓席から見下ろす格好になったが、その容姿は十分に観察できた。

「素晴らしい声だな」
「さようでございますな」
「それに美しい」
「はい、確かに」

フレードは主人が声を、そして容姿を賞賛する言葉を聞く一方、表情が代わり映えしないのを見て取った。

その他の王都にいる3人については、密かに予定を調査させた後、遠目に観察する。
いずれの時もフレードは主人の横顔に視線を向けたが、4人の候補者で大きな差があるようには思えなかった。

「いかがでしたか?」
「うん?ああ、美しいな」

答えも似たようなものだった。

そうしてできる限りの情報を入手した後、カルトメリは慎重に頭の中で検討を重ねる。

私生活で1人の女性として愛し愛される存在になれそうか。
公にワーレンバーグ公爵夫人となって後、ふさわしい言動をとってくれるか。

時として、両親を始め、周囲にいる貴族夫妻を思い浮かべる。
私生活で良好な夫婦関係を築いていると、公務にも差しさわりが出る。
もっとも公務でつまづいていると、私生活もギクシャクしてしまうとも言える。

「…ムフ」

侯爵として真剣に悩みつつも、つい夜の営みを想像してしまい、にやけてしまうのは男の“さが”だ。
あわてて前かがみとなって周囲を見回し、執事のフレードが居ないことに安堵する。

やがて8つの紙束から1つをつかむ。

「よし、決めた」

カルトメリは8人の候補者の中から辺境の貴族令嬢を選択した。
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