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第14話 ホルストの号泣
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「まあ、これが私?」
手鏡を見たタルバンが素直に驚く。
それは意図したものかは分からないが、声までアラーナに寄せていた。
「タルバン様、もう少し高めの声でゆっくり目に話せますか?」
「ああ、やってみよう」
タルバンは立ち上がると、数回深呼吸して話し始める。
「皆さん、こんにちは、アラーナです」
デュランは「うんうん」とうなずく一方、パルマとラマナイトが「うーん」と首を傾げる。
「もう少し丁寧に」
「それと品良く」
「肩の力を抜いてください」
「視線は優しめで」
「胸をそらしてみましょうか」
2人から次々に注文が飛んでくる。
タルバンは悩みながらも、できる限り要望に応じていく。
「こんなものでしょうか」
【一段と似てきました】
「アラーナ様はもう少し品があったような」
「そうねえ」
【でもずっと良くなっていますよ】
「アラーナ様はそう思います?」
3人の女性が意見を交わす中で、デュランが何かを思いついたように部屋を出ていく。
すぐに戻ってきたデュランはアラーナが部屋着にしているワンピースを手にしていた。
気づいたパルマが尋ねる。
「どうしたの、それ?」
「タルバン様、ちょっと着てみてください」
「うん?」
タルバンとアラーナの体格を比較すると、背はタルバンの方が少しだけ高い。
首はアラーナの方が細め。
肩幅は同じくらい。
胸はアラーナの方がもちろんある。
腰のくびれはアラーナの方が細い。
腰回りから足にかけてはタルバンの方が肉付きが良い。
「ゆったり目のものを持ってきたので、タルバン様でも入ると思います」
「あ、ああ」
デュランに言われるがままにタルバンはシャツとズボンを脱いで、アラーナのワンピースを着ていく。
生地に余裕がある分、ほとんど引っかかりなく体を入れることができた。
最後に背中のボタンをパルマが止める。
「どうです?」
デュランが大きな姿見を持ってきた。
「似てるなあ、いや、そっくりだ」
「タルバン様、そのままお待ちください」
そう言い残してデュランが執務室を出ていく。
と思ったら、戻ってきた。
「アラーナ様は…そう、机の陰にでも隠れていてくださいね」
再びデュランは出ていった。
パルマとラマナイトは「何?」と首を傾げたが、アラーナは何かを察したように机の陰に隠れる。
やがて大きな足音が響いて執務室の扉が開くと、ホルストが入ってくる。続いてデュラン。
「お嬢様!声が戻ったと聞きましたが、本当ですか?」
ホルストの大声でタルバンはデュランの思惑を察した。
パルマもラマナイトも、そして隠れているアラーナも。
執務室に入ったホルストは立っているアラーナー実はタルバンーに駆け寄ってくる。
「お嬢様!」
「ええ、もう平気みたい」
アラーナ(タルバン)が答える。
そばで見ているパルマとラマナイトは『練習はどうなったのよ』と顔をしかめる。
デュランも『これはバレるだろう』と額に手を当てた。
しかしホルストは気づかない。
「よ、よかったあああああー」
アラーナ(タルバン)の前でひざまずいたホルストは両方の目から涙をこぼした。
手鏡を見たタルバンが素直に驚く。
それは意図したものかは分からないが、声までアラーナに寄せていた。
「タルバン様、もう少し高めの声でゆっくり目に話せますか?」
「ああ、やってみよう」
タルバンは立ち上がると、数回深呼吸して話し始める。
「皆さん、こんにちは、アラーナです」
デュランは「うんうん」とうなずく一方、パルマとラマナイトが「うーん」と首を傾げる。
「もう少し丁寧に」
「それと品良く」
「肩の力を抜いてください」
「視線は優しめで」
「胸をそらしてみましょうか」
2人から次々に注文が飛んでくる。
タルバンは悩みながらも、できる限り要望に応じていく。
「こんなものでしょうか」
【一段と似てきました】
「アラーナ様はもう少し品があったような」
「そうねえ」
【でもずっと良くなっていますよ】
「アラーナ様はそう思います?」
3人の女性が意見を交わす中で、デュランが何かを思いついたように部屋を出ていく。
すぐに戻ってきたデュランはアラーナが部屋着にしているワンピースを手にしていた。
気づいたパルマが尋ねる。
「どうしたの、それ?」
「タルバン様、ちょっと着てみてください」
「うん?」
タルバンとアラーナの体格を比較すると、背はタルバンの方が少しだけ高い。
首はアラーナの方が細め。
肩幅は同じくらい。
胸はアラーナの方がもちろんある。
腰のくびれはアラーナの方が細い。
腰回りから足にかけてはタルバンの方が肉付きが良い。
「ゆったり目のものを持ってきたので、タルバン様でも入ると思います」
「あ、ああ」
デュランに言われるがままにタルバンはシャツとズボンを脱いで、アラーナのワンピースを着ていく。
生地に余裕がある分、ほとんど引っかかりなく体を入れることができた。
最後に背中のボタンをパルマが止める。
「どうです?」
デュランが大きな姿見を持ってきた。
「似てるなあ、いや、そっくりだ」
「タルバン様、そのままお待ちください」
そう言い残してデュランが執務室を出ていく。
と思ったら、戻ってきた。
「アラーナ様は…そう、机の陰にでも隠れていてくださいね」
再びデュランは出ていった。
パルマとラマナイトは「何?」と首を傾げたが、アラーナは何かを察したように机の陰に隠れる。
やがて大きな足音が響いて執務室の扉が開くと、ホルストが入ってくる。続いてデュラン。
「お嬢様!声が戻ったと聞きましたが、本当ですか?」
ホルストの大声でタルバンはデュランの思惑を察した。
パルマもラマナイトも、そして隠れているアラーナも。
執務室に入ったホルストは立っているアラーナー実はタルバンーに駆け寄ってくる。
「お嬢様!」
「ええ、もう平気みたい」
アラーナ(タルバン)が答える。
そばで見ているパルマとラマナイトは『練習はどうなったのよ』と顔をしかめる。
デュランも『これはバレるだろう』と額に手を当てた。
しかしホルストは気づかない。
「よ、よかったあああああー」
アラーナ(タルバン)の前でひざまずいたホルストは両方の目から涙をこぼした。
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