【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

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第90話 花にあふれた帰路

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「お待ちしておりました」

帰路の途中で宿泊する場は行きと同じ。
異なるのは飾られた花の量。

【予想以上ですね】

アラーナの書いた通り、山のように積まれた花が一行を待っていた。

「ま、同じようにするか」

小分けにした花束を作り「皆さんに幸せを贈ります」のカードを添えて近隣に配る。

ただし量が違うので、人手も増やさなくてはいけない。

「皆様にお手伝いをお願いしたいのですが」
「喜んで!」

パルマの願いを即答したオルギュールは同行する騎士達を動員。普段は剣を握る手で花束を作らせた。
騎士達から不平が出なかったのは、オルギュールの睨みとアラーナ(タルバン)の微笑みがあればこそ。

カードを書くのは、アラーナとパルマの役目。

そうしてカードを添えた花束は宿の従業員が近隣に配った。

肝心のアラーナ(タルバン)は行きと同様に断り切れない貴族や有力者の相手をする。
もちろん、こちらの数も行きの時より多い。

「幸せのおすそ分けです」

訪問者の前でアラーナ(タルバン)手ずから花束を作り、カードを書いて渡す。
近い未来、公爵夫人となる人自らのもてなしに、全ての訪問客が満足して帰って行った。

「まさか男とは思ってもいないでしょう」
【カルトメリ公爵の感覚は凄かったのですね】
「そうだなあ」

訪問客の対応が終わった頃、小分けにした花束も配り終わっていた。

「ありがとうございました」

アラーナ(タルバン)の笑顔をお礼として、騎士達や宿の従業員は本来の仕事に戻っていった。

寝室に入り、3人だけになってアラーナ(タルバン)は化粧を落とす。
合わせてアラーナも素顔をさらしたことで、そっくりの顔が2つ並んだ。

「日々、化粧の腕を上げているな」
【私もそう思います】
「ありがとうございます。でも…」

パルマはニヤリと笑う。

「こんなものではありませんよ」
【まだ何かあるの?】
「帰ってすぐにタルバン様は王都に向かうのですよね」
「ああ」
「戻ってきた時には驚くと思います」
「戻ってきた時?」
【すると私ですか?】
「そうですけど…」

パルマは「それ以上は秘密にしておきましょう」と唇に人差し指を当てた。

タルバンとアラーナはそっくりな顔を見合わせて不思議がるものの、「パルマのすることなら」と、それ以上の追及はしなかった。


-翌朝-

パルマによって化粧をしたタルバンはアラーナ(タルバン)となり、地味な化粧をしたアラーナは侍女となる。

タルバンは手鏡に自分の顔を写し、アラーナの顔と見比べる。

「今日の出来も見事だな」

パルマはいつものすまし顔で「ありがとうございます」と述べた。

「出発!」

オルギュールの合図で一行の馬車が動き出す。

「皆様、ごきげんよう」

アラーナ(タルバン)の挨拶に宿の従業員は「ありがとうございました!」と見送る。
近隣の住人も多くが見送りに出ており、アラーナ(タルバン)が軽く手を振ると、あちこちから歓声が上がる。

「お疲れ様です」
【あと4回ありますよ】
「そうなんだよなあ」

3人を乗せた馬車はゆっくりと帰路を進んで行った。
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