【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

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第101話 二度目の謁見

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「テセント・クランダルク国王陛下、クリランテス・クランダルク王妃殿下の御出来《ごしゅつらい》ー!」

王宮の広間に声が響く。

中央で片膝をついたタルバンが頭を下げると、ゆったりとした足音と衣擦れの音が聞こえてくる。
2人が席に着いたところで、侍従が国王に説明した。

「クリスパ領の領主、タルバン・クリスパ伯爵でございます」
「うむ」

国王が指先を上げると、侍従が「タルバン・クリスパ伯爵、おもてを上げよ」と叫ぶ。
タルバンが「ははっ」とかしこまりながら立ち上がった。

タルバンが立っている場所から5段上がったところに、国王と王妃の席がある。
2人の左右には侍従と女官が5人ずつ、やや伏し目がちの姿勢で控えている。

「タルバン・クリスパ伯爵でございます。この度は国王陛下と王妃殿下のご尊顔を拝する機会を与えていただき、感謝の言葉もございません」

2人が鷹揚にうなずく。

「また、クリスパ伯爵家当主の就任に際し、ご挨拶が遅れましたことをお詫び申し上げます」

その後で深々と頭を下げた。

「大事ない」

国王が言葉をかけると、タルバンが頭を上げる。

「若き身で伯爵家の当主となれば苦労も多かろう。身体に気を付けて末永く務めよ」
「ははっ!」
「ワーレンバーグ公爵家と縁続きになると聞いた」
「はっ!」
「当主の就任と合わせて、余と王妃から祝いの品を贈ろう」

タルバンの傍らに侍従が寄ってくる。
掲げ持ったトレーには、金銀の鞘に入った短剣と宝石をふんだんに使った首飾りがあった。
前者をタルバンに、後者をアラーナに、との意味だろう。

『売ったらいくらになるだろう』

そんな考えを顔に出すこともなく、タルバンは「ありがたき幸せ」と頭を下げた。

「うむ、今日はご苦労だった。ゆっくりしていくが良い」
「ははっ!」

タルバンが頭を下げる。

「テセント・クランダルク国王陛下、クリランテス・クランダルク王妃殿下の御退出《ごたいしゅつ》ー!」

そう声が響いて、ゆったりとした足音と衣擦れの音が小さくなって行った。


「お疲れさん」
「ええ、疲れました」

控えの間では、カルトメリが待っていた。

「これを頂きましたよ」
「お、似合うな」

カルトメリがタルバンの胸元に首飾りを当てる。

「本当になりそうで怖いですよ」
「王妃殿下から頂いたからには、一度はつけて見せないとな」

タルバンがため息をつく。
王都で開く予定の結婚披露パーティーが、その場となりそうだ。

「しかし謁見って、あんなものなんですね」
「まあな、型通りも型通り。前夜のように気軽に話すわけには行かんのさ」
「大変ですね」
「さて、帰るか」

カルトメリとタルバンは自分達が乗ってきた馬車へと向かった。
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