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第113話 クリスパ領の変化
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「見えてきました」
陽が傾きかけてきた中。オルギュールがアラーナ(タルバン)に声をかける。
「何事もなく、着きましたね」
「はっ」
王都へ向かった時とは異なる帰路で、実質2日半の強行日程を乗り超えた。
ここまで来れば、もうひと息でクリスパ家に着く。
アラーナ(タルバン)はフードを少し上げると、クリスパ領を眺める。
貧しい領地であるのは自覚してきたが、こうして見るといくらか明るい兆しを感じた。
アラーナ・クリスパ伯爵令嬢とカルトメリ・ワーレンバーグ公爵との結婚が影響しているのは間違いない。
「あそこにも…」
アラーナ(タルバン)の視線が向いた先にあるのは、新たに建てられた騎士の詰所。
ワーレンバーグ公爵家から派遣された騎士達がクリスパ領内を巡回する際に使う。
詰所の建設には農閑期にあるクリスパ領の農民が動員され、彼らには十分な賃金が支払われた。
さらに詰所の管理や、騎士らの世話役として雇われた住民もいる。
こうした詰所や番所がクリスパ領内に15カ所も作られた。
必然的にそれなりのお金が回っている
「でも、根本的には農業や産業を何とかしないと」
アラーナ(タルバン)の脳裏にテレシアの顔が浮かぶ。
十分な備えができるまで待っててもらうのは難しいだろう。
そう考えると自然に表情が曇ってくる。
「いかがなさいましたか?」
オルギュールに声をかけられた、アラーナ(タルバン)が笑顔を見せる。
「いえ、もう少しですね」
「はっ」
やがてクリスパ家に到着すると、音で気づいたホスルトとデュランが出迎えた。
「お疲れ様です」
ホルストがアラーナ(タルバン)に手を貸し、デュランがアリィ(アラーナ)の手を取る。
いち早く馬を降りたオルギュールはパルマを支えた。
「ありがとうございます。ホントに重いですよね」
「いいえ、全く」
恥じらいながらオルギュールに寄りかかるパルマをオルギュールが軽々と馬から降ろした。
「それでは私達はこれで…」
早々に帰ろうとするオルギュールにパルマが声をかける。
「お忙しいとは思いますが、お飲み物くらいいかがですか?」
「はっ!ご馳走になります!」
即答すると、同行してきた騎士達にも休むように命じた。
ひと時の休息の後、オルギュールらは器を返す。
「次は結婚式の時に参りますので」
パルマが「そうね」とうなずいたのを見て、オルギュールはわずかに唇の端を上げた。
「出発!」
オルギュールの合図で騎士達は馬を走らせて行った。
陽が傾きかけてきた中。オルギュールがアラーナ(タルバン)に声をかける。
「何事もなく、着きましたね」
「はっ」
王都へ向かった時とは異なる帰路で、実質2日半の強行日程を乗り超えた。
ここまで来れば、もうひと息でクリスパ家に着く。
アラーナ(タルバン)はフードを少し上げると、クリスパ領を眺める。
貧しい領地であるのは自覚してきたが、こうして見るといくらか明るい兆しを感じた。
アラーナ・クリスパ伯爵令嬢とカルトメリ・ワーレンバーグ公爵との結婚が影響しているのは間違いない。
「あそこにも…」
アラーナ(タルバン)の視線が向いた先にあるのは、新たに建てられた騎士の詰所。
ワーレンバーグ公爵家から派遣された騎士達がクリスパ領内を巡回する際に使う。
詰所の建設には農閑期にあるクリスパ領の農民が動員され、彼らには十分な賃金が支払われた。
さらに詰所の管理や、騎士らの世話役として雇われた住民もいる。
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必然的にそれなりのお金が回っている
「でも、根本的には農業や産業を何とかしないと」
アラーナ(タルバン)の脳裏にテレシアの顔が浮かぶ。
十分な備えができるまで待っててもらうのは難しいだろう。
そう考えると自然に表情が曇ってくる。
「いかがなさいましたか?」
オルギュールに声をかけられた、アラーナ(タルバン)が笑顔を見せる。
「いえ、もう少しですね」
「はっ」
やがてクリスパ家に到着すると、音で気づいたホスルトとデュランが出迎えた。
「お疲れ様です」
ホルストがアラーナ(タルバン)に手を貸し、デュランがアリィ(アラーナ)の手を取る。
いち早く馬を降りたオルギュールはパルマを支えた。
「ありがとうございます。ホントに重いですよね」
「いいえ、全く」
恥じらいながらオルギュールに寄りかかるパルマをオルギュールが軽々と馬から降ろした。
「それでは私達はこれで…」
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「出発!」
オルギュールの合図で騎士達は馬を走らせて行った。
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