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第122話 司教が見たもの
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「エへン、オホン」
司教が「そろそろ」の意味で咳払いする。
それが聞こえたのか、カルトメリが目を開けて唇を離した。
安堵した空気が教会の中に広まったものの、カルトメリがまたもアラーナの唇に吸い付いた。
2度、3度、4度…
「ゴッホン!ウッホン!」
司教が咳ばらいをする。今度は「いい加減にせい!」の意味。
そこで司教の目が見開いた。
司教側、つまり列席者から見えない側のアラーナのまぶたが小さく開く。
そして同じ側の手が上がってカルトメリの横顔に触れたかと思うと、思いっきり耳をつねった。
「てっ!」
列席者からは、カルトメリがいきなり反り返ったように見えた。
何が起こったのかを知っているのは司教のみ。
アラーナは小さく首を振って、カルトメリの唇に付いた紅を白い手袋で拭う。
カルトメリは申し訳なさそうにうなずいた。
「皆様、長らくお待たせいたしました」
司教なりに精一杯の皮肉を言ったのかもしれない。
「ご覧の通り、誓いの証しにより2人の結婚が成立しました。どうぞ祝福の拍手を!」
列席者が拍手を送る中、腕を組んだカルトメリとアラーナがゆっくりと中央を歩く。
教会の出入口まで足を進めると、デュランとパルマが教会の扉を開いた。
「来たぞー!」
待ちかねた近隣の領民から拍手と歓声があがる。
「アラーナさまあ!」
「結婚おめでとうございまーす!」
そうした中で…
「閣下ぁ!肉と酒がうまかったよぉぉぉ!」
そんな声もあった。
公爵家の騎士と自警団が油断なく見守る中、カルトメリとアラーナが進んで行く。
あちこちに向けてカルトメリは微笑みを送り、アラーナは手を振った。
教会の前に止められた屋根なし馬車の前に着くと、御者を務めるホルスト・ラッペルが扉を開ける。
カルトメリの手を支えにアラーナが乗り込み、すばやくパルマとラマナイトがドレスの裾を丸めて押し込む。
続いてカルトメリが馬車に乗り込むと、2人は周囲に向けて手を振る。
カルトメリとアラーナが向いた方からは大きな声があがった。
馬に乗った騎士達が馬車の周囲を取り囲むように移動する。
先頭の馬に乗ったオルギュールが「出発!」と叫ぶ。
馬車と騎士達がゆっくりと動き出した。
「アラーナ様!」
「カルトメリ公爵閣下ぁ!」
「結婚おめでとうございまーす!」
領民が叫ぶ中で馬車と騎士達が進んで行く。
「まずはひと仕事終わったねえ」
「ええ」
ラマナイトとパルマは馬車を見送る。
馬車は教会の近隣をひと回りした後、新たに建てられた別宅へと向かうことになっている。
「お疲れ様でした」
大汗をかいている司教にタルバンが声をかける。
「何とか大役をこなせました」
「…何かあったのですか?」
「実は…」
司教はアラーナがカルトメリの耳をつねったことを口にした。
タルバンは「アラーナらしい」と苦笑する。
「そうなのですか?」
「遠からずカルトメリ公爵閣下もアラーナの尻に敷かれるでしょう」
普段のアラーナを良く知らない司教はタルバンの物言いに納得するよりなかった。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
★☆★☆★ 今後の展開について ☆★☆★☆
飛ばしたHシーンを埋めた後、2人の新婚初夜に向かいます。
詳しくは近況ボードをご覧ください。
どうぞよろしくお願いいたします。 m(_ _)m
司教が「そろそろ」の意味で咳払いする。
それが聞こえたのか、カルトメリが目を開けて唇を離した。
安堵した空気が教会の中に広まったものの、カルトメリがまたもアラーナの唇に吸い付いた。
2度、3度、4度…
「ゴッホン!ウッホン!」
司教が咳ばらいをする。今度は「いい加減にせい!」の意味。
そこで司教の目が見開いた。
司教側、つまり列席者から見えない側のアラーナのまぶたが小さく開く。
そして同じ側の手が上がってカルトメリの横顔に触れたかと思うと、思いっきり耳をつねった。
「てっ!」
列席者からは、カルトメリがいきなり反り返ったように見えた。
何が起こったのかを知っているのは司教のみ。
アラーナは小さく首を振って、カルトメリの唇に付いた紅を白い手袋で拭う。
カルトメリは申し訳なさそうにうなずいた。
「皆様、長らくお待たせいたしました」
司教なりに精一杯の皮肉を言ったのかもしれない。
「ご覧の通り、誓いの証しにより2人の結婚が成立しました。どうぞ祝福の拍手を!」
列席者が拍手を送る中、腕を組んだカルトメリとアラーナがゆっくりと中央を歩く。
教会の出入口まで足を進めると、デュランとパルマが教会の扉を開いた。
「来たぞー!」
待ちかねた近隣の領民から拍手と歓声があがる。
「アラーナさまあ!」
「結婚おめでとうございまーす!」
そうした中で…
「閣下ぁ!肉と酒がうまかったよぉぉぉ!」
そんな声もあった。
公爵家の騎士と自警団が油断なく見守る中、カルトメリとアラーナが進んで行く。
あちこちに向けてカルトメリは微笑みを送り、アラーナは手を振った。
教会の前に止められた屋根なし馬車の前に着くと、御者を務めるホルスト・ラッペルが扉を開ける。
カルトメリの手を支えにアラーナが乗り込み、すばやくパルマとラマナイトがドレスの裾を丸めて押し込む。
続いてカルトメリが馬車に乗り込むと、2人は周囲に向けて手を振る。
カルトメリとアラーナが向いた方からは大きな声があがった。
馬に乗った騎士達が馬車の周囲を取り囲むように移動する。
先頭の馬に乗ったオルギュールが「出発!」と叫ぶ。
馬車と騎士達がゆっくりと動き出した。
「アラーナ様!」
「カルトメリ公爵閣下ぁ!」
「結婚おめでとうございまーす!」
領民が叫ぶ中で馬車と騎士達が進んで行く。
「まずはひと仕事終わったねえ」
「ええ」
ラマナイトとパルマは馬車を見送る。
馬車は教会の近隣をひと回りした後、新たに建てられた別宅へと向かうことになっている。
「お疲れ様でした」
大汗をかいている司教にタルバンが声をかける。
「何とか大役をこなせました」
「…何かあったのですか?」
「実は…」
司教はアラーナがカルトメリの耳をつねったことを口にした。
タルバンは「アラーナらしい」と苦笑する。
「そうなのですか?」
「遠からずカルトメリ公爵閣下もアラーナの尻に敷かれるでしょう」
普段のアラーナを良く知らない司教はタルバンの物言いに納得するよりなかった。
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飛ばしたHシーンを埋めた後、2人の新婚初夜に向かいます。
詳しくは近況ボードをご覧ください。
どうぞよろしくお願いいたします。 m(_ _)m
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