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第121話 元通りの2人
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「お待たせいたしました」
ラマナイトが司教とカルトメリに告げる。
「そうか」
カルトメリが司教の前に戻ると、司教の妻がピアノを弾き始めた。
立っていた列席者が姿勢を正す。
それまでのざわつきもすぐに落ち着いた。
控室から続く扉をデュランとパルマが開く。
列席者の耳にピアノの音に合わせて、力強い足音と細やかな足音が聞こえた。
先ほど、子供達が花びらをまいた通路を、タルバンがアラーナを引き連れて歩き始めた。
列席者のの目には先ほどと変わらない歩調、変わらない様相の2人に見える。
しかし、今回は本物のタルバンであり、本物のアラーナ。
「かっこいい」
「素敵」
「私を連れて逃げて」
タルバンを見た若い女性から同じようにつぶやきが漏れる。
やがてカルトメリと司教が待つ場にたどり着いた。
タルバンはアラーナの手をカルトメリに渡すと、新婦側の最前列に立つ。
カルトメリはアラーナを自らの横に誘導した。
2人の入れ替わり、誓いの言葉を終えての戻り替わり。
それが無事終了した瞬間だった。
「それでは改めて誓いの証しをどうぞ」
カルトメリがアラーナのベールを上げて頭の後方に流す。
「!」
「!!」
「!!!」
列席者から声にならないため息がもれる。
「あらーなさま きれー」
そんな子供の声が聞こえた。
とっさに父親が子供の口を塞いで、周囲に向かって懸命に頭を下げる。
アラーナとカルトメリが列席者の方を向く。
アラーナは子供に向かって微笑むと、軽く手を振った。
「はあー」
「はあーー」
「はあーーー」
今度は声を伴ったため息がもれた。
改めて互いに向き合うカルトメリとアラーナ。
アラーナが少し顔を上げて目を閉じる。
膝を曲げ腰を低くしたカルトメリは両手をアラーナの頬に添える。
そのまま1回軽く唇を当てる。
少し唇を離した後、カルトメリも目を閉じてアラーナの唇に吸い付く。
チュパッ!
静寂が支配していた教会に2人の唇の音が響く。
2度、3度、4度…
「あらーなさま ちゅーしてるー」
今度は父親も前を見つめるばかりだった。
ラマナイトが司教とカルトメリに告げる。
「そうか」
カルトメリが司教の前に戻ると、司教の妻がピアノを弾き始めた。
立っていた列席者が姿勢を正す。
それまでのざわつきもすぐに落ち着いた。
控室から続く扉をデュランとパルマが開く。
列席者の耳にピアノの音に合わせて、力強い足音と細やかな足音が聞こえた。
先ほど、子供達が花びらをまいた通路を、タルバンがアラーナを引き連れて歩き始めた。
列席者のの目には先ほどと変わらない歩調、変わらない様相の2人に見える。
しかし、今回は本物のタルバンであり、本物のアラーナ。
「かっこいい」
「素敵」
「私を連れて逃げて」
タルバンを見た若い女性から同じようにつぶやきが漏れる。
やがてカルトメリと司教が待つ場にたどり着いた。
タルバンはアラーナの手をカルトメリに渡すと、新婦側の最前列に立つ。
カルトメリはアラーナを自らの横に誘導した。
2人の入れ替わり、誓いの言葉を終えての戻り替わり。
それが無事終了した瞬間だった。
「それでは改めて誓いの証しをどうぞ」
カルトメリがアラーナのベールを上げて頭の後方に流す。
「!」
「!!」
「!!!」
列席者から声にならないため息がもれる。
「あらーなさま きれー」
そんな子供の声が聞こえた。
とっさに父親が子供の口を塞いで、周囲に向かって懸命に頭を下げる。
アラーナとカルトメリが列席者の方を向く。
アラーナは子供に向かって微笑むと、軽く手を振った。
「はあー」
「はあーー」
「はあーーー」
今度は声を伴ったため息がもれた。
改めて互いに向き合うカルトメリとアラーナ。
アラーナが少し顔を上げて目を閉じる。
膝を曲げ腰を低くしたカルトメリは両手をアラーナの頬に添える。
そのまま1回軽く唇を当てる。
少し唇を離した後、カルトメリも目を閉じてアラーナの唇に吸い付く。
チュパッ!
静寂が支配していた教会に2人の唇の音が響く。
2度、3度、4度…
「あらーなさま ちゅーしてるー」
今度は父親も前を見つめるばかりだった。
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