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第1章 異世界転生編
25. ポンコツ交渉
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「どちらにしろ、彼女はここを退学することになるだろうがな」
「なんでですか?」
「今の彼女に居場所があるとでも?」
「それはミーアが魔族の子だからですか?」
「そうだ」
オリヴィアがはっきりと言った。
いや言いたいことはわかるよ。
でも、だからって退学まですることはないだろ。
「今回の事件でより一層彼女への風当たりは強くなるだろう。実際、退学を望む声も多い」
「ミーアが自分から辞めれば、問題が解決すると?」
「そういうことだ。本人が退学の望むとあれば、誰も止める者はいないだろう」
なんだよ、それ。
そんなことされたら、俺がまたボッチになるじゃん。
嫌だよ、ボッチ飯なんか。
結構、ひとり飯は辛いからな?
それにミーアは俺の師匠だ。
師匠を辞めさせるわけにはいかない。
「もしも彼女が魔族の子でなければ、こんなことにならないんですよね」
「そうだな」
「それっておかしくないですか? この学園には自由と平等の理念があるはずです」
「ああ、あるな」
「ミーアにも平等があって然るべきでは? それとも少し周りと違うというだけで差別するのですか?」
「少しか……」
オリヴィアがスーッと目を細める。
「それとも理念はただの建前なんですか?」
まあ俺も平等なんて絵空事だと思ってるけど。
学園内では身分や出自に関係なく、みなが平等である。
それがこの魔法学園の精神であっても、実際にそれが実現しているわけではない。
どうせ建前だ。
綺麗事を言ったほうが立派に見えるだろうって感じだ。
そもそも平等なんて不可能だ。
王族と平民の子を同列に扱うなんてできないのが当然のように。
それを知ってはいるものの、俺はこの平等という言葉にかけてみようと思った。
「平等を謳う風紀委員こそ、真っ先に平等を実現するべきだと僕は考えています」
「だが、相手は魔族だぞ?」
「魔族だからやる意味があるんです。なんならミーアを風紀委員にしてみては?」
ミーアが風紀委員に入ることで、周りの目は確実に変わる。
風紀委員はこの学園において絶大な支持を得ているからだ。
とくに風紀委員長であるオリヴィアの人気は凄まじい。
その人物の下につくということは、ミーアの評判を覆すには十分なものだろう。
「それこそ冗談だろ」
はっ、とオリヴィアが呆れたように鼻で笑ってくる。
「以前、オリヴィアさんは言いましたよね。風紀委員には人望は必要ない。実力さえあれば文句は言わん、と。その言葉が真実なら、ミーアは風紀委員に相応しいと考えますが」
「それとこれとは話が違う」
「違いませんよ。それとも風紀委員長であるあなたもミーアを差別するんですか?」
「当然だ」
オリヴィアは何の躊躇いもなく言い切った。
まじか、この人。
もうちょっと正義感ある人だと思っていた。
こういうときは「私も差別に反対だ!」みたいな感じで協力してくれるんじゃないの?
だってここゲームの世界でしょ?
もっとご都合主義あってもいいんじゃない?
俺、ご都合主義バンザイの人間だよ?
「わかりました。では交渉しましょう」
「交渉だと?」
「僕が風紀委員に入ること、それを交換条件とします。オリヴィアさんも僕が必要でしょう?」
「話にならんな」
いや、まじか。
一発アウトじゃん。
「わかりました。では僕は生徒会に入ります」
オリヴィアの眉がピクッと動いた。
俺の勝手な推測だが、風紀委員は生徒会とのパワーバランスを守ろうとしているようにみえる。
生徒による自治が大きいこの学園において、力関係はかなり重要になってくるからだ。
生徒会一強の状態を、きっとオリヴィアはよく思っていない。
こういう対立ってよくありそうな展開だし、あながち間違っていないと思う。
参照は前世の漫画知識!
で、俺という存在を客観的に見ると…………あれ?
全然魅力なくね?
これ交渉材料として全く使えんやん。
フォード家であるけど無能だし。
うわっ、なんか自信満々に言ったのが恥ずかしくなってきた。
こいつナルシスト? って思われてるよ。
穴があったら入りたい。
「私に責任を負えと?」
ん? どういうこと?
あ、そっか。
責任ってのは、ミーアを引き入れることへの責任って意味か。
てことはこれ、手応えありってことなのか?
俺のようなポンコツでも交渉材料として機能したのか?
「それが風紀委員長の努めでは?」
「なるほど。わかった。ただし――」
オリヴィアは言葉を止めて、俺をじっと見た。
「うち不純異性交遊は禁止だ。風紀員として学園の秩序を守る必要があるからな」
え? どういうこと?
「なんでそれ気にするんですか?」
「はあ、これだから朴念仁は困る」
「朴念仁?」
「妙に知恵は回るくせに、こういうことは鈍感なんだな。まあいい」
オリヴィアがさっと視線を移動させ、扉のほうを見る。
俺もつられてそつらを見る。
ぴょこっとミーアがみえた気がする。
「そうだ。私は今からここを去るが、この後にここに来るやつのことは知らん。あとはお前のほうで説得しとけ。じゃあな、朴念仁」
オリヴィアが医務室を出ていく。
朴念仁ってどういうこと?
「なんでですか?」
「今の彼女に居場所があるとでも?」
「それはミーアが魔族の子だからですか?」
「そうだ」
オリヴィアがはっきりと言った。
いや言いたいことはわかるよ。
でも、だからって退学まですることはないだろ。
「今回の事件でより一層彼女への風当たりは強くなるだろう。実際、退学を望む声も多い」
「ミーアが自分から辞めれば、問題が解決すると?」
「そういうことだ。本人が退学の望むとあれば、誰も止める者はいないだろう」
なんだよ、それ。
そんなことされたら、俺がまたボッチになるじゃん。
嫌だよ、ボッチ飯なんか。
結構、ひとり飯は辛いからな?
それにミーアは俺の師匠だ。
師匠を辞めさせるわけにはいかない。
「もしも彼女が魔族の子でなければ、こんなことにならないんですよね」
「そうだな」
「それっておかしくないですか? この学園には自由と平等の理念があるはずです」
「ああ、あるな」
「ミーアにも平等があって然るべきでは? それとも少し周りと違うというだけで差別するのですか?」
「少しか……」
オリヴィアがスーッと目を細める。
「それとも理念はただの建前なんですか?」
まあ俺も平等なんて絵空事だと思ってるけど。
学園内では身分や出自に関係なく、みなが平等である。
それがこの魔法学園の精神であっても、実際にそれが実現しているわけではない。
どうせ建前だ。
綺麗事を言ったほうが立派に見えるだろうって感じだ。
そもそも平等なんて不可能だ。
王族と平民の子を同列に扱うなんてできないのが当然のように。
それを知ってはいるものの、俺はこの平等という言葉にかけてみようと思った。
「平等を謳う風紀委員こそ、真っ先に平等を実現するべきだと僕は考えています」
「だが、相手は魔族だぞ?」
「魔族だからやる意味があるんです。なんならミーアを風紀委員にしてみては?」
ミーアが風紀委員に入ることで、周りの目は確実に変わる。
風紀委員はこの学園において絶大な支持を得ているからだ。
とくに風紀委員長であるオリヴィアの人気は凄まじい。
その人物の下につくということは、ミーアの評判を覆すには十分なものだろう。
「それこそ冗談だろ」
はっ、とオリヴィアが呆れたように鼻で笑ってくる。
「以前、オリヴィアさんは言いましたよね。風紀委員には人望は必要ない。実力さえあれば文句は言わん、と。その言葉が真実なら、ミーアは風紀委員に相応しいと考えますが」
「それとこれとは話が違う」
「違いませんよ。それとも風紀委員長であるあなたもミーアを差別するんですか?」
「当然だ」
オリヴィアは何の躊躇いもなく言い切った。
まじか、この人。
もうちょっと正義感ある人だと思っていた。
こういうときは「私も差別に反対だ!」みたいな感じで協力してくれるんじゃないの?
だってここゲームの世界でしょ?
もっとご都合主義あってもいいんじゃない?
俺、ご都合主義バンザイの人間だよ?
「わかりました。では交渉しましょう」
「交渉だと?」
「僕が風紀委員に入ること、それを交換条件とします。オリヴィアさんも僕が必要でしょう?」
「話にならんな」
いや、まじか。
一発アウトじゃん。
「わかりました。では僕は生徒会に入ります」
オリヴィアの眉がピクッと動いた。
俺の勝手な推測だが、風紀委員は生徒会とのパワーバランスを守ろうとしているようにみえる。
生徒による自治が大きいこの学園において、力関係はかなり重要になってくるからだ。
生徒会一強の状態を、きっとオリヴィアはよく思っていない。
こういう対立ってよくありそうな展開だし、あながち間違っていないと思う。
参照は前世の漫画知識!
で、俺という存在を客観的に見ると…………あれ?
全然魅力なくね?
これ交渉材料として全く使えんやん。
フォード家であるけど無能だし。
うわっ、なんか自信満々に言ったのが恥ずかしくなってきた。
こいつナルシスト? って思われてるよ。
穴があったら入りたい。
「私に責任を負えと?」
ん? どういうこと?
あ、そっか。
責任ってのは、ミーアを引き入れることへの責任って意味か。
てことはこれ、手応えありってことなのか?
俺のようなポンコツでも交渉材料として機能したのか?
「それが風紀委員長の努めでは?」
「なるほど。わかった。ただし――」
オリヴィアは言葉を止めて、俺をじっと見た。
「うち不純異性交遊は禁止だ。風紀員として学園の秩序を守る必要があるからな」
え? どういうこと?
「なんでそれ気にするんですか?」
「はあ、これだから朴念仁は困る」
「朴念仁?」
「妙に知恵は回るくせに、こういうことは鈍感なんだな。まあいい」
オリヴィアがさっと視線を移動させ、扉のほうを見る。
俺もつられてそつらを見る。
ぴょこっとミーアがみえた気がする。
「そうだ。私は今からここを去るが、この後にここに来るやつのことは知らん。あとはお前のほうで説得しとけ。じゃあな、朴念仁」
オリヴィアが医務室を出ていく。
朴念仁ってどういうこと?
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