転生したら嫌われデブに!? ~性格の悪いブタ男になってしまったので、態度を改め真面目に生きようと思います~

米津

文字の大きさ
32 / 53
第2章 風紀委員編

31. 寂しくないのですか?

しおりを挟む
 カフェに来た。

 最近できたばかりのカフェらしいんだけど、ここイケメン多くない?

 イケメンパラダイスってやつか?

 俺、ぜんぜん嬉しくないんだけど。

 美女がいっぱいいるほうがいい。

 てか、男の客とか俺だけだし。

 めっちゃ肩身狭いんだけど……。

 俺と妹は向かい合わせに座っている。

 そして俺の横にはミーアがいる。

 妹と二人では気まずいから、ミーアにはついてきてもらった。

 俺は小心者なんだ!

 なぜかミーアも緊張した顔をしている。

 人選間違えたか?

 クラリスのほうが良かったんじゃないか?

 いやミーアは風紀委員だし、こっちで間違いないはずだ。

 それについてきてもらったんだし、俺が文句を言えることでもない。

「えっとアランくんの妹さんですよね?」

「はい。そういう認識は……あまり嬉しくありませんが」

 え、なにその言い方。

 俺の妹ってのが嫌なわけ?

 まあ気持ちはわかるよ。

 落ちこぼれの俺の妹なんて嫌だよな。

 でも、かなりショックだよ。

 ミーアがごほんと咳払いをしてから、自己紹介を始めた。

「はじめまして。ミーア・ミネルヴァです。本日はお忙しいところ、お時間を割いていただき、ありがとうございます」

 え、ミーアさん硬くない?

 なにその挨拶。

 硬すぎてビビったわ。

 ここそんなに正式な場じゃないからね?

「あのミーアさん? そんなかしこまらなくていいからね?」

「え? そ、そうなんですか?」

「うん」

 ミーアって常識が欠けてるところあるからなー。

 まあ人とあんまり関わってこなかったから仕方ない。

「はじめまして。テトラ・フォードと申します。いつも兄様がお世話になっております」

 妹がペコリと挨拶する。

 良かった。

 テトラはミーアに対して偏見を抱いていないようだ。

「え、えっとお世話になってるのは私のほうというか……なんというか」

「ミーア。それ世辞のようなもんんだから。そんなに真剣に応えなくていいよ」

「え? そうなのですか?」

「うん」

 ミーアってほんとに他人と話したことないんだな。

 心配だ。

 って、待てよ。

 俺、ミーア、妹の三人って、コミュ力最悪の三人なんじゃないか?

 これヤバい気がしてきた。

 なんとか俺がリードしないと……。

「突然カフェなんて誘って悪かったな」

「別に気にしてません」

「今日はちょっと話があるんだ」

「兄様から話があるとは珍しいですね」

 まあ最近はほとんど話してなかったしな。

「風紀委員に入るつもりないか?」

「なぜでしょう?」

 いやなぜって言われても。

 風紀委員が人手が足りないからだよ。

 このままじゃあ俺一人でヤバいんだ。

 兄様を助けておくれ。

「風紀委員が人手不足なんだ」

「風紀委員になりたい人などたくさんいるでしょう」

「なりたいと、なれるかは違うだろ」

 オリヴィアの基準って意外と厳しんだよな。

 俺が入れたくらいなんだから、てっきり誰でも入れると思ったけど、そうでもないらしい。

 実際、風紀委員に入会希望出したやつはそれなりにいたんだと。

 でも、実力が伴わないと言って、ジャン以外全員断ったとのことだ。

 そのジャンからも逃げられる始末だ。

「私はなりたいとは思いません」

 まあ、そうなるよな。

 妹が風紀委員に興味がないことくらい、だいたい予想できていた。

「話は以上ですか?」

「あ、ああ」

 やべっ。

 これで交渉終わりになっちまう。

 何か考えないと……。

 ダメだ。

 ポンコツの俺の頭では何も思い浮かばない。

 ちらっとミーアを見る。

 ミーアはずっとテトラを見つめていた。

「寂しくないのですか?」

 妹がピクッと動きを止め、ゆっくりとミーアの目を見る。

「寂しいとは?」

「一人は寂しくないのですか? 私は寂しかったです」

 ミーアがぎゅっと手を握るのがみえた。

「アランくんが現れるまで一人で生きてきました。それが普通だと思ってましたけど、やっぱり寂しかったです」

「……そうですか」

「はい。そうです。一人で食べるご飯よりも二人で食べるご飯のほうが美味しいです」

 ミーアの言葉には重みがあるよな。

 俺が同じこといっても全く響かないと思うし。

 でもご飯は誰かと食べるのが美味しいってのは同感だ。

 ボッチ飯とか泣きたくなるし。

「ご飯の味に違いがあるとは思いませんが?」

 なるほど。

 俺やミーアと違って、妹は一人でも大丈夫って感じなんだろうな。

 その精神が羨ましいよ。

「じゃあこうして一緒に食べるご飯も味は変わらないんだな?」

「いえ、ここの料理は学園のものと比べて味が落ちます」

 そういうことじゃねーよ。

「はあ……」

 前途多難だ。

 風紀委員に誘うとかそういう話以前に、普通に会話が通じる気がしない。

 その後、結局、妹を風紀委員に入れることはできなかった。

 マジで無理ゲーでしょ、これ。

◇ ◇ ◇

 テトラは自分の部屋に戻ってきた。

 質素な部屋だ。

 生活に必要最低限なものしか置いていない。

 しかしその中に、ひときわ目立つものがあった。

 全身を写せる大きな鏡だ。

 テトラは鏡を見つめた。

 そこには無表情な少女が映し出されていた。

――まるで人形のようですね。

 テトラでさえ、自分をそう評するほど鏡の中の自分は表情に乏しかった。

 ふとミーアの言葉が頭によぎった。

『寂しくないのですか?』

 テトラはだれにともなく呟く。

「……寂しいってなんですか?」

 彼女にはわからない。

 けれど、ほんの少しだけ心がざわついた。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。 死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった! 呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。 「もう手遅れだ」 これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

処理中です...