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やりなおし

プロローグー自殺ー

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「あっ、すみませんっ。申し訳ありません」
帰りの電車内で気がつくとヨウタは独り言で謝っていた。
ここ最近、彼はずっとこうで、仕事で怒られたときのことを反芻思考しては独り言で謝り、溜息をついていた。

「はぁ。……。(もう・・・・・・。無理だ・・・・・・。死ぬしか、ない・・・・・・)」
最寄り駅に着いた時、彼は諦め自殺することにした。

彼、ヨウタは真面目で早めに出勤して仕事をし、残業でさらに仕事をし遅めに帰る。
帰れば、娯楽的なことは何もせず夜ご飯を食べてお風呂に入りすぐ寝て、休日には仕事の勉強をする。
そのような生活を送り、彼は周りから認められようと必死に頑張った。
しかし、彼はいわゆる無能で考えてから結論を出すのが非常に遅く、同じ事を何度言われても覚えられず、メモしてもメモしたことを忘れるような人間で、職場の優しい人たちも彼にはいつも呆れ、叱り飛ばすようになっていた。

職場の優しい人たちが、間違っていないだけにヨウタは余計に苦しんだ。自分が悪いだけに余計に苦しんだ。そして、彼はある結論に達した。
「おれはこの社会に適していない、どう頑張ってもダメなクソな人間なんだな・・・・・・ 頑張っても頑張ってもこの社会に適合しないのだから、仕方が無い。おれにこの世界で生きていく場所などないのだからもう死ぬしかないな・・・・・・」
そのような経緯があり、彼は夜中2時に包丁で自分の首を切り、出血多量で死亡したのであった。
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